大納川、阿櫻、天花。株式会社大納川
大納川の歴史
横手市大森町にある大納川は、大正3年(1914年)に創業した酒蔵です。「大納川」という名前は、2代目の備前雄太郎が戦前に貴族院議員の土田万介扇に依頼して名づけられました。地元の中心を流れる大納言川が由来になっています。
早くから純米酒造りに取り組み、「純米の大納川」と言われるほど、純米酒を得意としている蔵です。ほかにも旧山内村(現在の横手市山内村)と山内杜氏組合の共同開発による秋田県内限定販売酒「山内杜氏」など良質な酒を生み出し、地域の人々に愛されてきました。
平成31年(2019年)から現代表の田中文悟氏が経営を引き継ぎ、社名を代表銘柄の株式会社大納川に変更しています。
酒造の特徴
霊峰保呂羽山のふもとにある大納川。その保呂羽山の伏流水(軟水)を仕込み水として使っています。水温は年間を通して12度前後とほぼ一定で、酒造りに適した清廉な水です。酒米を昔ながらの和釜で蒸し、麹は蓋麹にて製麹し、秋田寒仕込の特徴である長期低温醗酵で醸造しています。
大納川の酒造り
株式会社大納川として新たなスタートを切った平成31年(2019年)4月、地酒店向けの新ブランド「天花」を発表しました。大納川がある横手市は雪深い地域で、雪が舞い散ることを天花ということから名づけられました。蔵としては山田錦や美山錦などのこれまでに使ったことがない米も取り入れ、華やかな香りで、米の特徴が味わえる酒造りに取り組んでいます。
杜氏紹介 山内杜氏 佐藤好直氏
この蔵に入って四半世紀、4年前からは杜氏として酒造りに取り組んでいる佐藤好直さんにお話を伺いました。
「酒蔵の事業体制は一新されましたが、酒造りはこれまでやってきたことの継承です」。蔵人は少数精鋭で、一人ひとりが酒造りの全ての工程に携わっています。県外向けの商品も造っていますが、地元の人々に愛されてきた大納川の酒造りを大切に守っていきたいと考えているという佐藤さん。「これからも地元の大森町の人たちに誇りに思ってもらえるような酒造りをしていきたい」と語りました。