眠れない夜、時の片隅で

人生には、非常に長いと感じる空間が確かに存在する。私の場合、それは家族が寝静まった夜更けだった

広い部屋に一人ぼっちで居ると、もうこの世の慌ただしさの全ては聡い誰かが作り出した、巧妙なテーマパークであったのではないのかと思う程に静かに佇んでおり、そこにあるのは忽然とした沈黙だけだ

 今でこそスマートフォンという文明の力を駆使して世の中を操り、この空虚さから目を逸らしたりしているが、いざまじまじと見つめるとそれは恐ろしく自由で可笑しい。あたかも不調な時の胃のようだ。

確かにそこに存在してはいるのだろうが、何がおかしいのかはまるで分からない。原因はきっと昨夜のステーキかケーキか。人間関係の煩わしさからか。それとも単なる気のせいなのか。全くもって輪郭を形成せず、ただぽやぽやと無機質に浮かんでいる。まるで宇宙。この部屋はいつの間にそんな大層なものになったのだろう、いやでも宇宙って、案外こんなものなのかもしれない

なーんてことを考えていたら、すぐに夜は明ける。

私の脳内は昨日したゲームと人生のゲームを照らし合わせ、ゲームで選択肢を選ぶのさえ何千通りもシミュレーションが変わってしまうのに行動や言葉、表情全て思い通りに動かせる、自由にしか動かせないこの世界はちょっとばかし難易度がSSSRとかなんじゃないかと思った。頭を抱える。

今の私には私にそれくらいしかできない、それくらいしかしてあげられない。けれどまたこれも少しは自分のことを大切に思っているからこそなのではないかとか考えあぐねる。

これも大切な、私の選択の一つ

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