森吉山の楽しみ方
その名からしてキャッチー
秋田県北秋田市のほぼ中央(昔は秋田山と呼ばれていたことも)にある標高1454メートルのお山。純然たる独立峰としての秋田の山は「森吉山」しかありません。白神山地は青森県と接していますし、鳥海山は山形県と。
まず「森吉山」という名前の響きからして何だかほんわかしてませんか? “森”の奥底から“吉さん”がひょっこり顔を出すイメージ。
しかし、その名の印象に反して森吉山はかなり迫力満点。
「ごめん、あなたそんなにパワフルだったのね……」と、出会って数分でこちらが謝罪したくなるほどダイナミックな自然の宝庫です。
とんでもねぇ四季の「衣装替え」
春には新緑が輝き、夏には可憐な高山植物がわんさか咲き乱れる。秋になれば紅葉が山肌を染め尽くし、そして冬は真打ち登場の“樹氷”が待っている。
個人的には冬の森吉山がオススメ。
なぜなら「スノーモンスター」と呼ばれる樹氷たちが、もこもこ白い“怪物ルック”でずらーっと並ぶ姿は、一見ファンタジーRPGのラスボス軍団。いや、下手なホラー映画より恐ろしく—and 美しい。こんな光景を目にすると、もうゆるキャラの「森吉さん」なんて想像していた自分が申し訳なく思えてきます。
ドキドキが止まらない“ゆる鉄旅”
「行き方がもうすでに面白い」というのも、森吉山のポイント。秋田内陸縦貫鉄道(秋田内陸線)というローカル線に乗れば、まるで時間がゆっくりと逆戻りするかのような非日常を楽しめるんです。
車窓から見える田園風景や渓谷、季節によっては雪原が続く絶景など、飽きるどころか心拍数がじわじわ上がってくる。
駅の数も距離も“ゆる〜い”せいか、「次の駅、いつ着くんだろう?」と人生のリズムさえ見失いそうになりますが、そこがまたイイ。普段の慌ただしさを脳内から追い払ってくれるゆる旅、試して損はありません。
山頂で絶景“ライブ配信”気分
そしていざ森吉山の頂上付近までたどり着くと、ゲームで言うラスボス戦直前のワクワクと同時に、現実離れした展望が待ち受けます。雲が山肌を纏うように流れ込んできたかと思えば、一気に風が吹いて一瞬で晴れ渡る。大自然による究極のライブショーを、目の前で見ているかのような感動です。
「あ、なんか今日、雲少ないかも?」なんて油断していると、突然霧がもくもく押し寄せることも。くるくると表情を変えては翻弄してくる大自然の気まぐれっぷりに、こっちはもう振り回されっぱなし。でも、それがたまらない魅力なんです。
極めつけは“山麓グルメ”で追撃
森吉山でさんざん遊んだら、最後はやはりご当地グルメで締めたいところ。県北地域は言わずと知れた“キリタンポ”の本場ですし、熊鍋や川魚料理など、あっと驚くびっくりグルメが顔を揃えてます。どコッテリした熊モツや、黄色く輝くイワナのタマゴ醤油漬けなんて食べたことがないという人が9割9分。一瞬ひるむかもしれませんが、ここはチャレンジ精神でいきましょう。食べてみたら、「あれ、意外とイケるぞ?」なんて自分の舌の冒険が始まるかも。
こうした山と食のコラボレーションが楽しめるのも、「森吉山」というちょっとほのぼのネームに秘められたパワーの賜物。気づいたら心もお腹もパンパンに満たされてるんですから、まったく油断も隙もありません。
まとめ:名前じゃ測れない“森吉”の破壊力
森吉山はその名だけではまったく語り尽くせないほど、自然のドラマが詰まりまくった場所。ゆるキャラ的な名前に釣られて油断していると、びっくり仰天の絶景やレア体験が一気に襲いかかってきます。
結局のところ、“森の奥でご利益でもあるの?”くらいに考えていたら大間違い。森吉山は、四季折々の顔と地元ならではのグルメ、そして“ちょっと昔に迷い込んだような”ローカル線の風情が見事に合体した「自然のテーマパーク」です。
次の休みにでも、ぜひ森吉山へ。多分、帰るころには「吉くん」どころか、自分が山に惚れこんだ“熱き森ラバー”になっているはずですよ。心からの「マジかよ……!」がきっと、あなたを待っています。