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地方暮らしの楽しみ 「関与の余白」について

地方には「関与の余白」 がある

私は東京で8年間、武蔵境、高円寺、中野沼袋と転々と移動しながら暮らしたことがあります。

そこでの生活は何不自由ないものでしたが、今の暮らしと比べてみると、自分の意見が地域の未来に届く感覚は全く感じることがありませんでした。

大都市ならではの利便性や多様性は魅力的ですが、その一方で個々の声が埋もれがちで、自分自身が地域の方向性に影響を与える余地は限られていたのだなぁと、今は思っています。

しかし、秋田県北秋田市に移り住んでから気づいたのは、地方には東京にはない「関与の余白」が存在するということでした。

北秋田市は人口3万人弱の大きくも小さくもない中くらいの行政区画ですが、ここでは、次の市長選挙でどんな人物が市長になってほしいか、2040年に人口が半分になると予測される未来の公共交通機関や生活様式について、私たち一人ひとりが真剣に考え、意見を述べる機会がちょこちょこあります。

この「関与の余白」が、まちづくりにおける楽しみであり、やりがいともなっているなと気がつきました。

地方でのまちづくりは、単にインフラを整備するだけではありません。住民同士の対話や協力が欠かせず、共に未来を描くプロセスそのものが大きな喜びとなります。

例えば、私の住む北秋田市では地域資源を活用した観光振興や、地元産品のブランド化といった取り組みが進められています。これらのプロジェクトには、市民一人ひとりの意見やアイデアが反映されており、自分たちの手でまちを形作っていく感覚を強く持つことができます。

一方で、地方の未来について関心を持たない人々も少なくありません。

理由を尋ねてみると、「そんな先のことは分からない」「自分には関係ない話」「子どものことで忙しい」といった答えが返ってくることが多いです。この現象は、現代社会における情報過多や日々の忙しさからくるものかもしれません。未来が遠すぎて現実感が持てない、あるいは現状に満足して変革の必要性を感じていないという理由も考えられます。

しかし、地方にはその「関与の余白」が確かに存在します。私たちが主体的に関与し、意見を交わすことで、地域の未来を自分たちの手で微調整することが可能です。

例えば、北秋田市では高齢化や過疎化といった課題に対して、若者の定住促進や地域コミュニティの活性化といった取り組みが進められています。これらの課題に対する解決策を考える場が多く設けられており、市民が積極的に参加することで、より良い地域社会を築くことができます。

また、地方のまちづくりには持続可能性という視点も重要です。自然環境を守りながら経済を発展させるバランスを取ることは容易ではありませんが、市民一人ひとりの意識と行動が大きな力となります。

特に、再生可能エネルギーの導入や地産地消の推進など、地域に根ざした取り組みが進められています。こうしたプロジェクトに参加することで、環境保護と地域経済の発展を両立させる新しいモデルを創造することができるのです。

私が北秋田市で感じる楽しみは、まさにこの「関与の余白」にあります。自分の意見が地域の未来に反映される実感を持ちながら、他の市民と共に課題に取り組むプロセスは、非常に充実したものです。東京では得られなかった貴重な体験を通じて、地域社会に対する愛着と責任感が芽生えています。

地方での生活は、決して退屈ではありません。(もちろん嫌なドロドロしたところもありますが…)むしろ、私たちが自らの手で未来を形作る楽しみがそこにはあります。今ここにしかないこの瞬間を大切にしながら、私たちは共に北秋田市の未来を「関与の余白」を活かして築いていくことができるのではないでしょうか。

地方には、私たちが描く未来図を自由に描ける余地があります。でもきっと、田舎に住んだことで、その余白が見えやすくなっただけで、東京でも大都市でも関わり方は色々あったのかもしれないと思いました。
それぞれの地域で、それぞれのアプローチの仕方があるはずです。それを信じて、もう一度自分の声を大切にし、地域の未来に積極的に関与してみてはいかがでしょうか。新たな楽しみと発見が待っているはずです。

明るい未来は自分でつくれる。他人と過去は変えられず、変えることができるのは未来と自分だけとは、よく言ったもの。


秋田は自殺率も高い、給料低いなど住みにくいという意見の槍玉として挙げられることも多いですが、人口減少率ナンバー1の課題先進県というのは、ある意味おもしろいなぁと思っています。ゆくゆくは日本中、世界中がなってしまう少子高齢化の最先端が秋田県です。ここで、より幸せに、より良く生きるモデルを作り上げることは、これから全人類の希望にも繋がるかもしれません。夢物語ですが、夢も希望も持ちながら暮らしていきたいところです。

今日もお読みいただき、ありがとうございました!

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織山英行@マタギの足跡を辿る命の山旅
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