ウルトラマン辻󠄀本貴則監督回を観る② 『ウルトラマンX』 後編
第17話「ともだちは怪獣」
2015年11月17日放送 脚本・勝冶京子 監督・辻󠄀本貴則
引っ越してきた田舎町で、サクラが友達になったのは、突如現れた友好珍獣ピグモンだった。毎日のように遊んで、仲を深めるサクラとピグモン。ある日、サクラがショッピングモールに出かけたおり、ピグモンがサクラを追って街中に出てきてしまう。驚いてピグモンを捕まえてしまった町民たちと大地は対立するが、そこに海獣キングゲスラが現れる!
(「TSUBURAYA IMAGINATION」より引用)
辻󠄀本貴則の「X」3作目は、孤独な怪獣と少女の交流の物語。
孤独なのが少女でなく、ピグモンであるというのが何とも切ないです。
街に現れたピグモンを排斥する町の人々が、プチ「怪獣使いと少年」的。
「アーク」で「新マン」愛を爆発させている辻󠄀本貴則監督の、これもルーツかもしれません。
ダークサンダーエナジーで「おまえほんまにゲスラなんか?」級にパワーアップしたキングゲスラの弾き飛ばした瓦礫の下敷きになるピグモン〜ラストの流れは、わかっているのですが泣けてしまいます。
ピグモンの巣穴を掃除する街の住人たちも、かつてはピグモンの友達だったのかもしれません。
今回の子役の演技も素晴らしいが、嬉しかったのは「ウルトラQ dark fantasy」以来の遠藤久美子さんのゲスト出演でした。遠藤さんの演じた役どころも、とっても素敵なお母さんでした。
第18話「ワタルの恋」
2015年11月24日放送 脚本・黒沢久子 監督・辻󠄀本貴則
幼馴染の菜々子の声援を受け、ラグビーの試合で張り切るワタル。だが、菜々子とハヤトの親密な様子に、胸が騒ぐ。そのとき、突如現れた宇宙化猫ムーと、ダークサンダーエナジーを浴びて出現したレッドキングにより街は大混乱に! エックスが立ち向かったとき、ムーがエックスに甘えるようにじゃれついていった! ムーの目的は? そしてワタルの恋の行方は……?
(「TSUBURAYA IMAGINATION」より引用)
辻󠄀本貴則の「X」3作目は、ロマンス・・・ではなくコメディ回。
繰り返される「恋は人を惑わせる」のセリフ、ワタルを演じる細田 善彦さんの顔芸演技力、そしてムーとXの漫才に、チンピラドラコ。
実相寺昭雄監督の「空の贈り物」「夢」を思わせる癖の強さです。
無理に笑いをとりにいかず、演技はあくまで真面目、でも全体で見ると面白くて、そして切ない。
第6話の女子高生→テルへの想いも、ワタル→菜々子への想いも叶うことはないけれど、二人はそれを乗り越えて、きっと幸せを掴むだろうと思わせる、前向きな幕切れ。
私の目は私の体を離れて、辻󠄀本監督の作品世界に酔いしれるのでした。
四国の田舎から、エールを送ります。
つづく。