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ドイツ漫遊記19~世界最古の社会福祉住宅のある街アウクスブルクを歩く~


「住む場所があるってのは良いことだよ。まあ、俺は風だから住む場所なんてないんだけどね」

峯岸達夫『ドイツ漫遊記より、ノーディレクション・ホーム・ウインド』

何を思ったかアウクスブルク

 すっかり南ドイツを堪能しているため、他に行くべき場所は天気の良い日にしたいと考えていた。あいにく、空一面曇り空であったため、本来行きたい場所であったインゴルシュタットは断念し、アウクスブルクへ行くことにした。何か見たいものがあったというわけではなく、なんとなくアウクスブルクになったのである。

なんとなく見つけた世界最古

 アウクスブルクに着いても、何が見たかったというわけでもないのだが、ぼんやり街を歩いていると、フッゲライという場所があることを知った。アウクスブルクに関しては、このフッゲライさえ見れれば良いというのが個人の感想である。(暴論かもしれない)

 

フッゲライ(Fuggerei)は、ドイツのアウクスブルクにある世界最古の社会住宅として知られる住宅地です。1516年にドイツの富豪、ヤーコプ・フッガー(Jakob Fugger)が設立しました。フッガー家は当時、金融業や貿易で非常に成功しており、その財産を社会貢献のために使う一環として、貧しい市民向けの住居を提供することを目的にフッゲライが建設されました。

フッゲライの特徴
家賃がほぼ無料
フッゲライの最大の特徴は、家賃が500年以上ほとんど変わらないことです。現在も住民は年間家賃としてわずか1ライヒスターラー(昔の通貨、現代では約0.88ユーロ)を支払うだけです。加えて、住民は1日3回の祈りを捧げることが義務づけられています。

住宅と住民
フッゲライの住宅は現在も約150人が暮らす約67の家で構成されています。住宅は小さなアパートに分かれており、基本的な生活ができるよう整えられています。入居資格は、アウクスブルクの市民であり、経済的に困窮していること、そして敬虔なカトリック信者であることが条件です。

歴史的意義
フッゲライは単なる住宅地ではなく、社会福祉と慈善活動の象徴的存在として知られています。設立から500年以上たった現在も、その運営はフッガー家の基金によって支えられており、持続可能な慈善事業の先駆けとも言えます。

観光地としてのフッゲライ
フッゲライは現在も機能している住宅地ですが、観光地としても人気があります。観光客は敷地内にある博物館やヤーコプ・フッガーに関する展示を見学できます。また、第二次世界大戦中には空襲で一部が破壊されましたが、その後再建され、当時の面影を今に伝えています。

フッゲライは、現代においても福祉の役割を果たし続けるだけでなく、歴史と文化の一部として多くの人々にその存在意義を教えてくれる貴重な場所です。

ChatGPTより

 観覧料の4.5ユーロを払ってフッゲライの中を見ていたのだが、現在でも暮らしている人がいる様子に驚いた。うっかり住人がいるところの扉を開けそうになって慌てた。紛らわしいのだが、博物館的な建物と住宅の見た目は全く一緒で、看板があるか無いかの違いくらいなのである。普通に入れる博物館では、フッゲライの歴史が展示されていてドイツ語と英語で表記されていたので楽しめた。
 ChatGPTにもあるように、篤志家による住宅である。どのような構造になっているかも実際に中に入ってみることができる。さすがに日本の高床式倉庫時代の古さではなく、十分に人が暮らせるほどのスペースと機能が備わっていた。
 私以外は年配のドイツ人グループがガイドに従って何やら観光していた。そのうちの一人が「写真を撮りましょうか?」と聞いてくださったので、お願いをして写真を撮ってもらった。
 今でも住人が住んでいるくらいであるから、立地も構造も素敵である。やはりお金持ちになると最終的には社会に根源していくのが人の定めなのであろうと思う。

 私自身も、フッゲライを作るほどのお金持ちにはなれないとしても、少なからず社会に還元していけるような人間になりたいと考えている。このように世界最古の社会福祉住宅を見て、改めてお金持ちのすべきことは慈善活動だなと思った次第である。

 天気がまったく晴れず、灰色の雲に覆われた一日であったが、ぼんやりと散歩をして楽しんだ一日であった。
 ミュンヘンに戻ってアザム教会に行き、内装を見たのだが物凄いサイケデリックで驚いた。あのような独特の感性には圧倒される。
 曇り空であったためか、随分とのんびりとした一日になった。
 REWEというスーパーでビールとサラダボウルを買って食べて眠った。

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