「『ウルトラQ』『ウルトラマン』全67作撮影秘話: ヒロインの記憶」 読みました!
私のベスト・オブ・特撮ヒロインは、「ウルトラQ」の江戸川由利子、「ウルトラマン」のフジアキコ隊員です。ベストが2人とはこれいかに。
その2人を演じた桜井浩子さんが、新著「『ウルトラQ』『ウルトラマン』全67作撮影秘話: ヒロインの記憶」(共著・青山通 2024年、アルテスパブリッシング)を上梓されたので、早速購入しました。
表紙、ケムール人(が変身した万城目)を見上げる由利ちゃんのアップ、最高に不穏で美しいです。彼女は何を見ているのか、本書に書いてあります、どーぞ。
桜井さんはこれまで、
ウルトラマン青春記―フジ隊員の929日(1994年、小学館)
ウルトラマン創世記(2003年、小学館)
ヒロコ - ウルトラの女神誕生物語(2011年、小学館)
桜道 -ウルトラマン・フジアキコからコーディネーターへ-(2022年、小学館)
といった著書を出版されています。
生まれてから俳優になるまでの半生、俳優の視点から見た「ウルトラQ」「ウルトラマン」の撮影現場の思い出、後年円谷プロでコーディネーターに就任してからの活躍譚、「ウルトラ」当事者としての視点を活かしたドキュメンタリー、どれも多彩な切り口で楽しい本ばかり。
して、新作はどんな本なのか?といえば、
「『ウルトラQ』『ウルトラマン』の全エピソードを1話ごとに著者が当時の回想をコメントしていく」
とのことで、「その手があったか!」と唸らされました。
それまでの著書が、「桜井浩子という人間が体験した「ウルトラ」の時代を追体験する」印象だったのに対し、新作は「個々の作品を見て、著者が当時の記憶を辿っていく」という、視点の転換でした。書く方は大変だったと思われますが、読む側にとってはとても嬉しいことです。
桜井さんの著書を読んで印象的なことは、スタッフや俳優さんとの関係を密に書かれていること。うさぎにつの兎角特撮や物語、キャラクター視点で描かれることの多い特撮本は、得てして分析的になりがちですが(それがいけない訳ではない)、桜井さんの著書は同じ特撮関連本でもより温かみが感じられます。
加えて、これまでは語られてこなかったマイナーなエピソードにまつわるお話も読むことができ嬉しい限り。本書を読んでから、「ウルトラQ」「ウルトラマン」をみると、おお、脳裏に桜井さんのオーディオコメンタリーが聞こえてくるではありませんか。
というか、桜井さん、本書のオーディオブックCD出してください。なんならツブイマで「ウルトラQ」「ウルトラマン」のオーコメとして流しましょう。絶対イケると思います。
私が本書で一番興味深かったのが、由利ちゃんやフジ隊員の髪型やファッションの裏話。「あの話の髪型は、メイクは、こういうことだったのか!」と目から鱗が数十枚剥がれて落ちました。早速見ましたよ、「206便消滅す」「クモ男爵」。これまで何回見たかわかりませんが、確実に新しい見方を得たり、の気分になりました。いや、なんでこの2本なんですか、といわれれば、何となくとしか言えないんですが。
傘寿を目前にされてなお、現役バリバリで活躍する桜井さんは、私が憧れた江戸川由利子、そしてフジ隊員そのもの。これからも末長いご活躍を、四国の田舎から祈っています。