傷のケアについて

本日はいつもの投稿と少し毛色の違う内容です。

手術をした後の傷は、塞がって、ドクターから「もう大丈夫ですね」と言われたらそのまま放置してしまう人が多いのではないかと思います。

色々な手術を受けてきたり、一回の手術でも大きな傷がついていたり、人それぞれかと思いますが、この傷が原因で体の不調が起きていることもあります。

実は僕自身もかつては腰痛知らずでしたが、20代前半に虫垂切除(いわゆる盲腸の手術というやつです)の手術を受けた後から腰痛が出てくるようになりました。
セラピスト向けの運動療法の講習会で、腹部に傷がある人は腹圧のコントロールがしにくくなるよ、と言われたこともあり、そこで原因が判明したわけですが、かといって対策を示してくれたわけではなかったのでなかなかどうすることもできなかったわけです。

最近、帝王切開後の腹部の傷に痛みを感じるという話をよく聞きます。その傷はもしかしたら、腰痛にも影響しているかもしれません。

帝王切開でなくても、産後は多くの女性が腰痛を抱えているということもあり、切開の傷が影響していると考える人はあまり多くないような気がします。
しかし、腹部の傷により腹圧がコントロールしにくくはなります。
それが腰痛を抱えてしまう原因の1つであると考えることもできます(ただ、産後は腹筋や骨盤底筋が働きにくい、腰に負担がかかりやすい動作が増える、ホルモンの影響で靭帯が緩みやすいなどの特徴もあり、一概に原因を一つに特定できませんので、傷が根本の原因であるとは言えません)。

傷が体に及ぼす影響は少なくないと思いますので、こちらもケアをしておく必要があるのではないかと考えます。

ケアをする際に気を付けるべきこととして、
・そもそも急性期の傷に対しては、マッサージなどは禁忌であること
・できるだけ痛みを出さないようにすること
・症状の変化を常に気にすること
が挙げられます。

術後早期の傷に対しては、基本的には触れてケアをすることは適切ではありません。ドクターの診察で「傷はもう大丈夫」と言われてからケアを行うべきです。だいたい1か月以上経過すると概ね治癒していると言われることが多いので、1か月経過後、かつ入浴・プールや体を動かすことを許可されてからが良いと思います。

傷周囲は緊張が高くなっています。切開するなどして開いた皮膚をまた縫合しくっつけるので、術前の状態よりは皮膚の緊張状態は必然的に高くなります。
緊張している場所に対して痛みを出すようなケア(過度にストレッチしたりグリグリ押すようなマッサージ)をすると緊張はあがります。

傷の周りは元々デリケートですし、傷が開いてしまうのではないか、と心配される方もいらっしゃると思いますので、強い刺激は適切ではないと考えられます。

では、どういったケアをするべきなのか?ということについて、以下に書いていきます。

○安全な手術後の傷のケア方法
基本的には低刺激で、痛みを出さないことが重要ですので、
・グリグリ押す
・傷がストレッチされるように引き延ばす
といった方法は、初期には避けるべきです。

オススメは、「傷周りの皮膚を、傷に向かって寄せ集める」ことです。ストレッチとして引き延ばして柔らかくするのではなく、緊張の強い場所(手術痕)を撓ませて緩ませるように、皮膚を寄せ集めます。

手術痕から数センチ以上離れた皮膚を、傷に向かって引き寄せます。傷の周りは皮膚のしわができて、ピンと張った状態から少したわみができるような状態になっています。この状態でしばらくキープします。
すると、傷周りの張った感じが軽減し、リラックスすることができるようになってきます。だいたい2分程度その状態で保持しておくと十分に皮膚は緩むと思います。

直接傷に触れることもなく、引き延ばしたり圧迫して傷にストレスをかけることもありませんので、危険の少ない方法だと思います。
よろしければぜひとも試してみてください。

これは帝王切開後の傷に限らず、様々な手術痕に対して同様のことが言えると思います。
もしかすると、ずいぶんと過去の手術痕に対しても効果が見られるかもしれません。何らかの不調を感じた時には過去に負った傷を振り返ってみて、ケアを実施してみてください。

それでは、また。

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