能登・輪島の「今」
2024年1月1日に起きた能登半島地震、そして先日起きた能登半島豪雨
同じ石川県に住む自分にとって、心が痛む災害が立て続けに起きました。
また、選手生活を引退し、起業したての頃、毎月漆の勉強の為に輪島に通っていた時期もあり、
能登半島の中でも特に輪島には特別な想いを抱いているだけにその地が受けた大きな被害は心に深く突き刺さる出来事でした。
1.変わりはてた能登・輪島
能登半島地震が起きてから、初めて輪島に足を運んだのは4月14日。
その日は快晴でしたが、のと里山海道を走るうちに、崩れ落ちた道路が目に飛び込んでくるたびに胸の鼓動が早くなっていったことを今でも覚えています。
輪島の街に入ると、数年前、通っていた輪島とは全く違う光景がありました。
崩れた家や隆起した道路、輪島朝市通りを見た時はあまりにも変わり果てた姿に言葉を失うほどでした。
そこから数度、ボランティアとして能登地方を訪れ、少しづつ復旧復興が進んでいるのを見守っていました。
そんな矢先に、能登半島豪雨が再び能登・輪島を襲いました。
9月22日、つまり能登半島豪雨が起きた翌日に、とあるスポーツイベントで珠洲に行くことを予定しており、
とても楽しみにしていましたが、豪雨による影響で中止に。
その時は能登・輪島がこれだけ大きな被害を受けるとは想像もしていませんでした。
ニュースを見ていると時間が経つと共に、被害の大きを知ることになるのですが、「どうしてまた能登や輪島に」という思いが込み上げてきました。
連日の報道を見ている中で、「今の自分にできることは何か?」自問する日々の中で、先日、輪島にボランティアとして足を運びました。
震災後、何度か輪島に足を運んでいたので、道中は以前より、整備が進んでいるという印象でしたが、
輪島市内に到着すると山が崩れている場所が以前よりも増えていたり、途切れた橋を目にする中で水害の深刻さを実感しました。
水害が大きかった町に近づくにつれて道路の色が変わり、砂埃が風で飛んでいました。
被害を受けたご自宅に到着すると、水害が起きた当日にどれだけの水がこの街を襲ったのかを知ることになるのですが、
これを見た時に改めて自然の力の前に人間の力がいかに無力であるかを改めて実感しました。
2.今の自分にできること
地震の傷跡が癒える間もなく襲いかかった水害。
今回、輪島のボランティアを通じて水害がもたらす破壊の恐ろしさを痛感しました。
まず、水害は水と共に大量の土砂が流れ、町や家を襲います。
最も厄介なのは、その水や土砂が家の隅々にまで入り込み、復旧をより一層困難にすることです。
特に高齢者の多い能登地域では、土砂を掻き出し、家財を運び出す作業は極めて重労働です。
また、床上浸水などの被害を受けられたご自宅は土砂の掻き出しを行うのですが、その土砂も水分を含んでおり、
とても重く、高齢者が多く住む能登において過酷な状況です。
そんな状況下において、今の自分にできることは、土砂を掻き出し、家財を運び出すシンプルな作業で特別なスキルは必要ありません、そんな地道な作業しかできませんが、復旧に向けた一歩になることを信じています。
水害は沢山の方のサポートがあればあるだけ、復旧のスピードが早くなると感じました。
まずは1日でもはやく復旧しその後に復興に向かうことができればと願っています。
もう一つ、今の自分にできることは情報を発信することです。
能登・輪島の「今」を一人でも多くの人に届け、被害を受けられた能登・輪島に心を寄せていただき、
少しでも多くの方が支援に手を差し伸べてくれるよう願っています。
支援の形は何でも良いと思っています。
募金、物資提供、ボランティア、または心を寄せるだけでも。
それが能登・輪島を支える力となります。
唯一、能登・輪島のことをこれから先、ずっと忘れないでほしいです。
3.きっかけは何でもいい
僕は能登半島地震後に初めて災害ボランティア活動に参加しました。
それまで日本各地で多くの災害が起こる度に様々な団体が災害支援活動されていることを知っていましたが、
どのように支援活動に参加すれば良いのか、今のタイミングで足を運んでいいのか、誰を通じて参加できるのか、
自分は災害現場で役に立てるのか、知らない不安が多々あり、行動に移せずにいました。
ただ、今回はアスリートや元アスリートが中心となって活動するHEROsという団体を通じて参加できるという背中を押してくれる”きっかけ”がありました。
人それぞれ、きっかけは何でもいいと思っています。
それが誰かの行動を促し、能登・輪島の力になるのであれば。
4.最後に、
能登・輪島の支援活動を通じて、改めて自然災害の恐ろしさと、
日々の「当たり前」がいかに脆いものかを考えさせられました。
蛇口をひねれば綺麗な水が出てくる、スイッチを押せば明るい電気が灯り、スマホを使えば世界と繋がれる。
そんな日常は実は奇跡のようなものだなと。
そして、支援活動を通じて能登・輪島の魅力を改めて実感することもできています。
能登・輪島といえば美しい自然や海の幸、輪島塗に代表される工芸など沢山の魅力的なものがありますが、
「能登はやさしや土までも」という言葉がある通り、やはり一番の魅力は「人」だなと。
皆さん、人情味豊かでとても温かく、困難に立ち向かう強さを持つ人々が、この地域を支えきたんだなと。
先日の支援活動の際、僕のツエーゲン時代を知ってくれていた輪島の方ともお話ができました。
その方とはツエーゲンの話題で盛り上がり、もっとツエーゲン頑張ってほしいねと。
その日の活動が終わり、その方が帰り際に、「これから見逃し配信見るのが楽しみで」と、笑顔で帰っていった姿が、今でも心の中に残っています。
地域におけるサッカークラブが、被災地において心の支えになっていることも改めて知る機会になりました。
能登・輪島の「今」はとても大変な状況ですが、
辛いことや苦しい状況を共に乗り越えることで絆を深め、未来を築いていけると信じています。
このnoteを通じて一人でも能登・輪島に心を寄せていただける仲間が増える”きっかけ”の一助になれれば幸いです。
※最後までお読み頂き、ありがとうございました。