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目の前の あなた

そこに存在する あなた
私の目の前にいる あなた
全く成り立たない会話
私を見てるようだが、目の奥は実はどこか遠いところを見つめているような虚無感の顔

わたしの伝えたいことはほぼ理解してもらえず
例えあなたからぽつりと Yes と返事をもらえてもそれは全く何の意味をもたないYes 全くこっちの要望を理解してもらえてないYes  返事をしたとて その後の行動が伴わない

しかし あなたの言うNo は、完璧にわたしの望みを理解したうえで、 拒否の意味を含むNo 嫌悪感が表れている態度や行動が伴う

当たり前にやってきた事ができなくなる
着替えやシャワー、トイレ、立つ座る事さえも できなくなる 脳がうまく機能してないからだ

一方通行な会話をしている相手は、同じ人間
だけどあなたはそこにいない  どこにいった

人間としての日常生活を送ることが難しくなったあなた でもちゃんと生きている しっかりいきている
私は、そんなあなたの尊厳を守るため、私自身が生きるためにしていることを、あなたの身体にもする。服を着脱し(させ)、シャワーで洗体し、くつを履き(履かせ)… テレビの部屋へ行く(連れて行く)

介護をする
あなたのあの笑顔がみたいから
その一瞬の笑顔のとき、あなたは戻ってくる
だから私はする


そこにいて いない
あなたはなにもわるくない

ただ 老いる んだ