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入院してみて初めてわかったこと5選

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入院して初めてわかったこと5選 音声版
https://note.com/moritomo219/n/n6c0973b8d606

私は31歳にして3回の入院経験があります。

1回目はギランバレー症候群。

2回目は視神経炎。

3回目は上行結腸憩室炎。

全て理学療法士になってからです。

毎回入院すると新たな発見があります。

病院で働いて1日8時間以上いてもやっぱり患者にならないと分からないことってたくさんあります。

だからといってみんな患者になる必要はないですし、分からないからだめってことではありません。

違う立場の人のことを100%理解するのは難しいです。

しかし、分かろうとする姿勢は大事でやはり自分のことを分かってくれる、分かろうとしてくれる人には信頼が集まります。

もちろん技術や知識は重要ですが、自分の苦しみを分かろうとしてくれる医療従事者って案外少ないような気がします。

私が入院してみて初めてわかったことの中で衝撃が大きかったもの5選を今回はご紹介します。

①ナースコールを押すのは超気を遣う

「トイレ行く時はナースコールで呼んでくださいね」
「はい」
「○○さん、1人でトイレまで歩いて行ったらしいじゃないですか。ちゃんと呼んでくださいよ」
「忙しそうだから申し訳なくて・・・」

あなたもこんな会話したことあるんじゃないですか?

私もありますね。

忙しいけどそれが仕事なんだから気にしないでいいのに

転倒されたら困るから呼んでよ~

とか色々思うわけじゃないですか。

私も(私は理学療法士なので実際に対応するのは看護師ですが)仕事なんだからそこは気にせず呼んだらいいのでは?と思っていました。

自分がトイレに行くたびにナースコールを押さなければいけなくなるまでは。

1回目のギランバレー症候群の入院では最初全く歩けなかったので車椅子でした。

すぐに車椅子とベッドの移乗はできるようになりましたが点滴の管理まではできずに見守り~軽介助レベルでした。

そのため、トイレに行くたびにナースコールで呼ぶわけです。

そのたびにこんな葛藤が生まれました。

他の部屋でもナースコール鳴ってるな・・・
急ぎじゃないから少し待つか・・・・
そろそろ夜勤帯との申し送りの時間だよな。
後でもいいか。
昼の時間だから休憩行ってる人もいるし食事介助とかで忙しいかな
少し待とうかな。

どんだけ待つんだーーーい!!!

でもリアルにこんな感じです。

点滴しているからトイレの回数も普段より増えます。

1日に何回でも呼びます。

トイレに行ったら帰りも当然あるわけで、トイレからも呼ぶんです。

ストレスです。

正直かなりストレスです。

もう1人で行っちゃえーー!ってやってしまった患者さんたちの気持ちがよくわかりました。

ナースコールを押すことがこんなにストレスになるなんて。

これは私が勤務する病院に入院したことで余計に状況がわかるというのもありますが、そうでなくても気を遣いやすい人は特にあるあるです。

ではこれが分かった私が変えた行動・・・

リハビリの時にトイレ行きますか?と聞くようにする

です。

なぜか分かりますか?

私が「トイレ行きますか?」と聞いてあげれば、ナースコールを押す回数が1回減るからです。

「忙しいかな、後にしようかな」って悩んだりストレスを感じながらナースコールを押すのが1回減らせるのです。

トイレに1人で行ける人には聞かなくてもいいですが、毎回ナースコールを押す必要がある人に対しては聞いてあげると予想以上に喜ばれます。

言葉には出さないかもしれませんが、私ならありがたいと思いますね。

これは新人さんでも、新たな知識や技術を習得しなくても明日からできることです。

ぜひ試してみてくださいね。

②車椅子でトイレに行くのが大変

これもギランバレー症候群の時ですが、最初私の安静度は車椅子でした。

安静度というのはどこまで動いていいよっていう指示のことです。

車椅子可の場合は車椅子への移乗や車椅子移動がオッケー

病棟内歩行可であれば病棟内であれば歩行での移動オッケー

といったように病院ごとに多少言葉の違いはあると思いますがこういう制限があります。

車椅子が自立したので1人で個室のトイレに行きました。

トイレのドアが折り戸だったのですが、トイレの中側に折れる構造でした。

折り戸とはこのようなドアです。

車椅子でトイレに入ってドアを閉めようとしたら内側に折れるので車椅子に当たるんですw

トイレが広ければ問題ないですが、前方にはすぐ便座があったのでうまくつけないとドアが閉まりませんでした。

しかも車椅子から立って手を伸ばしてドアを閉めるといのも結構大変でした。

車椅子でトイレに行っているということは多くの場合、歩行が困難とかバランスが悪いといった状況です。

そのような状態で折り戸の狭いトイレに車椅子で1人でいくというのはこんなにも大変だったのかと驚きました。

患者さんに対して、車椅子なら大丈夫だろうとあまり詳細評価せずに自立にしていたので猛反省でした。

その後歩行器で自立したのですが、歩行器でならトイレの中で方向転換もできるしめちゃくちゃ楽でした。

必ずしも車椅子の方が安全というわけではなく、トイレの環境によってかなり左右されることが分かりました。

車椅子でトイレ自立にしようとする時は、普段使うであろうトイレで移乗だけでなくドアの開閉も確認した方が良いです。

これも明日からすぐできることですので、やってみてくださいね。

③絶食すると驚くほど唾液量が減る

これは直近の入院で初めて感じたことです。

大腸の憩室炎で入院したのですが、腸を休ませるために最初は絶飲食でした。

絶食だけかと思ったら絶食でした。

ずっとお腹が痛く、まるで食欲がなかったので意外と大丈夫だったんですが水分はほしかったです・・・

すぐに水分だけ許可は出たのですが、水分がとれても口腔内かなり乾燥しました。

うがいをマメにしたり少量頻回に水分をとっても結構乾燥するんです。

すぐに食事をしていないから唾液が出てないのか!と気づきました。

そして、PEGUやNGチューブなど経口摂取できない患者さんの口腔内が乾燥しがちなことを思い出しました。

食べないってこんなに唾液量減るんだ・・・

唾液が減れば口腔内は乾燥して、細菌が増えやすい環境になってしまいます。

結果、肺炎などの発症につながるので絶食だから歯石とかできないから口腔ケアはそんなにいらないよね~じゃなくて絶食だからこそ全身管理のために口腔ケアはかなり重要だと改めて思いました。

今は回復期で働いているので機会は減りましたが、急性期にいた時は理学療法士ですが私は口腔ケア結構してました。

離床前にマウススポンジで湿らすくらいはすぐできますしね。

普通に考えて口の中カサカサの状態で運動とかしたくないですからね・・・

最初は言語聴覚士に聞きながらやりましたが慣れてからは1人でやってます。

病院や施設によってはどこまで踏み込んでいいかが変わるので確認をして、できそうであればやってみるといいですよ。

④ステロイドには抗えない

これは視神経炎での入院で感じたことです。

治療のためにステロイドパルスという、ステロイドを大量に点滴するという治療を受けました。

ステロイドパルスは多発性硬化症などでも使用される治療で、神経内科の病棟担当だった時には良く出くわしました。

ステロイドといえば副作用が強いというイメージを持っている人が多いと思います。

私もしっかり副作用きました。

ただステロイドパルスをしたことで劇的に良くなったので、もちろんプラスな面が大いにありました。

ステロイドの副作用はたくさんあるのですが、私が出たのは以下のものです。

睡眠不足
食欲増進
ムーンフェイス
全身の浮腫
体重増加
倦怠感
動悸

結構あります。

この中で食欲増進ってあるのですが、これは予想をはるかに超える食欲増進でした。

全く満腹にならないんです。

病院食では全く足りずに、食後に差し入れしてもらった焼き肉弁当やラーメンを軽く食べていましたが、それでも満腹になりません。

さらに不眠で夜寝られないから余計に食べたくなるんです。

その葛藤が大変で。

知らない人からすると、意思が弱いのでは?と思うかもしれません。

しかしステロイドというのはホルモンの一種です。

簡単にホルモンの作用と逆のことを起こせますか?ということです。

無理ですね・・・

ステロイドを使用する方の中には周りから、食欲増進してしまうことに対して

病気なのにそんなに食べてておかしい、仮病なんじゃない?
もっと我慢できないの?意思が弱いだけでしょ?

なんて言われていまうこともあるようです。

ちなみに私の母も子供のころにある病気でステロイドを使ったらしく、

「病気で入院してたのになんでそんな太ってるんだ」

とかなり言われたそうです。

病気になると痩せるというイメージを持つ人が多いからですね。

ステロイドをあまり使用しない診療科に関わっていると医療従事者でもあまり知らない人もいるようですが(もちろん専門、専門外が誰にでもあるので普通です)気合いでどうにかなる程度の副作用ではないことを知ってもらえると嬉しいです。

ステロイドに限らず副作用って程度も症状も個人差がかなりあります。

全員が同じようにでるわけではないので、食欲があまり増進していないからといって軽いとか楽というわけでもありません。

様々なパターンがあることを理解しようという姿勢が大事ですね。

⑤入院中に障害受容なんてできない

これは度々言っていることですね。

よく医療従事者が

○○さんはまだ障害受容できていないから、リハビリが進まない

ADL訓練の受け入れが悪い

なんて事を言ったりします。

最近減った気もしますが(主観)

特にギランバレー症候群を発症した時に思いましたが、自分の身体が思うように動かないことをそうすぐに受け入れられる人って逆にいるんですかね。

身体が思うように動かないというのは、何かするたびにできない事をどんどん発見してしまうんです。

そのたびに落ち込むし、将来を考えて不安になったり当たり前にします。

入院期間中に受容しきるなんてことは私はありませんでした。

むしろ退院してからが始まりで、日常生活に戻ってできないことにしょっちゅうぶち当たります。

受容できてきたかな、と思ってもまた葛藤したりするんです。

治るという希望を持たずには精神を保てない人もいます。

どこかではもう治らないことが分かっていても自分を守るためにはそうするしかない人もいます。

簡単に『受容できてない』と言ってしまうことにかなり違和感を感じるようになりました。

ギランバレー症候群を発症してまもなく7年になるのですが、今ですら受容しているのかと聞かれると自信をもってYESとは言えません。

そういうものです。

まとめ

入院して初めてわかったことは多くあるのですが、今回は代表的なものを5つご紹介しました。

何か一つでも「なるほど」と思うことがあれば嬉しいです。

医療従事者がより患者さんを理解して全体的な医療の質の向上につながるような発信を今後もしていきたいと思います。

感想、質問等ありましたらお気軽にお問い合わせください。

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