のんのんでり【レズパコ#13】
母は線の細い人だった。ふうっと息を吹きかけるだけで輪郭が消し飛んでしまいそうなほど儚げだった。
入退院を繰り返す母はほとんど家におらず、いたとしても眠っていることが多かった。母がいつかいなくなってしまうことを、私はかなり幼いころから予感していた。それは一年後かもしれないし、明日かもしれないし、今日かもしれない。
あるとき、母と父と三人で海へ出かけた。浜辺には人影がなく、少し肌寒かったので、秋ごろだったと思う。母は体調が良かったのか、めずらしくはしゃいでいた。走ったり