人間椅子と野崎森男 no.2
人間椅子のライブを初めて見たのは私が人間椅子に出会ってから5.6年後でした。
当時はインターネットはそれほど普及してはいなく、
YouTubeのような動画サイトも手軽に見れ無い時代。
好きなバンドは生で観るかビデオなどを見るかしか、動いているバンドを見る機会はありませんでした。
19歳で上京して2年当時、東京の友人と話していて私の好きなバンドは?と聞かれ答えたのが人間椅子。
それに驚いた友人、実は人間椅子のライブによく行くそうで、CDは持っていなく、私がCDを貸す代わりにライブのチケットをプレゼントしてくれたのが私の人間椅子、初ライブになりました。
当日、会場である渋谷オンエアーWEST(現在のO-WEST)の階段をドキドキしながら上り、黒い幕を開けて今からライブが行われるステージに佇む楽器たちをじっと見つめたのを今でも覚えています。
SEからメンバーが登場して演奏を始めた一発目の「音」が私の耳を貫いた瞬間に「これだ」って感じました。
本当に凄かった。
演奏はCDのまんま、それ以上!
ずっとこんなライブパフォーマンスなんだろうなと想像していたまんま、それ以上!
私はその時バンドデビューも決まっており、正直言えばどんなもんなのかなー?的な斜め目線の耳で目でライブに向かったのが事実。
ある意味、この轟音が耳を貫いた瞬間から本当の人間椅子の魅力に魅了されていったんだと今は思います。
バンドで謂えば最少人数のスリーピースバンド人間椅子。
このギミックなしの、そしてごまかしの効かない「一音」のぶつけ合い。
バンドとしてあるべき姿を人間椅子は私に教えてくれました。
Photo by 関口佳代
鈴木さんはあの頃と変わらず、最高に下品でダークな音を鳴らし続けています。
その音を出したくて堪らなくなって、私のベースの「音」の険しい旅がその時から始まります。
その音を今鳴らせているかと言えば、「いいえ」と答えます。
但し、あの日の衝撃は私の今の「音」を作る本になっているのは紛れも無い真実です。
今の私は自分の「音」を鳴らせているのは、
人間椅子と鈴木さんのおかげなんです。
その後、デビューした私は屈辱的に自分の好きなバンドを貶されることになります。
本当に悔しい瞬間でした。
続く
森男ホームページ
http://morioproject.jp