【検証してみた】運転免許証のICチップには何が記録されているのか
従来の紙の保険証廃止、マイナンバーカードへの統一の問題が取り沙汰されているが、ICチップを搭載していると言えば、現在の運転免許証も同じである。
では、運転免許証にはどんな情報が入っているのか、見たことがない人が大半だろう。自分も見たことがなかったので、ちょっとやってみた。
1.NFC読み取り可能なスマホにアプリを入れる
最近のスマホは、大半がNFCを読み取れるはず。今回は、Pixel 6aを使った。
アプリも色々あるが、今回はAndroid対応の「IDリーダー」を使った。
2.アプリを起動する
アプリを起動したら、[運転免許証リーダー]をタップする。
3.暗証番号を入力する
免許証の暗証番号は4桁の数字になっている。そして、暗証番号には「1」と「2」の2種類が存在して、「1」だけを入力すると一部の情報が表示される仕組みになっている。
ここでは、両方入力してみる。
4.免許証にスマホを密着させる
あとは、免許証にスマホをピッタリ密着させるだけで良い。以下の情報が表示されるが、モロに個人情報なので、大きめのモザイクをかけておく。
雑感
身分証明・本人認証に使うなら、運転免許証にせよマイナンバーカードにせよ、これからは暗証番号の入力を必須にする必要がある。ただ、暗証番号を覚えられない人、身体障害により伝えられない人やICチップ入り身分証明を拒否したい人は、どうするのか。
一つの案としては、あまり流行っていない生体認証を取り入れる方法がある(ICチップ入り身分証明を拒否したい人には解決にならないが)。生体認証には、指紋、掌紋、虹彩、静脈、耳介、顔、DNAなどを使ったものがある。指紋は偽造が簡単なので除くとすれば、掌紋や虹彩あたりがいいかもしれない。ただ、コストはそれなりにかかるので、それをどうするのか。たとえば、ネットカフェが全店で虹彩認証を取り入れるなんて、非現実的だろう。また、掌紋や虹彩は変更できないので、もし個人データが漏れた時にどうするのかが問題になる。
あるいは、ICチップを体内に埋め込む方法も考えられる。RFIDやNFCを使ったチップを埋め込めば、偽造の恐れはなくなる。RFIDは電波が飛びすぎるので、NFCの方が良さそうだ。ただ、どちらも安全性、コスト、倫理面の問題があり、まだ実験段階だ。
また、本人ではなく、代理人が本人認証を受けることによって、身分証明の代わりとする手段も広めに用意しておく必要があろうが、そこが抜け道となっては意味がない。
ちょっと調べるだけで、本人認証というのは大変面倒で解決の難しい問題をはらんでいることがわかる。マイナンバーカード推進派も拒否派も(自分自身も)、本人認証をもっと勉強しなければ、実りある議論はできないだろう。