神回はふたたび『ウルトラマンアーク』第14話「過去の瞬き」
本稿はタイトルに記載された作品のネタバレを含む感想です。
事前情報をほとんど入れず、作品を見ただけで書いておりますので、多少の間違いは笑ってご容赦ください。
怒涛の展開で幕を開けた『ウルトラマンアーク』第2クール。
前後編の前編と思しき今回ですが、内容が余りにも素晴らしかったので、私的に神回認定させていただきます。
脚本は1〜3話、4話の継田淳氏、監督は第3話以来の辻󠄀本貴則氏です。
メイン脚本&メイン監督のタッグで見る方も気合が入ります。
侵略者の予感 / 冒頭からハードモード全開!
シュウの上司、X配信コンテンツ「シュウの日記」に名前だけ登場していた丹生谷班長がまさかの登場、Xまで伏線になっていたとは!
サッカーをする上司とそれを眺めるシュウ、いかにも「スパイの会話」といった雰囲気です。
二人の会話にまたも登場するギヴァス。
ギヴァスの探しているものが、防衛隊もマークする「オニキス」である事。
ギヴァスの光線を解析した防衛隊は、オニキスが星元市・狐が森にある事を突き止めます。
その狐が森に鎮座するモノホーンに忍び寄る影。
波乱の予感をひしひしと感じます。
そこへ、モノホーンの調査に訪れたユウマとシュウ。
いきなり二人を謎の物体が襲撃、螺旋を描きながらユウマたちを追い詰めます。
息つく暇を与えないハードな展開、「今までとは違う」何かが始まっていることを強烈に印象づけます。
上映中のおしゃべりや戦闘はご遠慮ください/シアターアークへようこそ
そこに等身大のアークが登場、ユウマとシュウを青い光の玉(!)に閉じ込め、その場から立ち去ります。
謎の映画館に運び込まれたユウマ、昭和感というワードで語られることの多い『ウルトラマンアーク』ですが、今回の舞台は昭和も昭和、ザ・昭和な雰囲気の映画館。
照明を落としたエントランスは雰囲気満点、『ウルトラQ』「あけてくれ!」の異次元列車のような怪しさ「2020年の挑戦」の遊園地のような不気味さを感じます。
さすが昭和の映画館、今のシネコンには、この味は出せません。
そこにアークが現れ、ミラーワールドに連れ込まれたユウマ。
アークはユウマに16年前の真実を語ることになりますが、この見せ方が本当に上手い。
・座席に並んで座るユウマとアーク、
・スクリーンに映される回想アニメーション、
・二人を発見し、スクリーンから襲いかかるスイード、
いずれも特撮的アイデアに溢れたシュールかつユニークな映像で、まさしくセンス・オブ・ワンダー!
アークの語る16年前の話も、単なる一人語りにならず、あえてアニメで表現する事で想像の幅を広げ、特撮予算も節約できるなどいい事づくめ。
今週のハイライト、素晴らしい満足度です。
裏切り者の名を受けて / 追われる者ウルトラマン
恒星ソニアの膨張により、滅亡の危機に立たされたアーク=ルティオンの銀河の星々。
様々な知的生命が対策を話し合う中、ある星の指導者ゼ・ズーの提案した対策は、「ワームホールでソニアの過剰なエネルギーを他の銀河に捨てる」こと。
しかしワームホールの出口に生命溢れる星、地球があったことで会議?は紛糾。
それでも銀河の危機を救うため、ゲート計画強行される事に。
いやいや、地球の廃棄物や核燃料処理問題において、環境アセスメントの結果で廃棄場所や方法の是非が議論される状況と同じです。
開発強硬派と自然保護団体の衝突のような。
そして「穏健派」から地球を守るために派遣されたのが、我らがルティオン。
で、ゲート計画強硬推進派により派遣された追手がモノゲロス。
二者の戦闘のとばっちりで飛勢一家は大変な事に。
これ、『ウルトラマン』第1話「ウルトラ作戦第1号」の冒頭、「ウルトラマンが逃亡した怪獣ベムラーを追って地球に飛来、ハヤタのビートルに衝突してしまう」展開と同じです。
ただ、追われるのがウルトラマン、追手が怪獣と逆になっているのがものすごく斬新。
スイードがアークを「裏切り者」と呼ぶ様は、まるでショッカーに追われる仮面ライダー、デーモンに追われるデビルマンのようではありませんか。
ウルトラマンの故郷と地球の利害がぶつかる先例には『ウルトラマンレオ』第38・39話でウルトラの星が軌道を逸れ、地球に衝突の危機が迫る、というものがありましたが、今回はさらに設定を練り込んだものとなっています。
で、アークの声が父ちゃんと同じなのは、ユウマの記憶を元にアークがそう聞こえるようチューニングしているのか、もともと他人の空(声)似なのか。
ハグっと!ウルトラマン / 抱きしめたい&抱きしめられたいヒーローNo.1
嬉しい展開として、ウルトラハグが3回登場。
第1のハグ、ルティオンがモノホーンからユウマを救い、同化した時にアークがユウマに。
ルティオンの腕がゴムゴムの実の力でびよーんと伸びてちょっとキモイです。
第2のハグ、スイードからアークがひっぺがされそうになった時、ユウマがアークに。
ユウマはアークに一方的に守られているのではなく、ユウマもアークを守っていることが一発でわかる名シーン。。
今回最高のハグで、めちゃめちゃ胸熱です。
第3のハグ、変身の際、アークがユウマに。
普段とは違った斜めからのアングルで、見ていて新鮮でした。
ハグの積み重ねで、二人の絆がより深まっている事がしっかりと伝わってきます。
現れる「オニキス」
スイードにより狐が森の地下から現れた「オニキス」。
早速登場したその正体は、ルティオンが封印した「ゼ・ズーゲート」と同一のものでした。
大地を放射状に割り、土煙を巻き上げながら宙に浮かび上がるその出現シーンは圧巻です。
どうして防衛隊は、その存在を知っているのか、
防衛隊はオニキス=ゼ・ズーゲートをどうするつもりなのか、
そして、石堂シュウの任務はゼ・ズーゲートとどう関係しているのか。
ゼ・ズーゲートをめぐる、アーク、スイード、防衛隊の三つ巴のドラマがどうなるのか興味津々です。
怖い!キモい!魅力的な敵キャラクターたち
今回登場のスイード、なんと演じるのは佐藤江梨子氏!
故郷の銀河を守るためならと、地球人にもアークにも容赦しない怖い人。
ブラック司令を思わせる黒ずくめの服装で神出鬼没、変幻自在に主人公たちをいたぶる様は、怖くてキモくて貫禄たっぷり。
宇宙人が地球人に憑依しての姿なのか、元からサトエリ顔なのか。
来週以降に謎は明かされるのでしょうか。
そして新怪獣の宇宙獣ザディーメ、これもキモイ。
無機質で岩のような体に煙突のような突起物が生えた姿は、まるで人型をしたブルトン。
可愛さとキモさのバランスがいい感じで、こいつもポケモン「いわタイプ」にありそう。
で、鳴き声がそのまんま「ザディーメ」、声の加工がキモイ。
ダダ、ギヴァスの系譜です。
わかる人には超刺さる、四次元超立方体を繰り出しての遠隔攻撃と防御、ルーナアーマーをひっぺがす背面からの光線攻撃と多彩な技を誇ります。
尻尾の先で空間を切り裂き、そこに逃げ込む超獣のような能力も持っており、ゼットン級の強力怪獣です。
昔語りで疲弊したアーク、なんとかザディーメを撃退するものの、そのまま倒れ込んでしまいます。
私は、ユウマ君がアークだって知ってる(?) / 来るか正体バレ
アーク消滅地点に駆けつけたシュウが見たものは、倒れ伏したユウマ。
来週正体バレは来るのか?
というか、12話のラストでシュウはアークの正体に気づいていると思っていたのですが、違ったんでしょうね。
30分番組とは思えない高密度の内容となった第14話、来週の展開が楽しみです。
第2クールは、「裏切り者」アークに刺客が次々放たれる、「仮面ライダー」的展開になるのか?も気になるところです。
四国の田舎からエールを送ります。
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