些細なあの出来事がすべての始まりだった。人生で初めてのパニック発作

パニック発作に初めて襲われた日のことを今でも鮮明に覚えています。と言うか、忘れることができません。

2006年秋のある朝、私はいつものように出社前、熱い湯船で汗を流しながら仕事へのボルテージを上げていました。同年5月、ビジネスパートナーらと起業し、売上げはまったく振るわないもののやる気だけは誰にも負けないくらい、日々前向きに100%の力で仕事と向き合っていました。

前日の疲れを熱湯で吹き飛ばそうと湯船に浸かり過ぎて、のぼせそうになり立ち上がると、全身から血の気が一気に引いて行くようで呼吸をするのもままなりませんでした。濡れた体のまま何とか浴室から出て、倒れ込むように当時一人暮らししていたワンルームマンションの床に全裸で倒れ込みました。

風呂やサウナでのぼせたことはありましたが、以前とは比べものにならないハードさで「命の危機」を感じました。大の字になり、天井を眺めながら、このまま孤独死するのかと思うと、母に申し訳なく泣きたくなり同時に意識が遠のいていく感覚に襲われました。

どれくらい眠っていたのでしょうか? 意識を取り戻すと呼吸が普通にできていました。手足を動かすこともできました。「死なずに済んだ」あの時ほど生きる喜びを実感したことはありません。「自分はなんてラッキーなんだ」九死に一生を得た気分で、その日幸せに満ちた気持ちで過ごすことができました。ただ肉体のダメージは大きく、全身痛と倦怠感が数日続きました。

それから数週間、のぼせた苦い記憶も忘れつつありました。出社前いつものようにテレビを見ながらくつろいでいると不意に息苦しさを覚えました。のぼせて床に倒れ込んだ記憶がにわかに蘇り、呼吸ができない感覚に陥りました。パニックになり、このままだと窒息死すると、気づいたら救急車を呼んでいました。

十数分後、マンションに救急車が到着し、インターホンが鳴り、自ら歩いて玄関まで行き、車内のベッドに横になり血圧を計られ、近くの救急病棟へ運ばれました。着いた時に呼吸は少し楽になり、落ち着きを取り戻しつつありました。1時間ほど点滴を受け回復すると、聴診器で問題がないことを確認してもらい、自ら歩いて病院を後にしました。

「あれは一体何だったのか??」これが私にとって初めてのパニック発作で、この日を境にたびたびこの原因不明の症状に襲われ、15年近く経った今も悩まされ続けることになるとは、夢にも思いませんでした。








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