スイス漫遊記~美しく清廉な自然に囲まれた街~
スイスのジュネーブに到着
羽田を出てジュネーブまで、丸一日移動に使った。ようやくたどり着いたジュネーブ空港は質素な佇まいで、特に活気に溢れているという様子はなかった。
空港を出て、スーツケースを押しながらレマン湖まで約1時間ほど散歩をした。閑静な住宅街はお洒落な様相で、家を覆う草木ですらデザインの一部とさえ思える。気温は秋の始まりのような涼しさで、まだ着込むほどではないがジャケット一枚あれば何とかしのげるような温度だった。
ジュネーブに来るきっかけは、一つの寄付である。これまで寄付というものはコンビニで募金箱に小銭を入れるくらいだった私だが、ジュネーブで日本文化を広めるために活動を始めた団体を見かけ寄付をした。それによって私自身もスイスに行こうかという気持ちになり、今日、2024年9月27日晴れてジュネーブに到着ということになった。
さらには、スイスと日本の交流160周年となる今年は、日本祭りというイベントが9月29日に開かれるとのことで、それに参加することも決まった。私の担当は設営と書道教室のアシスタントなので、今からそれが楽しみでならない。
今はホテルの朝食ビュッフェを食べ終えて、のんびりとしながら記事を書いている。
レマン湖の美しさ
ジュネーブに着いた観光客がまず初めに何をするかと言えば、やはりレマン湖を見ることから始めるだろう。変わりやすい天気ではあったが、レマン湖の周辺を歩くと、何とも言えない美しさに心が奪われた。
白いゴリラの像を見て、レマン湖を噴水がある方に向かって歩いた。たおやかなる峰の上にはマシュマロのような雲がかかり、手を伸ばして掴んで食べられるのかと思えるほどに白くやわらかな姿をしていた。
レマン湖を囲うように歴史を感じさせる重厚な建物が立ち並んでいる。確かな歴史を刻んできた建物の朴訥とした佇まいと、レマン湖の静かな波を比較してみると、なんと穏やかな街並みであろうかと思った。
オーストラリアのシドニーに住んでいた頃は、観光客も多く街の中心部はとても騒がしかった。日本の大都会に比べればまだ穏やかではあったが、人々は活気に溢れており、街の至る所にPUBやカフェがあり、作業服を着た人々が忙しなく働いているのを見た。
それに比べて、スイスのジュネーブはのんびりとしている。観光客もそれほど多いわけではなく、街も静かで若者よりも老人の方が多い印象だ。物価が高いことが観光客を寄せ付けないのかもしれないが、現地に住んでいる人々の様子はゆるやかに人生を楽しんでいるように見えた。
フランス語が公用語であるから、街を歩いていても聞こえるのはフランス語が多い。時折、ドイツ語や英語も聞こえたりする。黒人を見かけることも多い。雰囲気は滋賀県に都会さを足したような感じである。
かつて、敬愛するサマセット・モームがこの地でスパイ活動をしていたのだと思うと、私は縁というものの不思議さに何とも言えない気持ちになった。レマン湖の周辺を散歩しながら、サマセット・モームが思索に耽った時間に思いを馳せると、彼が生み出した作品群の素晴らしさにジュネーブという土地は何かしらの影響を与えたのだろうと考えられた。
噴水に近づくような形でレマン湖を歩きながら、美しい街並みを写真に収めた。天気がとても変わりやすく、大きくて濃い灰色の雲がやってくると途端に大雨が降る。なんとも気まぐれな天候である。
時差ボケにやられる
14時も過ぎてくると眠気に襲われた。それもそのはずで、日本では21時頃である。16時ともなると眠気はピークに達し、15時のチェックインを済ませてしばらく粘ってみたのだが、16時頃にはどうしようもなく部屋に入って眠りについた。
目が覚めると20時30分になっていて、自分でも思っていたより寝てしまった。途中、部屋を共有している人々のフランス語が聞こえたので、あまり深い眠りではなかった。
眠い体を起こしてシャワー室でシャワーを浴びた。温かく勢いのあるお湯が出て助かった。日本から持参した洗剤等を使って綺麗に体を洗ったのち、再びベッドに入って眠りについた。
たっぷり10時間以上はベッドの中にいたことになる。旅の始まりはまず時差ボケを直すところから始めなければならなかった。今は万事快調で記事を書いているが、ビュッフェでかなりお腹がいっぱいになったので僅かに眠気があるが、コーヒーで眠気を散らそうと思う。
スイス漫遊の初日
初日を終えて、今日はなっぱさんという方の旦那さんと息子さんと一緒にスイス観光をする。それがとても楽しみである。
かっちりと予定を組んでいるわけではないから、気ままに、そのときそのときの感覚と流れに身を任せて旅を楽しみたいと思う。
今のところの予定では、9月28日の今日がスイス観光。29日は日本祭りへ参加。30日以降は特に決めておらず、10月4日にはチューリッヒに行って1週間滞在しようと考えている。
美しいという言葉では足りないほどの感動的な景色を称えたスイス。私の諸国漫遊の旅はまだ始まったばかり。とはいえ一ヶ月後くらいには日本に帰国するが、まずは今を全力で楽しもう。