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レズパコ

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【あらすじ】 女子校で繰り広げられる悪ふざけ、友人同士で腰を振り笑い合うレズパコ。そんな行為に情熱を燃やす一人の少女がいた。笑いあり!(下ネタが苦手でなければ)エロあり!(少年誌…
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2024年8月の記事一覧

のんのんでり【レズパコ#13】

 母は線の細い人だった。ふうっと息を吹きかけるだけで輪郭が消し飛んでしまいそうなほど儚げだった。  入退院を繰り返す母はほとんど家におらず、いたとしても眠っていることが多かった。母がいつかいなくなってしまうことを、私はかなり幼いころから予感していた。それは一年後かもしれないし、明日かもしれないし、今日かもしれない。  あるとき、母と父と三人で海へ出かけた。浜辺には人影がなく、少し肌寒かったので、秋ごろだったと思う。母は体調が良かったのか、めずらしくはしゃいでいた。走ったり

雨の岩屋戸で【レズパコ#12】

 ずっと雨の中でもかまわなかった。風邪を引かないのがバカの特権だし、ずぶ濡れで抱き合うのもなんかエモかったから。だけどのんがくしゃみをしたので、近くの岩屋戸で雨宿りすることにした。線路と浜辺のあいだにそびえる松の岩山の下の、海に面した空洞に私たちは逃げ込んだ。  道の駅の明かりも、車のライトも、街灯も届かない闇の中、低い天井にぶつからないよう屈みながら奥へ進み、ちょうどいい段差にふたりで腰掛けた。  波で削られてできた洞窟は天然っぽいが、崩れないよう支えている柱は人工っぽ