2016.05.12 図書館のオリエンテーションにて

noteを1年ぐらい続けている。2012年から綴っているとか言ってるくせに、2016年以前(自分が小中学生の時)の日記は全然書いてない。昔の日記とか、稚拙すぎて公開するのが恥ずかしいのだ。

限りなく中学生に近い、高校1年生の5月の日記を書くから許してください。


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4時間目に図書館のオリエンテーションがあって、授業の終わりの10分は自由時間となり、本を読めた。ダ・ヴィンチ ※1 があったので、オードリー若林さんのエッセイ ※2 を読んでた。

そしたら10分はあっという間に過ぎ、昼休みも図書館に残って読んでた。どうにも、クラスメイトが戻る中読書をしているという構図に酔ってる自分がいたようだ。

どうして俺はこんなにも自分に酔うんだろうかと考えた。俺は運動が苦手で、彼女もいなくて、理由もなく勉強して、床につまずくやつだから ※3、自分のことを好きになる方法が自分に酔うことぐらいしかないんじゃないかって思った。

だとしたら。「俺また自分に酔っちゃってるよ」と思える程度なら、自分に酔ってもいいんじゃないかって思う。

表紙にピンク色のフォントを多用してるダ・ヴィンチを見て「ゼクシィ読んでんの?」と言ったり、若林さんの立ち姿が上下逆に描かれてるページの背景を見て「上下逆に読んでんの?」と言ったりするような(それでいて彼女持ち ※4)クラスメイトの中にいるから、これぐらい酔ってないとやってられないよ。


※1 本の情報を扱ってる雑誌。

※2 「どいてもらっていいですか?」というエッセイ。現在は連載を終了し「ナナメの夕暮れ」というタイトルで書籍化された。

※3 おそらく数日前に何もない床につまずいて、ひどくみじめな気持ちになったんだと思う。つまずくと一気にテンション下がるよね。

※4 高1の時のクラスメイトで、彼氏彼女がいないのは俺とFくんだけだという説が流れてたことを覚えてる。だから彼女がいないというコンプレックスをより一層感じてたんだと思う。

入学して1ヶ月も経たないうちにそんな説が流れてたとしたら、ずいぶんと世知辛い高校だけどね。おそらくその説はもうちょっと後に流れてたはず。きっとそうだよ。そんな厳しい高校じゃなかったよ。

ちないにFくんはその時彼女がいなかっただけで、中学生の時はいたらしい。高校に上がる前にフラれたんだとか。


クラスメイトが教室に帰る中、1人で本を読んでるという構図。正直今でも、酔ってしまう気持ちは分からんでもない。

クラスメイトが必死にスマホをいじってる傍らで、本を読んで見識を広めている。なんかカッコよくない?

何食わぬ顔して「本を読んでる」なんて書いてるものの、実際に読んでたのは雑誌、しかもその中の若林さんのエッセイだけなんだけどね。なにがカッコいいんだか。そういうことは太宰治を読んでから言いな?

「ゼクシィ読んでんの?」「上下逆に読んでんの?」とか言われてバカにされてたんだ。そういやそんなこと、言われたような気がする。

「自分に酔っていた」っていうよりかは「クラスメイトをバカにしてた」って表現の方が正しい気がする。そんなからかい方をされたら腹が立つわな。

高1の時の俺のクラスメイトって、そんな嫌なヤツだったっけ? 結構みんなと仲良くしてたイメージだけど。…そんな性格悪い奴、いたっけ?


高校1年生の5月。この時はまだ、オールナイトニッポンにネタメールを送り始めてたった1ヶ月のペーペーの時だった。オードリーや三四郎のラジオでネタが採用されるのはもうちょっと後、6~7月からだった。

定期的にネタが採用されてハガキ職人としての自負が芽生えた頃にはもう、自分に酔わないとやってらんない、なんてことは思わなくなっていた。自分の才能を発見することができ、自分に自信を持てるようになったからだ。

運動できない、彼女もいない、自信が無い。そんなコンプレックスを一発で全部ひっくり返せるのが「ハガキ職人」だった。

高校1年生5月の自分よ、もう1ヶ月待ってくれ。あと1か月後には、お前の逆襲が始まるのだから。もう酔わなくてもよくなるんだよ。

ただし気をつけろ。自分に自信を持つのはいいが、8月ぐらいになると校舎に掲げられてる「陸上部△年〇〇さん、北陸甲信越大会に出場!」という垂れ幕を見て「ハガキ職人やってる俺の方が凄いんだからな!」と張り合ってしまうぞ。

ハガキ職人は凄い、ただし陸上の大会に出場するのも凄い。お互いが別々のベクトルで、それぞれ凄いんだ。どちらが上か、ということではない。

自信を持つのはいいが、天狗になってはいけない。それはただの「嫌なヤツ」だ。


オリエンテーション後も新刊のダ・ヴィンチを読むために、月一で図書館に通ってたのを覚えてる。連載が終了する2018年初頭まで欠かさず通った。毎月必ず来るから、図書館の司書さんと仲良くなったぐらいだ。

司書さんに何を読んでるのか聞かれて、若林さんのエッセイを読んでますと言った。司書さんから「若林さんのエッセイを読む人」として認識された。

次第に司書さんも若林さんのエッセイを読むようになったらしい。そんなに勧めた記憶は無いのだが。そして俺が卒業する頃に、ナナメの夕暮れの前に発売された別のエッセイ「完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込」が、図書館に入荷されたらしい。

俺があまりにも読むから入荷したとのこと。たしかに「いいエッセイなんですよ」ぐらいは言った気がする。

別にその司書さんと今も連絡を取っているというわけではないが、高校時代の思い出として覚えてる。

完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込が、若い時のネガティブな気持ちだったり、劣等感だったり、その心に寄り添ってくれるエッセイだということは確か。そう考えると、図書館に置いて高校生に読ませるのもいいかもしれない。

我が高校の後輩たちよ、辛くなったら図書館に行って若林さんのエッセイを読みなさい。ネガティブとの付き合い方を知って、そしてできれば、この本を入荷するきっかけとなった俺に感謝してほしい。間接的に俺が救ったようなものだから。