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Microsoft Power BIのAI機能を触ってみた感想: データ分析におけるAI活用の現在地


はじめに

現代のビジネスは複雑で急速な変化の中にあり、データの爆発的な増加と多様性が、企業にとって新たな課題を生み出しています。そして、日々蓄積される膨大なデータは、その管理や分析が難しく、これまでの伝統的な手法では対処しきれない複雑性を帯びるようになりました。そのため、このようなデータの取り扱いに課題を感じている企業は、データを有益な判断材料に変えるべく新たな手段を模索せざるを得ません。
そこで、本記事では上記の状況下で新たにBIツールとAI機能の統合が、データ管理における複雑性に対する新しいアプローチ手法となることに焦点を当て、その可能性について探ります!

BIツールとは?

BIツールは「Business Intelligence(ビジネスインテリジェンス)」の略であり、企業内にある様々なデータを基に分析・可視化して、日常業務や経営そのものに役立てるソフトウェア・ツールのことを指します。例えば、部署ごとに利用しているツールが異なる場合、CRMなどの各種データベースにより、データの格納先が分散してしまいますが、BIツールを利用することで各所で分散しているデータを繋ぎ、簡単にデータの統合・集計や分析を行うことが可能となります!

主なBIツールの機能について:

  1. データ収集と統合
    様々なデータソースからデータを収集し、統合して一元管理が可能です。

  2. データ分析
    データの解析を指示し、傾向やパターンを発見することができます。

  3. データ視覚化
    グラフやチャートなどを活用してデータを視覚的に表現できます。

  4. リアルタイム分析
    リアルタイムでデータを監視し、迅速な意思決定が可能です。

  5. ダッシュボード
    カスタマイズ可能なダッシュボードを作成し、会社独自の管理画面の作成ができます。

  6. レポート作成
    レポートを簡単に生成し、共有することができます。

BIツールとAIとの親和性

上述で、BIツールに関して、ご理解をいただけたかと思います。そこで、本日のテーマとなる「BIツールとAIとの親和性」に焦点を当て、そのメリットを上げてみます!

  1. 高度な情報処理能力を手に入れられる
    これまでのデータの管理や分析の精度を高めたい場合には、BIツール×AIには期待ができます。そもそも、BIツールを使うことで、社内に散らばるデータを一元管理できるようになります。AI機能が加われば、短時間で膨大なデータの集計から分析までを迅速に対応できるようになります。また、AIが集計したデータの分析もスピーディーに実施でき、データ管理から分析までの精度の向上が期待されます。

  2. シミュレーション(分析予測)が可能になる
    BIツールにAIを組み合わせると、シミュレーションが可能になります。BIツールによって集めたデータをAIで分析し、その分析結果からAIに対し、仮説結果のシミュレーションを指示したり、最適な施策の予測結果などを確認することができます。このようなシミュレーションを活用することで、事前に施策実施に必要なコストや、得られる結果を予測できるようになり、経営上の意思決定などが迅速に判断できるようになります。

  3. 事業における生産性の向上
    AIを組み合わせたBIツールでは、担当者が本来の業務に集中でき、業務の効率化を図ることが可能となります。具体的には、データ分析担当者の意思決定にかかる負担が軽減され、より戦略的またはクリエイティブな業務に専念できる環境を創造することができ、最終的には事業の生産性が向上することが期待されます。

Microsoft Power BIについて

上記の背景を踏まえて、BIツールを提供している各社の大手企業はBI×AIの文脈で機能のリリースが相次いでいます。その中でも、MicrosoftはAIの分野において特に力を注いでいる企業です。2023年11月15日に開催されたMicrosoft Ignite 2023イベントでは、「AIが経験と規模に与える影響は、まだ始まったばかり」と題し、数多くのAIに関する新機能や精度の向上を発表しました。

*Microsoft Ignite 2023イベント動画

そして、Microsoftが提供するBIツールのPower BIでは、下記のような機能が実装されました。

Power BIの主なAI関連機能:

  1. Insights
    データセットから見いだせる結果/分析のヒントを提示(Quick Insight機能) 言語で質問することができ、ビジュアライズも行う(Q&A機能)
    ビジュアル自体がAIによる結果を表現(AI Visualization)

  2. Enrichment
    Power BI の機能として統合された、Cognitive Services の一部
    Cognitive Services | Microsoft Azure

  3. Automated ML
    Power BI の機能として統合された、Azure Machine Learning サービス Machine Learning サービス | Microsoft Azure

  4. Data Science Extensibility / Azure Extensibility
    Power BI ではなく Azure にリソースが用意できている場合、Power BI で統合したリソースとして利用することが可能ができる機能。

Microsoft Power BI: AI powered analytics - Microsoft Power BI Community

実際にPower BIを利用してみた

今回、Power BI Premium(高度なAI機能が利用できる)プランにて、AI機能を体験してみました!

筆者の簡易紹介:
・営業歴:4年
・社内の営業にまつわるデータ種類は理解している。
・過去にBIツールの利用経験はない。


①PowerBIアカウント発行後、データの格納を実行
自分で用意したMockデータを利用し、格納を行いました。

Mockデータの中身は下記の通りです。
・first_name
・last_name
・age
・gender
・blood_type
・email
・department
・progress
・is_done

②レポートの自動生成を実行

あっという間にレポートが自動生成されました!どうやら、インポートを行ったデータ構造に紐づいてAIによるレポートが自動生成されたようです。
そもそも格納したMockデータの情報が乏しいものの、自動生成されたレポートの分析結果はまだ活用できそうになく、データの加工が必要そうです…

③データモデルを触ってみた
データモデルとは、インポートした複数のデータソースより、分析をしたい内容に対して、必要な列(データ)や、テーブル間の連携構造を考えることです。本機能では、非エンジニアであっても、ノーコードで分析をしたい結果のデータを導き出すことができることが最大のメリットとなります。
筆者が触った感想としては直感的な操作を行うためには、把握していなければならない機能が多く、Power BI初心者にとっては、操作が難しいと感じました…

データモデルの一例

Q&A機能(AI)を使ってみた

Q&A機能(AI)の検索画面
検索結果

提示されていたQAの一例を用いてみると、一瞬で血液型の集計ができました! Mockデータの内容が集計するには容易な内容ではありますが、やはりBI×AIの効力は想像以上で、自然言語を用いて簡単にデータの整理・加工ができました。
ただし、現時点では日本語での自然言語処理は対応がなされておらず、直感的に指示をするのには、データのカラム名を理解し、指示内容を英語で作成する必要があり、その点が残念です…

日本語では検索ができない模様

Power BIを触ってみた、筆者の感想

良かった点

  • 瞬時にレポートを生成
    Power BIに備わっているAI機能により、データをインポートする際、瞬時にデータが集計され、自動的にレポートが生成されました。さらに、この機能を活用して自社のデータソースと連携させておくと、データが自動的に更新されるため、月次でのAIによる分析レポートなど、業務の効率化につながる点を感じました。

悪かった点

  • データの前処理が必要
    BIツールである以上、効果を最大化するためには整理されたデータセットでのインポートが必要です。整ったデータセットがないと、集計や比較分析などを効果的に活用することが難しくなるため、社内に散らばっているデータを事前に整理しておく必要があると実感しました。 また、データモデルの構築に関しても、初めに機能やデータモデルの概念を理解しておかないと、複雑なデータ処理や複数のデータ分析において行き詰まる可能性がある感じました。総じて、このようなツールを使った経験がないユーザーにとっては、使いこなすためには一定の学習が必要であり、初見ではデータを直感的に操作するのが難しそうな印象を受けました。

  • AI機能は日本語に対応していない
    Power BIのAIを活用したQ&A機能では、現時点で日本語での自然言語処理は未対応です。そのため、スムーズにAI機能を利用するためには、インポートを行ったデータセットを十分に理解した上で、英語で指示を行う必要があり、直感的な指示は難しいと感じました。


Morphとは?

当社は、「誰もがデータを自由に扱える、新しいツール」Morphを提供しています。
Morphは、利用するメンバー全員が同じインターフェースで、データ収集・管理・分析・可視化をAll-in-oneで行えるツールです。あらゆる形式のデータやSaaSツールから直接データの連携が可能で、ビジネス現場でも「データの活用を日常の道具」として利用することができます。
そして、Morphは大量データの処理性能とデータソースの統合・連携の容易さというBIツールの機能も備えつつも、AIによるデータ操作も言語を選ばずに利用することが可能で、エンジニアではない方でも高度なデータ分析を行うことが可能です。
冒頭で解説したデータの爆発的な増加と多様性による課題に対して、当社Morphでは社内の誰にとっても使いやすい同じツールを通してデータを扱うことで、チームの生産性の向上やナレッジの蓄積を可能にします。

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