第20回 back numberの新曲『新しい恋人達に』から見えてくる現代の父親像
清水さんに『父性』をテーマに詞を書いてもらうと、福山雅治さんの『家族になろうよ』のような強い父親像ではなく、『こんな情けない父親だけど君のことを大切に思っているよ』という、不器用だけど優しい父親像になるのだなあと思いました。
主題歌になっているドラマは、2024年7月1日から始まった月9ドラマ『海のはじまり』です。
あらすじは以下の通りです。公式HPから拝借しています。
新曲『新しい恋人達に』は、主人公・夏と娘の海ちゃんをイメージした曲なのだと察することもできます。
自分が知らない間に生まれ、成長した6歳の娘に対して、父親として何ができるのだろうかという主人公の葛藤が歌詞の随所にちりばめられています。
特にサビの部分は秀逸です。
自分が知らない間に成長した子供の無邪気な行動を優しく見守る父親、という情景が目に浮かびます。
『かける言葉があるとしても僕にはとても探せない』とありますが、これは大人になってしまった自分にはもうわからないと捉えることもできますし、今まで父親じゃなかったから言葉が見つからないという風にも捉えられる気がします。
子供のことを『僕にはもう見えないものを描く君』という表現で捉えるところ、美しすぎませんか?
そのあと
と、父親として子供のために何かできるんじゃないかと考え、それで少しは自分を誇りに思えるのではないかという希望を表現しています。
しかし、
と、子供の成長にとって自分に何かできるのだろうか、本当にそれが子どものためになるのか?と葛藤しているように見えます。
特に『誰の人生だ(子供の人生だろ)』という言葉が5回使われていることで強く葛藤が表現されています。
自分の親もこんな風に葛藤しながら育ててくれたのでしょうか。
最後は結局のところ
子供が伸び伸びと成長してくれることが将来のために一番大事だと考え、
と、父親として『何かをしてあげる』のではなく、『背中を押してあげること』が、自分にできる精一杯のことだと悟っているように見えます。
笑って頷く、つまり何も言わないというところに深い愛情を感じます。
また、この詞の部分は結婚式を想定しているのかもしれません。
そしてご察しの通り、『新しい恋人達』というのは将来大きくなった子供とその恋人のことですよね。
複雑な環境で育った子供が、大切にしたいと思える人と出会い、家族を作ろうとしている。
素敵なパートナーと巡り会えたんだね、どうか二人で幸せになってね。
そしてその思いは恐らく二人の子供にも受け継がれていくのでしょう。
タイトルにはそんなメッセージが隠れている気がします。
歌の冒頭は別れからはじまり、新しい命の予感を感じさせるラスト…。
親の思いが次の世代に受け継がれていく感じがとても感動的。
back numberはメロディもさることながら詞が本当に素晴らしいので大好きです。
この素晴らしい新曲をヘビロテして楽しみたいと思います。
ドラマはFODで見たいと思います。
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