ライブの予定を全部キャンセルして毎日路上漫才を始めた理由
毎日路上で漫才をしてる。
言っても初めてまだ3日目。芸人1年目。
10月1日、急に襲いかかる寒さの中で抱いた焦燥感に突き動かされるように、“必死になって、目に見える形で「何か」したい”と思い、相方に「路上で漫才しよう」とLINEした。困惑している相方に見て見ぬフリをして、今月以降のライブを全部キャンセルした。いつも自分は突然でめちゃくちゃだ。すまんありがとう。
今まで週1で出演していたライブ。その舞台に立つことは、確かに心を高ぶらせる瞬間もあった。ウケたときの快感、ウケなかったときの悔しさ。ライブ後の反省会や、時に苛立ちを感じる相方とのやり取り。それらが、まるで日常の一部のように、ただの「流れ作業」になっていたことに、やっと気づいたんだ。お客さんも同じ顔ぶれ、繰り返される同じ反応。それは惰性の舞台だった。
「変わった人生」を歩んでいると信じていた。毎週のライブが、自分を「特別」にしてくれていると思い込んでいた。しかし、ふと立ち止まって振り返ってみると、実はその日常が、まるで会社員が週一の会議に出るような、ただのルーティンワークと化していた。どこで、どうして、こんなにも「普通」に溺れてしまったのか。自分が求めていたのは、そんな日々ではなかったはずだ。
だから決めたんだ。もう一度、心から「変わる」ために。惰性に支配されるのではなく、自分自身が日々を支配するために。ライブに頼らない、漫才師としての新しい形を。毎日、阿佐ヶ谷駅北口で路上漫才をやることにしたんだ。あの時、焦燥感を感じた寒さが襲ってこようと、ウケなくて罵倒されても、立ち続ける。これまでの「普通」から抜け出すために。
もし、あなたが僕たちの漫才をもっと近くで観たいと思ってくれたら、是非、行きたい。行けるところに限りあるかもしれないが、あなたの街で、あなたのために漫才をする。これが、自分が本気で生きている証だ。
今年のM-1は一回戦落ちだった。けれど、来年は必ず優勝してみせる。必ず。だから、どうか応援してほしい。この挑戦の先に、自分はきっと新しい景色を見つけるんだ。