内部監査の戦後処理(フォローアップ)を有効に行うために
日本内部監査協会の2017年の調査によれば、調査対象約1,600社のうち約98%の会社が、内部監査の指摘事項の改善状況を確認していると回答しています。しかし、ルールとして指摘事項の改善状況のフォローアップを行っているとは言っても、その実態まではなかなか見えてきません。
指摘事項に適切な改善提案を出してもらい、さらにそれを期日までに完了してエビデンスを提出してもらうというのは、監査の本番が終わった後の作業だけに地味ですが、ここをきちんとしないと、折角の監査もやりっぱなしになりますし、いつまでも問題が改善せず、内部監査の意味もなくなってしまいます。しかし、私の経験ではこの部分をきちんとやり切れている内部監査部門は決して多くありませんでした。
適切な改善を行ってもらうには、指摘を出した時点で被監査部署に改善案を作成してもらうところからきちんと見ていく必要があります。実行まで見据えた適切な改善案の作成について簡単に触れたうえで、その後のフォローアップの工夫について述べていきます。
なお、内部監査報告書のスタイルとして、内部監査部門側が指摘事項及び改善提案を示し、それを受けて被監査部署が作成した改善案・期日・責任者等も内部監査報告書に記載するというスタイルを想定しています。
指摘事項に対する改善案の作成段階
適切な改善が行われるかは、まず被監査部署が実行可能かつ有効な改善案を出してくるかにかかっています。例えば、典型的な監査指摘の一つである、「経費精算に不備があった(必要な証憑が添付されていない、経費と認められないものが精算されている、精算期日が守られていないなど)」という指摘に対して、どのような改善案を出してもらうべきでしょうか?少し考えてみてください。
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