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ウクライナって、こんな国だったんだ!
先日、ブースター接種を受けてから、しばらく寝込んでいた。
今も完調ではないが、ロシア軍の攻撃におびえるウクライナの人たちのために何かしたい、と気持ちが焦って寝てばかりもいられない。
そこで、心理的にも距離的にも遠い国、ウクライナが多少なりとも皆さんの近くに感じられることを祈って、この数日ネットで調べた「ウクライナってこんな国だったんだ?!」とびっくりした「へえ!」ポイントを、まとめて大放出してみたいと思う。
私以上のウクライナ・ビギナーっているのかな?とも思うのだけれど「ライターは自分を普通だと思うべし」(←ちょっとニュアンスが違いますが、まあ、今回はこういう解釈で)というのも、わが師のお言葉なので、きっと普通の私が知らないことは、みんな知らないはずだと思って書いてみる。
スキタイ
「ウクライナって、そもそもロシアが分割してできた国だよな」という程度の知識しかなかったので、まずはその歴史から調べてみた。ところが、まあ、ヨーロッパってどこでもそうだけれど、さまざまな民族が入れ代わり立ち代わり支配者となっていて、とてもじゃないが把握しきれない、覚えきれない。
けれど、一つだけはっきり記憶に残ったのが「紀元前8世紀から紀元前3世紀にかけては、スキタイの支配する土地であった」というところ。
漫画読みならみんな知ってる、『寄生獣』でおなじみ岩明仁先生の『ヒストリエ』。その主人公エウメネスが、実は遊牧騎馬民族スキタイの出身なのである。
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スキタイは紀元後、スラブ人やゲルマン人などに同化、分岐して民族は消滅していくのだが、今もウクライナにはスキタイの遺跡が数多く残されている。
チェルノーゼム
そして、そのスキタイが遊牧で栄えることができたのには、地理的条件が関係している。ウクライナは国土の6割に「チェルノーゼム=黒い土」という大変肥沃な土壌が広がっているのだ。
遠い昔、地理の授業で習った記憶によれば、世界三大穀倉地帯というものがあって、北米のプレーリー、アルゼンチンのパンパ、そして、ウクライナのチェルノーゼムがそれだった。この三つの地域には共通点がある。いわゆるステップ気候ってやつだ。草は生えても木が成長できない。
黒い土ができる大きな理由は気候だ。ウクライナの平均降水量は、日本の半分以下。雨が少ないので森よりも草原が多い。草の葉や根は秋になると枯れて土に戻るが、冬には雪が土を覆うために分解はゆっくり進む。冷蔵庫の中の食べ物が腐りにくいのと同じ理屈だ。おかげで土の中に養分が残りやすい。
この黒い土は、何万年もかけて堆積が進んだ植物の腐植土だ。ウクライナでは表面から1mもチェルノーゼムが覆っているのだそうだ。何もしなくても毎年おいしい牧草を提供してくれるので、遊牧には最適な土地だったのだろう。のちに、ドニエプル川からの灌漑が進むと、チェルノーゼムは農作地となり、ヨーロッパのパンかごと言われるほどの大穀倉地帯になった。
青と金色の旗
そんなわけで、ウクライナの旗(トップ画参照)は、青空と金色に輝く麦の穂を表す「青と金」なのである。(一説には、金色部分は「ひまわり」を表しているという話もある。ひまわり油も、ウクライナではよく採れる。首都の南には、ソフィア・ローレン主演の映画『ひまわり』を撮影したひまわり畑もある。)
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東欧のシリコンバレー
小麦を国旗にしているくらいだから、農業大国なのかと思っていたら、実は今のウクライナは、IT立国を目指しており、実際、ヨーロッパのIT企業の主な外注先としてウクライナが活躍しているらしい。日本でもそこに目をつけて、ウクライナからIT技術者を呼び寄せようという動きもあるのだそうだ。以下は神戸市の記事。
ウクライナの政治経済に詳しい神戸学院大学の岡部芳彦教授は「ウクライナはかなり多くのIT技術者を輩出していて、“知られざるIT大国”と言える。特に2019年にゼレンスキー氏が大統領が就任してからは、当時20代のIT起業家を副首相に起用するなど、国の方針としてIT産業を伸ばしていくことを明確にしている」と指摘しています。
そのうえで「ウクライナはヨーロッパの中では給与水準が低く、サブカルチャーやゲーム産業が盛んな日本で働くことは、現地のIT技術者にとっては魅力がある。日本は、不足するIT技術者をどのように確保するかが課題で、ウクライナの技術者に来てもらうことは十分可能性がある選択肢だ」と話しています。
「隠れたIT大国 ウクライナの実像に迫る!」という記事は2019年のものなので若干古いのだが、ここでもウクライナのIT技術の高さについて語られている。
現実的な教育方針
この背景には、国庫の困窮があるのではないかと思う。現在のところ、ウクライナはヨーロッパ最貧国のひとつであり、外貨を稼ぐには、個人の技術と頭脳を売りにするしかないため、苦肉の策がIT立国なのかもしれない。以下は、ウクライナの教育についてまとめられた資料だが『情報学、経済学など、社会に出てすぐに役立つ科目が早くから教えられている』との記述があるのは、そういうことなのだろうと推察する。
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しかし、ショッキングなのはここからだ。おそらく、上記の教育というのは、平和な時、平和な地域での教育なのだ。
ナショナルジオグラフィックのサイトに、「戦闘を学ぶウクライナの子供たち」というページがある。こちらも2019年の記事だ。
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首都キエフの郊外で6〜17歳を対象に開催されたLIDERというサマーキャンプでは、起床後すぐに国旗掲揚式が行われていた。子供たちはそこで国歌を聞き、その後、さまざまな軍事演習に参加する。子供たちが学ぶのは、塹壕(ざんごう)をほふく前進する方法、ガスマスクの付け方、自動小銃を組み立て、分解する方法、射撃などだ。イバラ・サンチェス氏によれば、子供たちは絶えず反ロシア的、サバイバリスト(生存主義者)的な美辞麗句を聞かされていたという。
ウクライナの戦争は、つい最近始まった出来事だと、私をはじめとする多くの日本人が思っていた。ちがうのだ。ウクライナにとって、ロシアとの闘いは、2014年のクリミア半島侵攻からずっと続いていたのである。だから、年端も行かない子どもたちが、軍事演習参加キャンプなんていう、まったく楽しくなさそうなキャンプにわざわざ夏休みを割いて参加しているのだ。
では、なぜプーチンはウクライナにこだわるのか?
これについては、「天才か?!」と思える回答がYahoo!知恵袋にあったので、そのまま紹介したい。
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ウクライナは、ただの「幸せになりたい女の子」だった。
1991年、ソビエト連邦の崩壊とともに「あんなDV彼氏はもう嫌だ、誰か助けて!」と声を上げた。その時、ウクライナには、元カレ・ロシアが「お前を信じて預けるからな」と渡した核兵器が1900発にあった。当時で、アメリカ、ロシアに次ぐ、第三位の保有量だったというのだからすごい。
DV彼氏は、強がっている割に西側諸国が怖かった。そのため、自分に何かあったら、まずウクライナという彼女に核攻撃させて自分の身を守るつもりだったのだろう。女の子を盾にしようなんて、とんでもない輩だ。でも、もうそんな輩とはおさらばできるのだ。
西側諸国はウクライナにこう言った。
「助けてあげてもいいよ。でも、核兵器を持ってる子はこわいから、仲間に入れたくないな。全部捨てて。そしたら、僕たちが守ってあげるから」
素直に信じたウクライナは、すべての核兵器を、元カレであるロシアに返したのである。丸腰。これがいわゆる「ブダペスト覚書」(1994.12.5)と言われるもので、ウクライナはこれを信じて今までやってきたのである。
ところが、クリミア半島が侵攻されて、部分的にロシアのものになっても、守ってくれると言ったあの人たちは何もしてくれない。経済制裁なんて、屁とも思ってないロシアは我が物顔でやりたい放題だ。そして、今回も、ウクライナは孤立無援なのである。
ロシアのDVとはどんなものだったのか
これについて語るには、日本人のメンタルを一回捨ててもらわないと理解できないかもしれない。何しろ日本人は、過去の遺恨は、割とすぐ忘れることができる。
本当かウソか知らないけれど、イギリス人とフランス人がけんかすると、いまだに『百年戦争(1339~1453年)』の話を持ち出すという。それくらい、「過去のやった、やられたを根に持つのがヨーロッパなのだ」という。
その上で、ロシアのウクライナに対するDV話を聞いてほしい。
あれは、スターリンが生きていた1932年のことだった。
日本では、中国に満州国を建国し、戦争に向かってバンバン突き進んでいた頃である。
スターリンは、社会主義国の優位性を国際社会に示そうと躍起になっていた。工業も、農業も、資本主義なんかより、うちのやり方の方がうまくいくんだもんね、と自慢したかったのである。
そのためには、まず、国際的な競争力をつけるために、国内の重工業を発展させようと考えた。ところが、元手になるお金がない。そこで、豊富な農産物を国外に売ってお金に変えようとしたのである。
ここで一つ思いだしてほしい。ソ連の「コルホーズ」って昔、社会科の授業で習ったよね?
農地の個人所有をやめさせて、すべてを国営農場化し、集団で農作業させた、それが「コルホーズ」である。スターリンは、コルホーズでもっと農作物の収穫高が上がるはずだと思ったのだが、働いても働いても、結局、国に持っていかれてしまうのに、そんなに頑張る人はいない。コルホーズのせいで、収穫高は全国的に落ち込んでいた。しかし、「それでもやるのだ!」とスターリンは、農民から無理やり農作物を取り上げて輸出に回した。
農民は、もともと「自分達が食べるギリギリだけ作ればいいや」と思っていたところに「それ、全部国がもらうから」と召し上げられてしまったのである。当然、食べるものがない。落ち穂を拾っても罰せられる。外国に逃げようとしても、国境で射殺される。飢えて死ぬしか道が残されていなかった。
その犠牲になったのが、ウクライナなのである。(ロシアは、ウクライナだけじゃないと言い張っているが、恣意的に農民を大量に飢えさせて殺したという点で罪は免れない。)日本ではあまり知られていないが、これを、ホロドモールと呼ぶ。
限られた農作物や食料も徴収された人々は、鳥や家畜、ペット、道端の雑草を食べて飢えをしのいでいた。それでも耐えられなくなり、遂には病死した馬や人の死体を掘り起こして食べ、チフスなどの疫病が蔓延。
極限状態が続き、時には、自分たちが食事にありつくため、そして子どもを飢えと悲惨な現状から救うために、我が子を殺して食べることもあったと言う。
通りには力尽きて道に倒れた死体が放置され、町には死臭が漂っているという有様だった。当時は、飢饉や飢えという言葉を使うことも禁じられていた。飢饉によってウクライナでは人口の20%(国民の5人に1人)が餓死し、正確な犠牲者数は記録されてないものの、400万から1450万人以上が亡くなったと言われている。
また、600万人以上の出生が抑制された。被害にあった領域はウクライナに限らず、カフカスやカザフスタン、ベラルーシ、シベリア西部、ヨーロッパ・ロシアのいくつかの地域にまで及んでいる。
そして、このホロドモール以降、減った人口をカバーすべく、ロシアからウクライナに移住させたのが、いわゆる「親ロシア派」と言われる人たちなのだと言われている。
これが、ロシアによるウクライナへのDVの最もひどいものである。
ウクライナはつい最近まで、100年前のホロドモールを「あれはジェノサイドだったよね」とロシアに認めさせようとしていた。それくらい、恨みは深いのである。同じ国だったからと言って、決して仲が良かったわけではなかったのだ。いや、同じ国だったのに、なんでこんな仕打ちを?と思っていたに違いない。
ウクライナを支援するには
またしても、めちゃくちゃ長くなってしまった。NATOがどうとか、EU加盟がどうとか、そんな話は、ほかでもたくさん読めるから省略したので、ざっくりと概観を掴んだら、検索してそちらを読んでほしい。今、こうなっている理由がもう少し詳しくわかると思う。
私がこれを書こうと思ったのは、この方の主張がどれほど正しいのかを知りたかったからだ。なにしろ知らない国の事、いくら当事者が語っていても、国内が二分しているのであればどちらかに肩入れしているはず、偏りはあるはずだ。公正な目で、事実を知りたいと思った。なので、これを読んだ後で、この方の主張を読むと、現状がより分かりやすいかと思う。ウクライナは、自由でありたいだけなのだ。
そして、誤解してはいけないのは「ロシアが悪い」のではない、ということ。ロシアの指導者が悪いのである。ロシア国内には、反戦デモなんかしたら捕まるってわかってるのに、それでも勇敢にデモに向かう人たちもいる。今、ウクライナを侵攻しているロシア軍兵士だって、こんなことしたくないと思っている人は、わんさかいるはずなのだ。プーチンのやり口を歓迎しているのは、おそらくごく一部にすぎない。プーチンを憎んでロシアを憎まず、でありたい。
最後に、具体的に何かしたい人のために、ウクライナを金銭的に支援する方法を二つ載せておく。国連難民高等弁務官事務所の方は、希望すれば領収書の発行もネットから依頼できるよ。
ウクライナを応援したい方々用に、寄付金を送金できる銀口口座の詳細を更新いたします。以下になります。
— 在日ウクライナ大使館 (@UKRinJPN) February 25, 2022
三菱UFJ 銀行
広尾支店 047
普通
口座番号0972597
エンバシーオブウクライナ
ご応援、どうもありがとうございます。
ユーエヌエイチシーアール(国連難民高等弁務官事務所)からの呼びかけです。寄付を募っています。
— 糸井 重里 (@itoi_shigesato) February 25, 2022
ウクライナ緊急:避難を強いられる家族に人道支援が急務です | 国連UNHCR協会 https://t.co/EhpBZd0uj4
**連続投稿28日目**
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