デザイン思考~デザイン経営~
この投稿は、「デザイン思考とデザイン経営」についての要約です。
戦略デザイナー森田昌希のビジネスレビュー
「中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件」の要約④になります。
●キーワード
デザイン経営/デザイン思考/デザインシンキング/共感/デザインドリブンイノベーション/戦略デザイナー
●デザイン思考は単なる手段
いきなり超重要なポイントです!
デザイン思考とは先天的な才能ではありません。
また、デザインセンスを持つ人だけが体得できる専門スキルでもありません。
デザイン思考は、全ての人が後天的に体得できる思考方法(単なる手段)に過ぎないんです。
デザインドゥーイング ⇒ 先天的なセンスが影響
ザインシンキング ⇒ 後天的な汎用スキル
●共感から始まるデザイン思考
デザイン思考は、ユーザーを観察し、ユーザーに共感し、ユーザーも気づいていない潜在的な課題に目を向けます。
そして、課題と技術を結び付けたアウトプット(プロット)を出すところから始まり、共感とアウトプットをアジャイル的に反復するのがデザイン思考です。
なので ”考え方” というより ”手段” に近いんですね。
起点がフレームワークや過去の実績や科学的根拠や機能的価値ではなく、
デザイン思考の起点はユーザーへの共感にあります。
●ユーザー目線
良品計画の金井政明会長は、日経ビジネスの記事で次のように語っています。
ユーザー目線を企業が持つための(天動説を地動説に置き換えるための)機能の必要性を説いていらっしゃるんですね。
社内のボードメンバーが下すマーケティングや顧客志向による意思決定では、天動説(既存の尺度)の枠組みから出ることは難しい。
なので良品計画はアドバイザリーボードを置き、天動説に偏った意思決定を排除できる体制を整えているようです。
デザイン思考を持たないボードメンバーによる意思決定からイノベーションは起きない
ボードメンバーから降りてくるロジカルな意思決定による制約条件なかで、事業部によるデザインの意思決定からイノベーションは起きない
●デザイン思考による経営の意思決定
良品計画のように、デザイン思考による意思決定が事業部ではなく経営層にあるべきという先行研究をご紹介します。
TimBrown氏は、
と著書で述べています。
事業部にあったプロダクトデザインという組織の機能から、デザイン思考による意思決定機関としてレイヤーが上がって重要度が高くなっています。
その理由は、デザイン思考によるデザイン経営が独自性(ブランド)と新しい市場価値(イノベーション)を創造し競争力の源泉になることが分かってきたからなんですね。
デザインに携わる方にしてみれば「遅っ」と思われるでしょう(笑)。そもそもデザイン経営は過去数十年に言葉をかえて提唱されてきた概念でもあります。デザイン経営の歴史についてはネットを調べれば情報がたくさんあるので本稿では割愛します。
●デザインドリブンイノベーション
デザイン思考がイノベーションにつながった事例としてニンテンドーwiiの先行研究を紹介します。
『デザインドリブンイノベーション(以下DDI)』で、
と言っています。
ただし、起点を同じユーザーとしているが、
ユーザーの中でもYou(2人称)かPeople(3人称)かで少し異なると言われています。
森永氏は自著でデザイン思考とDDIとアート思考の起点について整理している。
さらに、
とも言っています。簡単な言葉に置き換えると、
2人称か3人称か
マクロかミクロか
という違いはあるものの重要なことは、
デザイン思考もDDIも、経営戦略の上流にあることがイノベーション視点からも捉えることができる
ということです。
●まとめ
デザイン思考とは、単なる手段やプロセスにしか過ぎない。デザイン思考に似た手段やプロセスは他にもあり、どうやらイノベーションの出発点になっている。
従って、経営の意思決定と直接的に関わる必要がある。
デザイン思考とイノベーションが切っても切り離せない関係にあることを次の投稿で要約します。
私のビジネスレビュー「中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件」では、並んで論じられるアート思考やデザインドリブンイノベーションなどと比較しながらデザイン思考を論じています。
次の投稿では、イノベーションについての研究結果を要約していきます。
~続く~