実務補習所入所祝辞
日本で最も難しい資格試験の一つの合格者にお祝いのメッセージをお贈りできて光栄です。私は現在の会計士試験は受けていませんし、最近の合格者もまわりにほとんどおりません。正直なところ、今日が最も会計士試験合格者に近づいた日です。今日は、私の経験から、3つの話をさせてください、大した話ではありません、たったの3つです。
1.大きな声で、しっかり話そう!
公認会計士の方は、膨大な試験範囲の試験をパスしていますし、仕事でも最新の会計、税務、監査などの知識を学び続ける必要があるので、勉強熱心な方が多いです。その一方で、折角貯えている知見を他人に伝えるとなると、途端にダメな人が多いのもまた事実です。特に、長期間、試験勉強に集中して、他人との会話が必要最低限のレベルに落ちてしまっていた方は要注意です。自分で思っている以上に、人と話す能力が落ちています。
私も受験生時代の末期に、ちょっとした体調不良で病院に行ったときに、症状を医師にうまく説明することができずに愕然とした記憶があります。また、私は新卒で銀行に入社し、1年ほどで退職してから会計士試験を受験して監査法人に入ったため、いわゆる新人研修を2回受けているのですが、グループワークなどの時の監査法人の新入社員の口数の少なさには非常に驚きました。
想像するに、多くの方がこのような状況ですので、コミュニケーションを取るときに、大きな声ではっきり話すだけでも、他の新人とは明らかに差をつけることができます。ちょっと意識するだけでも変わることは可能ですし、練習したいのでしたら、手近な書籍をはっきりゆっくり音読してみましょう。やってみると案外疲れるものですが、口やのどの筋肉が活性化され、きちんと話ができるようになります。また、中には吃音の方もいるかもしれませんが、発声の矯正も検討しうるでしょう。「英国王のスピーチ」という映画がありますが、これを見れば、きちんと話すことがいかに重要でかつ結構難しいということがよく分かると思います。
2.合コンの幹事をやろう!
学生時代や受験生時代からの彼氏彼女がいる方は、この項は飛ばしてください。そうでない方々、試験に受かって監査法人に入れば、お金も稼げるし、素敵な恋人ができるのではと淡い(濃い?)期待をしているかもしれません。今どきは、マッチングアプリが主流なのかもしれませんが、まだ合コンというカルチャーもXの投稿など見る限り根強く残っているようです。
合コンも、呼ばれて参加して、大した成果もなく同性だけでの反省会を開いて「あんまりいい人いなかったね」と言っているだけなら楽なものですが、幹事をやるとなれば大変です。彼氏彼女がおらず、かつできるだけ良いメンバーを集めなければなりませんし、お店も探す必要があります。参加者を楽しませることに気を遣いつつ、自分だってそれなりに成果を挙げたいとなれば、常に気を張ってふるまう必要があるでしょう。
また、残念ながらあまりうまくいかない時でも、あっさり諦めてはいけません。個別に仲良くなるほどではないけど、話が合わないこともない、くらいの相手に声をかけて、「次はメンバー代えてまたやりましょう」と敗者復活戦のきっかけをつかみましょう。
結局私は、色々頑張ったけれどこれといった成果に結びつけることはできませんでした(涙)。しかし、気後れせずに気軽に飲み会の幹事をやり、参加者に気を配るというスキルは一生役に立つと思います。皆さんもぜひ、人の集まりにただ呼ばれるだけでなく、人を集める幹事をする側の人になってください。
3.合格体験記を書こう!
公認会計士試験は試験範囲が広く、大量の学習を要求されるとても難しい試験です。人生で最も頑張ったことがこの試験の勉強だという人も珍しくないでしょう。膨大な努力の末に結果が出せたのだから、嬉しいし、自慢したくなるのは当然です。ぜひ、その思いをぶつけて合格体験記を書いてみましょう。書いた合格体験記は、noteなどで発表してみるのも良いでしょう。但し、匿名でやることを強くお勧めします。
合格体験記を書き終えたら、もう試験のことは忘れましょう。同期の飲み会で話題に上ったら付き合うくらいはかまいませんが、自分からその話をするのは極力避けましょう。また、監査法人のリクルートなどの必要な場合や、以前からの友人などとの付き合い以外で、会計士試験の受験生に接触するのは極力避けましょう。
監査法人に入ってしまえば、会計士試験に合格しているのは当たり前で、そこから仕事を学んでいくフェーズに入ります。辛いこともある中で、過去の成功に縋ったり、自分を尊敬のまなざしで見てくれる人たちの中に身を置くのは心地よいですが、それは麻薬みたいなものです。過去は合格体験記にいったん封印して、未来に目を向けましょう。
明日はRemさんです、監査法人・事業会社・コンサルと多様な経験をされており、以前は毎週noteを発信されていました。最近はお忙しいようで、久しぶりの記事を私も楽しみにしています!