2025年スパサピへの想い
2024年は自分のプロデュース映画を3本も公開した。
どれも興業的には振るわなかった…。
作品的にはどれも満足のいく出来だった。
しかし、テレビ局やメジャー配給会社のビッグプロジェクトの作品に比べれば宣伝にかける予算も少なく、まずは作品を知ってもらう所で追いつけない。
増してや、公開2週目には他にヒットしている作品があるとそれらの上映回数が優先され、あっという間に自分たちの作品の回数は減る。
シネコン時代に突入してから、インディペンデント映画たちに突きつけられたこの現実は耐え難いものとなった。
もちろん、シネコンシステムになって以来のこの20年の中で『カメラを止めるな！』や昨年の『侍タイムスリッパー』というようなインディペンデント作品が大ヒットするケースも稀にある。
これらは作品に理解を示してくれた映画館の支配人が自らの想いを持って上映を続けてくれることで実現したものだと思う。そこには映画館と作り手の二人三脚のような関係があったからに違いない。どちらのケースもロングランしている作品を観たメジャー配給の関係者が「これは行ける！」と声を掛けたのだと思う。
ミニシアターがどんどん閉館する中、インディペンデントの良作がシネコンでの上映を余儀なくされると、あっという間にメジャーの波に飲み込まれて、その存在すらかき消されてしまう。昔、渋谷にミニシアターの雄と言われた「シネマライズ」があった。海外作品から日本の作品まで館主である夫妻が良いと思ったものを掛けてくれていた。『アメリ』や『ポンヌフの恋人』、是枝監督の『空気人形』などはそこで観たのを憶えている。映画館と作品の関係性によるヒットを生み出していた時代と現在のシネコン時代では悲しいかな大きな開きがあるのだろう。
SUPER SAPIENSSを始めて、今年で3年になる。原作づくりから作品を届けるまでを一気通貫させたい。製作委員会に頼らない映画作り、誰もが参加できる映画づくり、次世代クリエイターの発掘、育成等を掲げてここまで来たが、ついに2025年は「届ける」フェーズに突入する。初期ファンディングで製作した『THE KILLER GOLDFISH』が今年公開に至るのだ。「世界へ打って出る！」という約束を果たすべく、先に海外を周る作品としてユキヒコツツミ監督と世界各地の映画祭へエントリーを試みた。既に製作段階でファンディングによる資金では足らず、私自身が半分資金投入して制作に踏み切り、宣伝予算はほぼない。しかしながら各国の映画祭へのエントリー料をなんとか拠出しながらトライを続けた。海外から火を付けたい！そう思ったからには絶対に実現させる！そんな思いで完成から7ヶ月でロンドン国際ファンタスティック映画祭のオープニング作品に選出され、現地でのQ&Aにユキヒコツツミ監督と主演の岡エリカと私が登壇するまで漕ぎ着けた。今年2月下旬から開催される世界三大ファンタスティック映画祭の一つであるポルトガルのポルト国際映画祭での上映も決まった。
さて、ここからである。
先述したシネコンシステムにこの『THE KILLER GOLDFISH』というスパサピの魂のような作品を乗せてしまって良いものなのか？とふと思ったのである。
もちろん、既に自ら大金を拠出している状況で全国同時公開にも踏み切れないだろう。ならば魂を共有する者たちでこの映画を成功させる道を選びたい！そう思ったのである。本当の意味で「共犯者」たちが立ち上がる時だと本気で思うのである！
映画館1館と組む。それに加えて新しいスパサピならではの仕組みを作り出したい！そしてそれが成功すれば今後のインディペンデント映画への新しい配給システムに繋がるかもしれない。
具体的に言えば、たった1館での上映でも超ロングランをやれれば、そこから火が付くだろう。その火をどんどん繋いで行こう！そんな考えでいる。そして、どうしてもその1館に来れないけれど、どうしても今見たい！という人の為にシステムを構築しよう！と考えている。いつも「森谷さん、そんな無茶な！」と言われる。しかし、誰かが「無茶な」をやらないと次に繋がらない。そう思ってトライしないと誰もトライしないし、仮にそれが成功したならばトライした人たちは次の世代にそれを渡せる。
新年にまたもや熱い事を書いているが、次なるフェーズへ向かうスパサピの第一歩として、この配給システムを成功させたい！想いは溢れない限り伝播しない。どうしてもこの想いを知って欲しくて久しぶりにnoteに書いた。今、motion galleryでクラファンをしているが、年末から全く動かない。もし、「ずっと動きがなかったから」と思わせたのなら申し訳ない。動きがなかったのではなく、ずっと準備していたと思って欲しい。我々はこの2025年に遂に本当の意味での共犯者となり、次なる狼煙をあげる時が来たのである。
絶対に『THE KILLER GOLDFISH』を成功させたい！
絶対に次世代に繋げる仕組みを作りたい！
まだまだ苦しい時間を過ごす覚悟は出来ている。でも、それをワクワクに変えて行きたい！
一緒にワクワクに向かって行く力を下さい！
2025年のスパサピへの想いをこの新年にここに記します。
SUPER SAPIENSS プロデューサー森谷雄