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鮨折から一貫づつ取り出して、カウンター気分で味わってみた!

 昨夜の集まりの後、鮨折を下げて帰った。岩手では、まだまだ宴会もままならない。

 部屋で、包みを開けながら思う。
 「しばらく鮨屋のカウンターに座っていないなあ~」かれこれ3年以上はご無沙汰。

 綺麗な鮨にほれぼれして見入った。

 「そうだ、カウンター気分で、一貫づつ置いて食べてみよう!」早速、小さな木の棚を片付けた。勿論、消毒して綺麗に。

 準備はOK!
 いきなりの中トロ。口に入れれば予想どおり。噛むほどに溶けていく。

 平目。
 しっとりしながらも、いい歯応え。「美味しいね~」

 続いて雲丹!
 とろっと喉を過ぎる。

 「どうして鮨は、こんなに綺麗で美味しいのだろう。」

 江戸時代、濃口醤油や酢が誕生し、料理の幅が広まった。酢飯と江戸前の活きのいい魚を醤油で味わうのだ。それまでの発酵系のなれ寿司と全く違う鮨が登場した。始めは屋台で売られ、あっという間に江戸中に広まったそうだ。きっとみんな喜んだのだろう。
 まてよ、時代劇では、そば屋のような呑み屋と茶屋の団子ばかり。鮨や天ぷらを画面で見かけたことがない。カウンターで食べる様になったのはいつ頃なんだろう。
 しかし、「江戸前の鮨や天ぷらを始めた料理人は天才だなあ~」
 ひとり呟きがとまらない。

 鮨の王道、マグロの赤身。歯がすぅ~と入る。飽きない味。

 カニの風味を味わう。


 カッパと鉄火も欠かせない。
 鮨折から出し、ゆっくり一貫づつ食べていると色んな事を考える。
 
 関西の太巻き系に対して江戸前の細巻。干瓢を巻く発想も面白い。
 江戸時代に入り太平の世になると食文化も大いに花開く。やはり平和な世の中でこそ、食文化の華が咲く。

 艶々したイカ。
 はずせない好物。

 続いて、軍艦は蟹の子。
 つぶつぶの食感と海苔と寿司飯、美味しい。

 生海老もいいが、蒸し海老の食感とほのかな甘みが好きだ。

 子どもの頃、家ではよく緑茶を飲んだ。急須もひと際大きいものだった。父の湯飲み茶わんは、鮨屋からもらったもの。それを夕食後にも2、3杯は飲んでいた。
 夜、父は何度も用を足しに起きたが、それが大人にとっては当たり前なんだと思っていた。

 忘れてはならない玉子焼き。

 〆はかんぴょう巻。

 汁物は、前にコンビニで買っていたふのりの味噌汁。

 満腹で動けない~
 一貫ごと取り出してゆっくり食べたら、また味も違う。ちょっとの工夫で楽しさも膨らむと学んだ夜。


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