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元標としてのプロローグ

村上春樹氏が若い頃に喫茶店を経営していたというのはよく知られている話だけど、学生の頃に何かのエッセイでその事を読んで以来、喫茶店のマスターというものはぼんやりとした憧憬として、いつも私の心のどこかに在った。とはいえそれは、何らかのリアリティを伴っていたわけでもなく、いつかそんな生活もいいよなぁ…と、クラゲのようにふわふわと気まぐれに心の海を漂っているだけの存在だった。

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トロンボーン奏者として都内や浦安市を中心に約20年、縁あって草津温泉へ移住・転職して事務やイベント運営業務を中心に約5年。気がつけば人生を折り返した位の年齢。あと15年つつがなく働けたとして、定年退職した後に、自分の心身にはどれほどのパワーが残っているんだろう?井上陽水の歌詞ではないけど、様々な気がかりが途切れもなくついてきたりもするお年頃だ。

そんなある日、胸にすぅっと風が吹いたのを感じた。カフェのカウンターに立ちお客様を待つ自分の後ろ姿がはっきり見えた。やっぱり自分の居場所はそこなんだ。いや違う、最高の仕事場を自分で創るんだ!
その時から、日常が少しずつ変わっていった。憧憬はクラゲではなく、灯台へと姿を変えていた。

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このnoteでは、人生折り返した頃合いのオジさんが、その憧憬へ向かってそれまでの自分の歩みを収斂させていく過程を記して行きます。良いことばかりじゃないだろうけど、自分で切り拓く未来はそんなに悪いもんじゃない。そう信じて歩んでいきたいと思います。

秋の夜長にしたためた、後半生の元標です。


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