morus

小説書いたり、エッセイ書いたりしています。

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最近の記事

体重のことについて書く

67キロ台に入って、数か月が経つ。人生最高の重さだ(適正体重は60キロほど)。体はだるい、頭は冴えない。なぜこういう状態を続けているのか?自分でもわからない。食べなければ痩せるはずだが、誘惑に弱い?自分を客観視できない?スリムな自分が嫌なのか? 今まで何度も痩せてきた。5キロほどはすぐに落とせた。問題はやるかやらないかだ。ご飯の量を減らし、カロリーと糖質をコントロールするだけだ。簡単なことだが、食の誘惑に勝つことは、面倒くさいしつらい。 10年前は毎日10キロ走っていた。

    • 珈琲と。

       誰も起きていない朝、昨日、お店で挽いてもらった珈琲粉を棚から取り出す。紙フィルターをいつものマグカップに広げる、大匙二杯の珈琲粉を入れて、熱湯で表面を濡らす。一五秒、珈琲の香りがキッチンに充満する。数回に分けて熱湯を注ぎ、珈琲殻をゆっくりと持ち上げる。熱いマグカップを持ち、窓を開け、朝の清々しい空気を体に取り込む。珈琲を口に含む。エネルギーが充填されるように、今日の儀式が終わる。  珈琲メーカーを買おうかと家人に言わるが、私はこのやり方を変えない。今日という一日をちゃんと

      • 勝つことより

        野球の観戦チケットもらったので近くの球場に行きました。日頃、野球は見ないので、チームに愛着はないし、勝ち負けに興味はない(申し訳ないけど)。内野席とはいえ独特な熱気に包まれていて、周りを見ると真剣そのもの。前の小太りヘルメットおじさんは、がなり声をあげて応援している。斜め後ろの紳士風おじさんは、ファールボールをゲットしようとmyグローブでスタンバイ。 以前聞いた話だけど、アメリカの野球はフットボールに比べて試合数が多いので、ゲームは実にまったりとしていて観客もビール飲みなが

        • 死ぬ時のことを考えるより

          どっかの新入社員研修で、真っ暗の中ロウソクに火を灯させ、あなたの人生はこのロウソクと一緒です。1分1秒止まる事はなく、最後には消えてなくなるのです。と恐怖にも似た話をする社長がいると聞いた。自分もその話に影響されて(元々どんな話にも影響されやすいので)、1分1秒がもったいなくて、いつか死ぬんだからとアレやってコレやって、しまいには同じ話を若い人たちに繰り返し話しました。 でも、ある時気付いた。 これなんか違うって・・・。 話せば話すほど暗い気分になっちゃうんですよね。自分

          心がキリリと痛む時

          人と会話をして別れたあと、なんか後味が悪いというか心がキリリと痛む時があります。その場(例えば飲み会の席)はすごく楽しくて、相手も笑顔なので何が問題なのか?全く見当がつきませんでした。しかし帰りのタクシーや自宅に戻って一息ついた時に、その不思議な感情に苛まれるのです。 ある人に相談した時、やっと長年の疑問を解く答えを得ることができたのです。え、こんなことだったの?拍子抜けするような答えですが、同時にストンと心から納得した答えでした。 その答えは「自慢話をしている」というこ

          心がキリリと痛む時

          求められること

          最近ライフスタイルショップが増えていて、様々な種類のお洒落な雑貨やコスメなど置いているところが増えているようです。でも自分はお店に入ってお洒落だなあと思うけど、結局なにも買わずに出ていくことが多い。 なぜかって、欲しいものがないからです。 お金を使うとき、何かふわふわしたものにお金を払うのはどうも気が引ける。蕎麦が食べたい時は蕎麦屋に、牛丼が食べたい時は牛丼屋に行くのが自分の性に合っているようです。 美味い蕎麦屋に行くと、ちゃんとその欲を満たしてくれる物が(例えば蕎麦饅

          求められること

          好きなこと、得意なこと

          人は生まれたとき、得意なことなんてありませんでした。 赤ちゃんは好きなことだと笑うし、嫌いなことだと泣くだけです。 でも個性はあって好きなこと嫌いなことはそれぞれあります。 好きなことだと、他の子供より多くトライするので自然に得意になります。 絵本が好きな子は親に読んでくれと、ハイハイしながらでもおねだりします。 アンヨが好きな子は、お外に連れて行けと、自分で靴は履くようになります。 そんな「好き」が積み重なり、自然に「得意」に変ってきます。 大事なことは親が口出さなくても、

          好きなこと、得意なこと

          復活(短編小説)

           ある日、ベッドの横に何かがちょこんと立っていた。私は完全に目を覚ましていないので、それが何なのかはっきりしなかった。朝日がカーテンの隙間から漏れて羽を照らした。羽はかすかに炎を帯びている。背丈は人間の腰くらい。茶色の細い足が伸びている。小さい2つの目が私を見つめていた。 「おまえは何だ?」私は聞いた。 「火の鳥です」 続けて、「今日この日を心から愛をもって迎え、そして新たに生まれ変わりました」と丁寧な日本語で答えた。 この言葉を聞いたとき、これ以上質問する勇気が消えて

          復活(短編小説)

          雪が解ければ(短編小説)

          すべてをいますぐに知ろうとは無理なこと。 雪が解ければ見えてくる。 ヨハン・ゲーテ  今週末は二十年ぶりの大雪の日なるということだった。大粒の雪の結晶が降っていた。 「雪、大きいね~」四歳になる娘が大きな口を開けて空を見上げた。 「コラ、ちゃんと傘をさしなさい」妻が小言を言った。私たち家族は大雪になる前に家に帰り着きたかった。私はふぅ、とため息をつきながら、傘を前後に揺らし雪を落とした。  転勤でやってきたこの街で、冬を越すのは初めてだ。しかし、なぜその年が二十年ぶ

          雪が解ければ(短編小説)

          雨が降ると・・(短編小説)

          世の中には、雨の音や匂いが好きだという人がいるけど、A子はまったくそうは感じなかった。ナメクジの行列を眺めながら、この憂鬱な季節が早く過ぎ去ってしまえばいいのにと思った。レンガ造りの花壇には、毎年ナメクジが大量発生する。A子は朝学校に行くとき、この生き物を何度か踏んでしまったことがあった。ナメクジは「アジの開き」のように平べったくなって、のびているのだけど、気持ち悪いと思ったことはなかった。なぜならほかにもたくさんの平べったくなった「それ」がそこらじゅうに落ちているからだ。弟

          雨が降ると・・(短編小説)

          タイ、ピピ島で

          ピーピー・ドーン島は、タイの南部、ピーピー諸島にある島の一つで、諸島の中で唯一の有人島でもある。観光客には、ピピ島と呼ばれている。 島には岩山のようなものが東西に二つあり、平地などのビーチ沿いに居住地や、バンガロー宿泊施設などがあった。島のほかのビーチにも宿泊施設が点在しているが、車道が無いので自動車は事実上存在せず、ロングボートを使って移動するしかなかった。 ピピ島での日々は皺ひとつない時間の布を纏っているようだった。単調で無駄なものがない、僕は、自分を体をチェックする

          タイ、ピピ島で