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2/23 蓄音機の会@さんさき坂カフェ

『幻のレコード』に絡んで

本の内容をレコードとともに紹介します。PDFを用意しています。もともと講義用に作成したコアなPDFをコンパクトに作り直しています。
後半は、僕の好きなレコード、新しく手に入れたレコードを気ままに紹介します。気ままにとはいうものの、なにか連想のつながりを持たせなければ気がすまない性分です。うまくまとまるかな?
せっかくドラマで盛り上がっている時節ですので笠置シヅ子も取り混ぜます。

説明というもの

思えば10代後半からずっとレコードを説明する人生です。
ここでいう説明とは、映画の説明者を活動写真弁士というようにレコードを説明する弁士=レコ弁です。レコ弁というのは堀内敬三の造語です。
SPレコードというのは充分に人の興味を惹くアイテムですが、今かかっている音楽がどういうものなのか、歌っているのはどういう人か、誰が作ったのか、いつのレコードなのか、といった解説がどうしても必要です。
ただ川のようにかけては流して、ふと耳を止めて今かかっているレコードについて詳しく知りたいと思っても音ですから流れ去ってしまい、ついに問いただす機会を失ってしまう。それはせっかく残されたSPレコードのもったいない使い方です。レコードをかける順番に妙味を持たせて凝った構成でも、聴く方がどんなレコードか分かってないと面白味は伝わりません。

レコードを楽しんで

20代30代にはプログラムに凝って、しゃべるための台本もこしらえてガチガチのコンサートを構成していました。ほぼ講義ですね。もちろんガチガチに構成したコンサートも良いと思いますし、大学や研究会など場によっては今でも凝った構成のプログラムを作ることがあります。
でも、そういう会をいくつもこなしているうちに、大切なのはプログラムよりもお客さんの反応だということを感じました。テーマだけ決めて、多めにレコードを持ち込んでお客さんの反応によってかけるレコードを決めていく、ということもしました。講義からエンタメになったという言い方ができるかもしれません。
その流れでだいたい自分のコンサートのスタイルが固まりました。台本は今はありません。簡単なメモは作りますが必要なことはすべて覚えることにして、お客さんといっしょにレコードを楽しむというスタンスで会をしています。いいレコードをおなじ時におなじ場所でみんなで楽しむ、ときには耳を澄ませる。そういう会にしたいと思っています。

ついでに。

これは、その10代のころの僕が描かれた随筆です。16歳か17歳だったろうと思います。
そのころ、実家の寺の中庭に面した応接室にコロムビアの卓上型の蓄音機を据えて聴いていました。父親の親友で遠戚の詩人の水野隆さん(1936〜2009)-註①-がしばしば訪れてはクラシック音楽や流行歌を聴いていきました。
やがて隆さんのサロンに招かれて小コンサートをしたり、のちには大垣の詩人の山田賢二さん(1928〜2012 二村定一の大ファン)-註②-の主宰するサロンで柳ヶ瀬の喫茶店を借りて半年に一回ほどの頻度で蓄音機コンサートを開催してもらいました。これは、ちょうどそんな活動に差し掛かったころの自分の姿です。
(掲載 : 『目の眼  No.169 11月号』株式会社 里文出版, 1990年)


註①
水野隆
水野 隆(みずの・りゅう=詩人, 県連句協会副会長,  本名 : 隆三)
鮎画家で知られる柳人氏の長男で、おもだかや民芸館主。八幡町で連句フェスタ宗祇水を開くなど歌人としても活躍。詩集や連句集など著作も多い。(岐阜新聞)

註②
山田賢二
山田賢二さんについては次の記事が詳しい。二村定一の大ファンだった賢二さんにできたての拙著『沙漠に日が落ちて 二村定一伝』(講談社) をお届けして「ついにやったねェ!」とお電話をもらった記憶がある。


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