見出し画像

【学童】まるで物語のような③サスケの話

以前、とある放課後児童クラブ(以下、学童)で出会ったサスケ(仮名)の話を書いてみる。
(個人の特定を避けるため、事実を元に大幅にフィクション化してます。)

サスケは小学校2年生男子。支援員と絡みたがる低学年が多い中、サスケはあまり絡みたがらない。学童に来るとずっと仲良しの子とブロック遊びをしている。「サスケ何作ってるの?」とこちらが絡もうものなら「お前に関係ねぇだろ?」「見るなよ!」と言ってくる。そんなサスケだが、すごく大人のことをよく見ている。以前、別の支援員が「何の機会だったか、サスケに『もっと俺のことちゃんと見ろよ!』と言われたことがある。」と言っていた。
自分のことをちゃんと見てくれている大人、信頼のある大人が誰か、見極められる洞察力を持っているのがサスケである。

その日は、土曜日の学童だった。登所は2人だけ。低学年の女の子とサスケ。サスケが土曜日に来るのは珍しい。

学童が2人だけだと、とっても静かで、まるでいつもとは違う空間だ。そんな空間の中だと、サスケもとても可愛らしく素直だ。(いつもの憎まれ口を叩くサスケもちろんかわいいが。笑)
こちらの質問にも、まっすぐ素直に答えてくれる。いつもより落ち着いて見える。土曜日の学童というのはそういうものだ。平日に来るのと、子どもたちも気持ちが違う。平日に来ることよりも、土曜日に来ることの方が、寂しさを感じているようにも見える。当たり前だ。子どもだって家族とすごく休日が良いに決まっている。(きっと我が子を預けている保護者だってそう思っているだろう。)

その学童では、土曜日のおやつは平日に余ったおやつを使う。だから子どもたちからよく「これ昨日も食べたじゃん〜」と言われる。でも、そうするより他にないのだ。仕方がない。

その日のおやつは、前日に食べたロールケーキだった(もちろん賞味期限以内)。何とかそのロールケーキをよりプレミア感があるように出せないかと、おやつの戸棚を漁ってみた。ココアパウダーが見つかった。「こんなので喜んでくれるかなぁ、」と少し不安だったが、昨日と全く同じロールケーキよりは、ちょっと差がつけられるかなぁと思って、ココアパウダーをかけて、2人に提供してみた。

2人は思った以上に喜んでくれた。「えー!?ココアかかってるじゃん!!スペシャルおやつだ!!」とサスケは言った。その笑顔がとてもうれしい。

ココアパウダーのかかったロールケーキを食べながら、サスケは少し恥ずかしそうに

「俺ね、今日の朝、家で『学童行きたくなーい』って、めっちゃ泣いてたんだよ。でもこんなにおいしいおやつが食べられたんだから、俺幸せ!!今日学童来てよかったぁ〜」

と言った。


え。。私も幸せ!!!♡(´;ω;`)


サスケは、その日の登所時、目が真っ赤だった。きっと家で泣いたんだろうなぁと、学童に来るのが嫌だったんだろうなぁと思った。でもプライドの高いサスケだ。朝からその話をするわけがない。でも、まさか。おやつの時に話してくれるなんて。
サスケが自己開示してくれるだけでも嬉しいのに、「学童に来てよかった」だなんて、支援員からすれば感無量。


その後、私は土曜日の学童のおやつに、めちゃくちゃ力を入れるようになった。

いつかまた、別の土曜おやつのエピソードも書きたいと思う。


画像がロールケーキでなく、すみません。。。笑

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?