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なぜ過疎地域で観光振興が必要なのか


なぜ過疎地域で観光振興が必要なのか


はじめに

過疎地域の課題解決策のひとつとして、私は観光振興という手段をとっています。
人口減少や高齢化、若者の流出といった問題に対して、観光がどのように役立つのか。ちょっとまとめてみました。
観光に可能性を感じる部分を中心に書いていますが、かる〜く「観光も一つの選択肢だよね」という視点でご覧いただけましたら幸いです。


観光産業の成長ポテンシャル

観光産業は世界的に見ても、他の産業と比較して非常に高い成長率を誇ります。世界観光機関(UNWTO)のデータによれば、過去20年間の観光産業の平均成長率は年4%以上。
これは、農業や製造業などの産業を大きく上回る数値です。さらに、インバウンド観光(外国人観光客による消費)はコロナ禍からの回復が進み、2019年比で2024年には約2倍になると予測されています。

日本国内でも観光産業は経済の一部を担い、特に地方ではその重要性が高まっています。この背景を踏まえると、観光は地域経済を活性化させる「成長エンジン」の一つと考えられるのです。


観光の経済波及効果について

観光消費には「経済波及効果」と呼ばれる特性があります。観光庁のデータによれば、観光客が地域で1円を使うと、最終的に1.7円分の経済効果を地域全体にもたらすとされています。この1.7倍という数字はどのように生まれるのでしょうか?以下に、その仕組みを具体的に説明します。

経済がぐるぐる回る仕組み

観光客が地元の飲食店で1,000円の食事をした場合、そのお金が地域全体にどう影響を与えるかを考えてみましょう。

  1. 仕入れ先への効果
     飲食店が地元の農家や漁師から食材を仕入れることで、農業や漁業にもお金が回ります。

  2. 従業員の消費効果
     飲食店の従業員が給料をもらい、そのお金を地元のスーパーや商店で使うことで、さらに地域内でお金が循環します。

  3. 関連サービスへの波及
     観光客が宿泊施設を利用したり、地元のタクシーに乗ったりすることで、それらの事業にも収益が生まれます。

こうして観光客の1,000円が地域内で複数回「使われ直す」ことで結果的に1,700円分の需要の連鎖が起こっています。水面に投げた石から波紋がどこまでも広がるように、経済全体に広がる効果が大きくなるのです。


観光と他産業の波及効果の比較

観光産業が他産業と比べてどれほど地域経済に影響を与えるかを見てみましょう。観光の経済波及効果は「1.7倍」とされていますが、他の主要産業と比較すると以下のような特徴があります:

製造業:波及効果は1.2~1.3倍程度。多くの原材料や部品が地域外から調達されるため、地域内に留まるお金が少ない。

農林水産業:波及効果は1.4倍程度。地域内での経済効果はあるが、規模が限定される場合が多い。

小売業:波及効果は1.3倍程度。地域内での消費に依存するため、観光客を取り込めないと効果が限定される。

このように、観光産業の1.7倍という数値は、他の産業よりも高い波及効果を持つことを示しています。特に地域内での多様な消費を促進する点が、観光産業の強みです。


過疎地域に観光が向いている理由

観光が特に過疎地域に適しているのは、以下の理由からです:

地域資源を活用できる
過疎地域には美しい自然、伝統文化、特産品などの魅力的な資源が多く存在します。これらは観光産業において重要な要素であり、地域ならではの価値を生み出します。

初期投資が少なく済む
観光産業は製造業のような大規模な設備投資を必要とせず、例えば空き家をリノベーションして宿泊施設を運営するなど、比較的少額の投資で始められることが特徴です。

持続可能な発展を支える
観光客との交流が地域住民に誇りを与えたり、若者のUターンやIターンを促すなど、経済的効果以外にも地域全体を活性化させる要素があります。


まとめ

過疎地域における観光振興は、その地域が持つ特性を活かしながら、経済を循環させる仕組みを作るための有力な手段の一つです。しかし、観光だけに依存するのではなく、農業や林業、製造業などと組み合わせたバランスの取れた発展を目指すことが重要です。

観光はあくまで「地域再生の選択肢の一つ」として考え、柔軟な発想で取り組むことで、地域全体の未来がより豊かなものになるのではないでしょうか。


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