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シンガポール物語 Vol.9
冬の足音も すぐそこまでやってきております。
みなさん いかがお過ごしでしょうか?
体調崩していませんでしょうか?
さて 今回もシンガポール物語 第9話 まとめたので ぜひ ご覧ください。
仏像彩色
昨日 金箔押しを終えた 大物の仏像。
本日は 顔や髪などに 色をつける 彩色と言う作業を行った。
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普段しない作業のため 物凄い集中力と 失敗が許されない作業のため 緊張感満載のスタートとなった。
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顔入れなんかは さらに緊張。
失敗すれば水の泡。
眉毛の線が左右対称になるように。
太すぎれば ブサイク 細すぎてもヤンキーっぽくなったり。
手ブレで眉毛が ガタガタになってもいけないし。
かなり 神経を使った作業になった。
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ヤッちゃいな!
彩色をしている間に 他のメンバーと以前話をした中国の大工さんと 仏像台座の組み立てへと入った。
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何を話しているかは全然わからなかったが
率直な感想としては...
「おー。さすが中国の職人さん...」
もっと わかりやすく言えば
「豪快。結構ザツ。メイドイン チャイナ...」
せっかく 塗り 金箔押しまで丁寧に仕上げてきたけれど 組み立ての際 ド正面の見えるところから ネジどめや タッカーで止められたり 塗り面をハンマーで叩いたり...
ジェスチャーを使いながら ダメダメ!
と説明したが
「見えない 見えない! 大丈夫 大丈夫 問題ない」
笑顔で返され ジャパニーズクオリティー が 一瞬にして メイドイン チャイナへとなってしまったのであった。
やっチャイナ! いっチャイナ!
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そんなこんなで とりあえずは 台座は組み上がり 仏像を載せるだけとなった。
最終仕上げ
翌日 彩色等も乾き いよいよ 最終仕上げ 組み立て設置となった。
総重量◯◯百キロもあろう 仏像台座と仏像を 中国の大工さんと知恵を絞りながら 持ち上げ 運び出す。
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こう言う使い方が 正しいか 正しくないか で言うと もちろんアウト。
しかし ここはシンガポール。
広い心で 目をつぶって頂きたい。
どうやっても 人力では持ち上がることができないし 組み立ての時点で メイドインチャイナになっちゃってるので 半分諦めくらいの気持ちで 中国の大工さんの意見を尊重し 笑いながら 作業を進めた。
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無事 ドッキング成功。
あんなにデカかったのに 備え付けられると 少し小さく感じてしまった。
よくやった! 多分 よくやったよな?
そう思いながら 見つめていると 先方さんから こう言われたのであった。
追加発注
「いい仕上がりだ! 残りの日数で これらも仕上げられる?」
思ったよりも早く仕上がったし 観光でもしてから帰れる!
と思っていた矢先の事だった。
仕事で来てるわけだし 今回の仕事もこれで喜んでもらえたわけだし との事で 引き受ける事に...
これが この後大変な目に遭うとは 知る由もない。
仏像4兄弟
追加作業の内容としては 仏像の金箔押しの作業のみであった。
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長男の設置が完了したと同時に やってきた 3つの仏像たち。
我々は サイズの大きい順に 長男・次男・三男・四男と呼ばせてもらった。
設置済みの長男は 木製でできており 次男と四男は (鋳物?)金属でできており 三男は石でできていた。
私たちの普段の仕事では 木製品とプラスチック製品の金箔押しは やった事あったが その他は できないわけではないが 経験値的に レアな作業となった。
そして 一番手のかかったのは 次男であった。
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金箔は ツルツルした面であれば 問題なく金箔を貼り付けることができるのだが 次男坊は ところどころ サビなのかなんなのか ガサガサしているところがあり なかなか 金箔が張り付いてくれなかった。
帰る日にちもあるので できる範囲でいいとのことではあったが 長男を メイドインチャイナにされてしまったからには ジャパニーズクオリティーで 残りの三兄弟は きっちり仕上げる!
そう言う意気込みで 残された材料で試行錯誤しながら 時間ギリギリ なんとか納期内に仕上げることができた。
感謝の祈り
無事? 仕上がり 設置に行く事に。
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到着したのは シンガポールのチャイナタウンにある有名観光地 Buddha Tooth Relic Temple (佛牙寺)
そこの品物であったのだ。
凄いところの仕事を受けたもんだ! と驚きと嬉しさと しっかり仕上げて良かったなと。
旧正月前で たくさんの観光客で賑わっていた。
そんな中 仕上がった仏像を運び 設置し始めると 参拝客 観光客が集まってきて カメラやスマートフォンを向け出した。
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そして 設置完了と同時に 何人もの人が 手を合わせて 一生懸命に祈り出したのであった。
そんな様子を見て 私は
「凄い。日本では見ない光景だ。 こんなに喜んでもらえるなんて...」
疲れていたのかわからないが 初めて納品して喜ぶ顔を見たので 嬉しさのあまり少し感極まって 涙が溢れそうだった。
お正月休みもなく 1ヶ月余り ノンストップで頑張った甲斐があったな...
そして さらにご褒美を頂けて 先方さんから 1日半だけ 観光の猶予をもらえたのであった。
今回は ここまで。
次回 最終回。
シンガポール物語 ぜひご覧ください。