「よんもじ」Vol.3 AUTUMN感想
今回の俳句テーマは「いきもの」、エッセイテーマは「おすすめのレシピ」です。
俳句の鑑賞の後に、それぞれのオススメレシピを作ってみたTwitterのリンクを載せています。
藤田亜未
蟷螂や意地悪そうに鎌揺らす
蟷螂と出くわした時の緊張感が、「鎌揺らす」という小さな動きから伝わります。蟷螂側にはそんな意図はないんでしょうが、「意地悪そうに」から恐怖感も感じます。
調べたところ、蟷螂のカマはエサとなる虫をしっかりと捕まえるためのもので、人間がケガをするほどの強さはなさそうです。むしろ噛まれるほうが痛そう・・・
それでもあの大きくてギザギザのカマとカマで切るような名称から少しの怖さを感じますよね。
蟷螂と対面した際の蟷螂の動きと人間側の心を上手く描写した句です。
相田えぬ
気まずくはないのに逃げる赤蜻蛉
バッタリ会ってツーと逃げる、赤蜻蛉の飛び方がそんな感じだったんでしょうか。そんな風に逃げなくてもいいのに、と赤蜻蛉を見つめる姿が浮かびます。
亜未さんの句と同じく昆虫の行動に人間側から意味を重ねた句ですね。
「気まずくはないのに」というユーモアと可愛さのある表現がえぬさんらしいです。
西川火尖
十五夜の秤に降ろす鼠かな
秤は金属の天秤を思い浮かべました。タロットカードにあるような。
十五夜の美しく輝く月と金属の質感の取り合わせ、命を測られるように降ろされる小さな命。
どんな状況かは分かりませんが、神秘的で美しい絵の様なシーンですね。
諸星千綾
一頭の牛すれ違う墓参
〈自句自解〉
田舎の、のどかな雰囲気が出ればな、と。
これからお墓参りにいくその相手は既に生まれ変わって今すれ違った牛として、新しい生を始めているのかもしれません。
深く関わる人生、すれ違うだけの人生、まったく関わらない人生、そんな生と死の繰り返しを込めました。ってそこまで読んでくれ、というのは無理がありますが(笑)。
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