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【家庭教師】一次関数

以前家庭教師をしていた時に、生徒さんがこんな質問をしてきた。

「一次関数、って何?『一次』はわかるけど『関数』がわからない。」

本質をついた質問だと思った。
非常に良い質問だ。

「『一次』は『一次式』を習ったし、見極める方法がわかったから、分かる。でも、関数って結局なんなんだ?具体的に説明されていないじゃないか。」
そんな問いだった。


私は学生時代、数学が得意だったため、一次関数の問題は解けたし問題の理解もできた。難なくこなしていた。じゃあ、関数の意味を理解していたのか、と問われると、それはNOである。まぁ感覚的に理解していた部分はあったと思うけど。

私のように、学生時代そつなく数学ができたタイプの人が今大人になって、中学生から「関数って何?」と聞かれたら、果たして答えられるだろうか?

一応、中学生は授業で関数をこう習う。

「関数」とは、 「xの値が決まると、yの値が1つに決まる関係」 のこと。このとき、 「yはxの関数である」 という。

この説明を聞いて「あーなるほど!関数ってそういうことね!」と納得する人が果たしているんだろうか。この説明が悪いわけではない。中学生に関数を説明するには、これが限界ということである。
「写像」とか「1on1」という概念を中学生に教えるには酷である。

もっと言えば、質問してきたこの生徒さんは「『一次』はわかる」と言っていたが、本当の意味でわかるには「次元」の概念が必要だ。



「関数」の言葉の語源をご存知だろうか?

「関数」という漢字(熟語)から関数を理解しようとしてもできない。なぜなら当て字だからである。関数とは、functionのことである。

西洋の数学が中国に持ち込まれた時、【function】の中国語訳をする際、functionの音に似た【函数】(ハンシュウ、、だったかな?)が当てられた。そして中国から日本に【函館(function)】の概念が持ち込まれた際、当時の日本では『函』の字が常用漢字でなかったため、同じ音の『関』に置き換えて【関数】となったらしい。だから『関』にそんなに意味はない、ということだ。

functionの日本語訳は「機能、はたらき、作用」である。他にも意味はあるが、関数のイメージに近いのはこの辺だろう。

x→【作用】→y

のイメージ。(あえて簡略化してます。)
xに何かしらの「機能、はたらき、作用」があってyの値が決まる。この「機能、はたらき、作用」が関数である。らしい。

関数を「ブラックボックス」に例え、その「ブラックボックス」的な意味を込めて、中国の人は「函(ハコ)」の字を使い、「函数」と訳したのではないか、とも言われている、、、が、この説はどうやら違うらしい。
「函(つつむ)」→「天は地を函む」の意味から、独立変数xと従属変数yのことを表してるんだとかなんとか。

数学が苦手な人からすれば、もうわけがわからないだろう。数学好きな私もわけがわからなくなってくる。



何が言いたいかというと、とにかく「関数を理解することは難しい」ということ。

そしてこれは関数についてだけでなく、子どもに対して「こんな簡単な問題もわからないの?」「これ去年習ったでしょ?」と大人が言うのはいかがなものだろう。
簡単だろうが、難しかろうが、わからないものはわからないし、去年できても今年できないことだってあるし、「関数」のように、大人側が「わかった気になっているもの」が、世の中には膨大にある。子どもは「わかった気にならずに、疑問を持ち続けている」のである。後者の方が尊いではないか。


中学生に関数を理解しろだなんて、私は言えない。数学が苦手なら尚更。
だから私は数学苦手な生徒さんには、深い意味まで語らない。関数だけでなく他のことについても。「言葉の意味はとりあえず置いといて、一回問題やってみよ!」と伝える。
導入でつまずいたら、数学苦手な子たちはますます食わず嫌いになる。ちょっとでも好きになってほしい。

好きになり始めたら、理解しやすくなることもある。

私もまだまだ、勉強中。

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