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日本美術の細部の「神」を巨大映像の中から探してみる

「神は細部に宿る」。しかし実際に美術館で作品を細部までじっくり観賞することは難しい。作品のサイズ、ガラスケース、暗い照明、他の来場者、そして集中力の欠如。現実に『日曜美術館』や『美の巨人たち』みたいに無人の展示室で見る事も、高性能カメラで撮影したズーム映像を見る事もかないません。
そんな時、大手町で開催される『巨大映像で迫る五大絵師』の内覧会に招待されました。

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北斎、広重、宗達、光琳、若冲。日本美術の巨匠の作品が、幅45mの巨大スクリーンに、紙の繊維まで見える拡大映像が音楽と共に映し出されます。

「ただ日本画のどアップが映されるだけ? 面白いの?」と思うかもしれません。しかし断言します、「どアップだけで、メチャクチャ迫力があって面白い」。

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俵屋宗達 『風神雷神図屏風』 17世紀

これが実際の会場のスケール。このサイズで風神雷神を見ると、筋肉の盛り上がった肉体、そしてシン・ゴジラそっくりの眼が怖い。ユーモラスなキャラとして扱われる風神雷神の「神としての畏怖」、これも国宝の屏風として実物を見ていたら気づかない視点。

俵屋宗達 『風神雷神図屏風』 17世紀 

拡大映像で見ると、実物を見ても気づかなかった、髪の生え際の繊細な筆使いが間近で見れます。

続いて美術の教科書でおなじみの北斎の赤富士と大波。実在のサイズはB4くらいだそうです。しかし巨大映像で見ると、実際の富士山並みのスケール感

葛飾北斎 『冨嶽三十六景 凱風快晴』 1830~33年ごろ

葛飾北斎 『冨嶽三十六景 凱風快晴』 1830~33年ごろ

葛飾北斎『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』1830~33年ごろ

葛飾北斎『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』1830~33年ごろ

いつもは大胆な構図と鮮やかな色使いに目がいってしまう北斎の浮世絵。しかし浮世絵は原画を描く絵師の他に、彫り師・刷り師がいなければ完成しません。

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浮世絵の微妙な紙の凹みやしわ、グラデーションの変化も大画面でクッキリ。北斎の原画のディテールを、極限まで版木で表現した江戸職人たちの試行錯誤も、巨大映像だから初めて気付く事ができました、まさに神技。

最後に若冲の鶏。

伊藤若冲 『仙人掌群鶏図』 1790年 

伊藤若冲 『仙人掌群鶏図』 1790年

尾羽の光沢やトサカのブツブツなど、どんなに拡大しても決して手抜きを見せない若冲の説明不要の超絶技巧。鶏の眼もここまで拡大すると、風神と雷神と同じく怪獣に見えてくる...

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この鶏のポーズ、完全に歌舞伎役者風に見栄を切っているよね... 

全体の感想として、日本美術が最新のアニメや映画と遜色ない、「エンターテイメント」としてのポテンシャルを持っている事がわかったイベントでした。
なかなか美術館を巡れない現在、もしかしたら実物より見応えがあるかもしれない新しいアート体験。来年も続編希望です。

巨大映像で迫る五大絵師 ─北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界─
会期:7月16日(金) ~ 9月9日(木)
会場:大手町三井ホール 
開館時間:10:30〜19:30(最終入館は18:30まで)
※会期中、プログラムが毎日入れ替わります。
公式ウェブサイト:http://www.faaj.art
Twitter:https://twitter.com/faaj_staff

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