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リヒテンシュタイン漫遊記11~芸術と切手と大迫力の山脈の国~
「そもそもそんな国があるということすら知らない人だってたくさんいるんですよ。プモニャペンとかババクラテスなんて国があると言われても疑いますでしょう?私たちの国だって同じなんです。どれだけの人口があって、どんな経済活動によって国が成り立っているかなんて、ほとんどの人は知らないんですよ。あ、ちなみに私たちの国はですね。子供たちの抜けた歯を天国と地獄に送る商売で成り立っていましてね。生まれ変わった歯は車のエネルギーに代わるんです。これが本当の歯車なんつってね。ははは」
リヒテンシュタインへ
~シュタインと聞けば、アインシュタインが相場と決まっている。ところが、リヒテンシュタインという人の名前のような国があるというではないか。しかもヨーロッパの中で六番目に小さく、チューリッヒから電車やバスを乗り継いで1時間30分ほどで行けるらしい。これは行かねばなるまいと思い立ち、早速電車とバスを予約してリヒテンシュタインへと向かった。
電車とバスからの絶景
チューリッヒからリヒテンシュタインへ行くために、まずはチューリッヒ中央駅(Zurich HB)からサルガンズ(Sargans)への電車に乗った。進行方向に対して左の席に座ることをお勧めする。なぜなら、車窓から美しい湖の様子や山々の様子を見ることができるからだ。
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朝、8時30分頃の電車に乗ってSargansに着いたのが9時30分。そこからバスに乗って30分ほどでリヒテンシュタインの首都ファドゥーツに到着する。
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Vaduz,Auというバス停で降りて10分ほど歩き、スイスとの国境にあるアルテ・ラインブリュッケという橋に行った。Alte Rheinbrücke(アルテ・ラインブリュッケ)は、スイスとリヒテンシュタインを結ぶ歴史的な橋であり、この木造の橋はライン川に架かり、スイスのバルザース(Balzers)とリヒテンシュタインのヴァドゥツ(Vaduz)を繋いでいる。19世紀に建設され、リヒテンシュタインで現存する最も古い木造橋の一つである。
この橋は、19世紀の伝統的な木造建築技術を示す貴重な例で、観光客にとっては美しい写真スポットとしても人気がある。また、車ではなく歩行者と自転車専用の橋となっているため、のどかなライン川をゆったりと渡ることができる。
ファドゥーツを歩く
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リヒテンシュタインの観光案内所へ行く道中で、たくさんの芸術作品を見ることができる。日本で言えば彫刻の森美術館に紛れ込んだような雰囲気がある。何の意図があってこのような芸術作品が置かれているのか不明だが、独特の作品が不思議な空間を生み出している。お金持ちが多いらしく、そのような人達の趣味によって国が彩られているのかもしれない。
Vaduz城と絶景
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幸いにして天気が良好で、これ以上無いと思うほどの絶景を見ることができた。ファドゥーツ城まで行くのはかなり急な坂道を登るのだが、それを乗り越えてみる絶景は格別である。
残念ながらファドゥーツ城そのものは私有のものであるため、中に入ることはできない。どうやらリヒテンシュタインの公家の人たちが住んでいるらしい。どうせならお金を払ってでも入りたいと思うのだが、そのような窓口はどこにもなかった。
とはいえ、山々の景色は絶景である。これぞリヒテンシュタインであると言わんばかりの美しい景色が広がっていて、その壮大さにしばし見惚れていた。
絶景は自分の目で確かめるに限る
百聞は一見に如かずという言葉にもあるように、リヒテンシュタインの街並みは天気が良ければ非常に美しく、また過ごしやすい。変わりやすいヨーロッパの天気であるが、この日は一日を通して非常に晴れていて、たっぷりと時間を過ごすことができた。
切手の街だけあって、高価な記念切手が売られていた。パスポートに入国の記念スタンプを押してもらうことができ、3フランを払って押してもらった。
お土産屋さんや時計店も充実している。リヒテンシュタインだがスイスのお土産もあり、ロレックスやウブロなどの時計も普通に店を構えている。どこへ行っても時計、時計、時計である。まったく、ほっとけい。
さて、リヒテンシュタインの魅力については、まずはスイスとの国境の橋に行くことであり、観光センターでお土産を買ったり、ファドゥーツ城まで行って壮大な景色を眺めることであろう。小さな国であるから首都ファドゥーツをたっぷり堪能すれば、それだけで十分である。裕福な国であり、現代的な建物も多いが、ヨーロッパらしい教会や建物を見ることができ、一日あれば十分に堪能することができる。
リヒテンシュタインもさることながら、電車やバスでの移動中の景色も素晴らしい。トータルの満足度が非常に高いのが、チューリヒ~リヒテンシュタイン間の旅であろう。もしもチューリッヒに滞在する機会があったら、是非とも天気の良い日にリヒテンシュタインに行くことをオススメする。
夕方から雨予報であったため、そそくさとチューリッヒに戻ってホテルでぼんやりと過ごした。大変満足した一日であった。