先日 ニホンミツバチの養蜂歴30年以上の師匠を訪ねたら ちょうど蜂さんたちは分蜂の最中だった 新しい女王蜂たちが誕生し それぞれの女王蜂と共に 働き蜂は新しい住処へと移動 約1万匹と言われる蜂さんたちが 一斉に飛び出してくるから 群れを遠くから見ると それはまるで生き物のよう 私も移住して最初の年に ニホンミツバチの生態などを勉強し 巣箱を置いて養蜂を始めた 翌年の春に巣箱は3つに増え 初夏には初めての採蜜を経験した しかしその後 スムシという蛾の幼虫に巣を食べ
こちらに移住してから 水を汲みに行くようになった 湧きたての“生きているお水“の味を 覚えてしまってからは 定期的に足を運んでいる 先日遊びにきた8歳の姪っ子を 近くにある行きつけの泉へ連れていった コンコンと湧き出る様子を見て “血管を流れる血液見たいね “と一言 彼女は時々哲学的なことを言う 都会育ちの彼女は 水の甘さに感動していた 縄文土器や遺跡を見たばかりだったからか “ 縄文時代の人達もこうして水を汲んでいたんだろうね〜“ と目をキラキラして言う
すっかり春模様の中 大工のYさんからお声がかかり またもや宝材(廃材)を頂きに行った Yさんのお客さんから 処分に困っていたので助かったと喜ばれた こちらもすぐに温室の骨組みに 使用できて有り難かった 廃材も生まれ変わって 嬉しそうだった 表装の仕事を始めてから 裏打ちをした裂地や和紙の余りが 山のようになってきて どうしようかなと思っていた 細かくして 名刺に貼ってみたら 小さなコラージュ作品のようになって 時間を忘れるほど つくるのが楽し
リノベを手伝ってくれている大工のYさん 経歴がちょっと面白い 20代後半まで 会計士の仕事をしていた 退職後は移住し 職業訓練校で家具造りを学ぶ そこで将来奥様となる方との出逢い あとは住宅建設関連の仕事をし 独立して今に至る 現在は新築は請け負わず 修理やリノベ、水道工事もこなす Yさんの仕事のスタイルは独特で 一切宣伝はしない 見積もりは書面ではなく口頭で それでもいつも1年先まで スケジュールは埋まっている 誠実で確かな仕事 アフターケ
アイルランドで 古材を使用して建てたホステルでの滞在が 20年以上経った今の暮らしに 大きな影響を与えている 母家の隣にある築70年以上経っている牛舎を リノベしようと思った時に 自分の中で浮かんできたのが 廃材・古材・地元のモノ なるべく自然なモノ(土に還るモノ)を 使用したいということ とはいえ、経験はほとんどないので 道具の使い方から教えてくれて 一緒にリノベしてくれる大工さんいないかな〜と想い 移住してからいろいろあたった 1年くらい経った
縄文土器に魅せられて 大学で陶芸を専攻したものの 在学中に生業として 陶芸家の選択肢は無くなった きっかけは教授と学生たちで周った 九州への研修旅行 陶石土の採掘現場を見学した時に 重機で山が削られている様子を見て 痛みを感じてしまった 既に日本では良質の陶石土は枯渇し 中国からの輸入に頼っているという しかも中国産もだんだんと 質が落ちてきていると聞いた 私たちは必要とする以上に 資源を使い過ぎていないだろうか 必要とする以上に 物を作り過ぎ
うずまきに惹かれ始めたのは 縄文土器がきっかけだと思う 中学生か高校生か忘れたが 初めて縄文土器を 目にした時の衝撃は忘れない 放たれるエネルギーに圧倒され この土器を作ったのは どんな人たちなのだろう どうやってこの装飾性に富んだ土器を作ったのだろう それを少しでも知りたいと思い 大学では陶芸を専攻した 大学の裏山から粘土質の土を採取し 土を作るところから実験し 成形するのに必要な道具を作ったり もちろん野焼きもした 実際に作ってみると 目に
アイルランドのホステルでの体験が 20年以上経った今のお山くらしに 影響を与えているな〜と感じる 母家の隣にある牛舎 開拓民の方がそこに生えている木で建てたという そこを友人たちと今リノベをしている なるべく新しい材料は買わず もらってきた古材や廃材を使っている リサイクルショップで見つけたものもある 友人に頂いた古い窓を取り付けている時などは “ これは病院を解体した時にもらってきたんだ “ とホステルのオーナーが 自慢気に話ていたのを思い出していた
ホステルでの生活が1ヶ月も過ぎると 村(私の感覚だとこちらの方がしっくりくる)での 顔見知りがだいぶ増えてきた 人より羊の数の方が多い所で 東洋人が歩いていると目立つ 一度も会ったことがない人でも 私のことは既に知っていて “あなたがホステルに住んでる日本人ね?“と 親しげに話しかけてきてくれる ある日 村人と世間話をしていた時 以前この港町では大きな道路を 建設する予定があったのだけれど その予定地の中に「fairy circle」と呼ばれる “妖
クリスマスをイギリスの友人宅で過ごした後 再びフェリーに乗りアイルランドに戻ってきた そしてまた港町にあるホステルに泊まった 真冬のホステルに旅行者はほとんどおらず 地元の道路工事に携わる人達や 町に多く残る茅葺屋根の 葺き替え職人などが長期滞在をしていた “ゲールタハト“と呼ばれる アイルランド語(ゲール語)が話される地域から来た 測量士にゲール語を教えてもらったり 茅葺職人から誘われて葺き替えのバイトをしたり 未だ建設中のホステルの材料集めを手伝っ
裏手にはたくさんの 古材が横たわっていて それを板に加工する機械もあった ホステルの暖房やお湯は 端材を燃やす時の熱を利用した 薪ボイラーシステムで供給されていた だから夜に シャワーの水が冷たくなると 真っ暗闇の中、オーナーは材木をくべに 懐中電灯片手に飛び出していった “ 解体した古い建物の材木は まだまだ使える質の良いものが多い その上 経年変化でいい味を出している アイルランドやイギリスは既に多くの森を失ったから 目の前にある森林資源を再利用
アイルランドの港町にあるホステルは 一見すると築何十年といった貫禄があった 自分で建てたというオーナーに訊くと “ 築3年 “ という とてもそんな風には見えない! と驚いていると すべて解体された建物の材を使っているという 窓はもちろん屋根を覆う “ スレート” と呼ばれる石までリサイクル 材料が経てきた時間が折り重なり いい味を醸し出していた ホステルや自宅の為に古材を集めているうちに それを見た町の人の中から パブやレストランの床材・カウンターなど
大学を卒業後、渡航に十分な資金ができたら アイルランドへと飛んだ “ なぜアイルランド? “ とよく訊かれたが ウズマキいっぱいのケルト文化に興味があったとか 妖精を信じている人たちに会ってみたかったとか いろいろ理由を挙げればあるのだが 一言で言えば “ 直感 “ “ アイルランドへ行かなければこの先の人生は始まらない “ という漠然とした想いだった 本当は予定は未定の気ままな旅に出たかったが 親が心配するのが目に見えていたので Galwayという西の
いつから心惹かれ始めたのだろう 中学時代に図書館で遭遇した 縄文土器の模様がきっかけかな 多分そうだと思う それから世界中の “ indigenous people “ と呼ばれる アイヌ・マオリ・アボリジニー・イヌイット・タイの山岳民族・ケルト….. 彼らが生みだしたモノには ウズマキ模様が共通して使われていることに 好奇心のセンサーが反応した 自然界には台風・竜巻・海の渦潮などのウズマキ 巻き貝の殻・きゅうりのつるも渦を巻いている 探せば限りない
新しい土地に住む際に 試してみたいことがあった 必要だと思い込んでいるものを “ナシ“ で過ごしてみるということ 例えば 冷蔵庫・洗濯機 ・掃除機….その他の電化製品 そして田舎での生活には欠かせないと言われる 車 これらを購入せずにしばらく暮らしてみることにした 都会での便利な生活から離れるタイミングは 実験する絶好のチャンスだった 引越したのが真冬ということもあり 食料は箱に入れて外に出しておけばよかった 暖かくなってきても 涼しい所で保管したり 買
古民家に想いをよせるようになったのは 田舎で暮らす祖父母の影響が大きい 幼少時から毎年夏休みに訪ねた 鬱蒼とした森に囲まれた木造平家 寡黙でいつもにこにこしている祖父が縁側に座り 山で拾ってきた木片を削る姿が 今でも目に焼き付いている 木造の家 独特のあたたかさ 七輪や蚊取り線香の匂い “真っ暗な中から手が出てくるよー“とからかわれ 毎回用を足すのも怖かったご不浄 カブトムシ・トンボ・ヘビ…..との遭遇 一つ一つが都会生活ではできない体験で 遊園地や