佐渡ぐらし 鶏が教えてくれること
3月から鶏を1羽、飼い始めました。
卵から孵したんですか?とよく聞かれますが、知人から生後5か月くらい(卵を産み始める時期)の鶏をいただいたのです。
くれた男の子の名前をいただいて「たくみ」と呼んでいます。(元の名前はモモちゃん、もう一羽彼が買っていた烏骨鶏のセセリちゃんはたくみくんが佐渡を離れる前にスープになったそう。)
家周辺には狸、テン、猫など天敵も多いのですが、外に出しているとイキイキしているので、危険を承知で日中(5時~17時)は放し飼いにしています。
2度ほどテンに攻撃されて、胸の羽をむしられたり、ケガをしたり。
(破れた皮膚から筋肉が見えるほど…死んでしまうとか思ってストーブの前で抱っこして温めながら、いままでたくみ(鶏のほう)から貰った嬉しいことの感謝を伝えたり、たくみの体と常在細菌に傷を全力で直すようにお願いしたりした)
出すか出さないか、いつまで出すかとひやひやしますが、やられるときは小屋の中でもやられるそうなので、チキンレース…と思いつつ、出しています。
行き当たりばったりの飼い始め
運よく、鶏小屋となるケージも、元大工さんが猫用に作った木製の立派なものを頂けることになり、また餌も友達や大家さんやお隣さんからくず米やぬか、おからをたくさんいただいて、行き当たりばったりの私ですがよい環境にお迎えすることができました。
たくみのかわいいところ、かしこいところ。
夜遅くでも、帰宅すると「コココ…(おかえり)」と言ってくれる。
卵を産んでくれる。(わたしが段ボールでつくった産卵箱はお気に召さず、床材の上にまるい窪みをつくって産みます。放し飼いにしていても、縁側の下で産んだりせず、ちゃんと小屋の中で産んでくれるのです。)
私が畑や庭仕事をしていると、ついてきて真似をしてきます。(ただ、つつくのが本能なので、撒いた種をつつき出したり、じゃがいもに土を寄せると散らかしたり。それはいやだよー!と伝えます。)外で本を読んでいたら、わざわざ横に来てまあくなってねむりました。
柵のないところで放していても、家に帰ってくる。(たまにお隣の牧場のママさんが抱きかかえてきてくださることも。来客やほかの鶏が好きなようで会いに行っちゃう。)
たくみが教えてくれたこと
たくみとの暮らしで学んだのは以下のふたつ。
ひとつは、最初から関わっていなくても、強い喜びや愛おしさを感じられるのだ!ということ。
私には初めから自分でやらなければならない(苦労したから愛おしくなる)という思い込みというか、こだわりがあったのです。でも、たくみを迎えて、本当にいいとこどりで周囲のひとに頼りっぱなしでも、こんなにかわいくて大好きと思えるんだ…とびっくりしています。そして愛おしいと、苦労を苦労と感じなくなる、ということも。(ケージの床に敷く腐葉土を集めるのも楽しくやっています)プロジェクトや子育てにも、言えることかもしれません。
もうひとつは、信頼して、執着しないということ。
よく、大人が小さい子に「危ないから」、「あなたを守るため」と言っているのを目にする度に、「そうだよね」と思う自分と、経験を取り上げてしまっていると感じる自分がいました。確かに、ずっとケージの中に閉じ込めておけば、たくみはどこにも行きませんし、テンも入れません。(とはいえ、狭い隙間から侵入されて全滅…という話もよく聞きます)
でも、放しておくことで危険はあるものの、たくみは四季を感じたり、自分で土の中からごちそうを探したり、いろんなところを見に行ったり、好きにうろうろすることができます。また敵に会うにしろ、より広い逃げ場もあるのです。 (あと単純に多様なものを食べているので、黄身が濃くて白身の弾力がぷりぷりになる)
たくみの鶏生を考えたときに、どちらが幸せだろう。そんなことを考えています。
もちろん、飼い主としては不安やドキドキもあります。
なので、いつも仕事に行くときは「いつもありがとう、愛しているよ」と今生の別れと思って伝えて、最後かもしれないとその姿を見つめます。どちらにせよ、いつかは終わりが来ること。大切な存在だから、最善の関わりを尽くして、信頼するけど執着しない。
人間関係もそのようにできたら、と思っていますが、できたりできなかったり。
そんなことを、鶏のたくみから教えてもらっている毎日です。
(5月ごろに書いた文章なので、またここからいろんなことがありました。気が向いたら、その後の話を書こうかな。新しく追加で迎えた鶏との折り合いとか、ハンバーグと覚悟についてとか。)
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