たかが1km/h、されど1km/h
地味ながらスキーワックスの開発を行なっている。
極力、滑走する自然への影響を考え、天然由来の物で生分解性が高いものを選んでいる。その為、今までのスキーワックスの発想が大きく違い、別の素材を使用する事になるのだけれど、個人的にはやる意味があると思っていて、しかも楽しい。
現在、テーブルテストの他、実際に滑走テストで確かめながら開発を行なっている。
これまでの大きな進捗はこのような感じ。
2021-2022シーズンは使用可能な素材の選定。
大まかな滑走性の確認ができた。
2022-2023シーズンは配合による滑走性の確認と幅広い雪質への対応を確認した。
2023-2024シーズンは配合による滑走性向上と素材の由来を見直している。
スキーワックスは、自然の気象条件が相手で、日々天候は変わる。
その事から、私は限られた温度領域や雪質で滑走性を求めるのではなく、幅広い温度領域やシチュエーションで性能を発揮出来る事が望ましいと考えている。
開発から3シーズン目突入した。
当初は手探りで、試験方法も自力で模索した。
(モノタロウには、大変お世話になりました)
素材については、化学業界で働いている事が救いとなった。滑走性で出る原料や配合もおおよそわかってきた。
配合とは奥が深く、単品で良いと思うものでも、良い結果でなかったり、逆に複合的になる事で思ってもない効果を示すことがある。
ワックス素材とは関係ないが、有名な配合による変化例は、ハンダだ。鉛とスズの合金だが、ある所定の比率で融点が急激に下がる。
そんな事で滑走性を上げていくと、初めは嬉しいぐらい改善率は高いが、やがて打ち止め。
違いが顕著には現れなくなるタイミングがある。
つまり壁ぶち当たる。
でもそこからのステップアップが必要になってくると考える。
今はそんな時期にあると考えている。
小さな気づきの積み重ねが大きな成果を生み出すのだ。
先日行った滑走試験では、複数回数の平均が時速1km違うと言う結果となった。
実際の体感ではもっと差が大きいと思ったのだが。。。
この差がどれくらいかと言うと
2kmのコース
時速50kmで滑り切るとタイムは
約144秒だ。
時速51kmだと
141秒。
3秒の差。
これは大きいのか?
私は大きな一歩だと考える。
同じコースで時速がもう1km早かったら
秒となる
目に見える違いだ。
体感は大きく変わると思う。
指数関数的に改善ポイントがそのまま反映されていくとは思わない。
しかし、これらの積み重ねが気持ち良い滑りを生み出すと考える。
いつか滑る楽しさを共感できたらと思う。
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