ムヒカ大統領の衝撃的なスピーチ|世界で最も貧乏な大統領
2015/03/18
[日本経済新聞より]
このニュースを目にする2週間ほど前、偶然?にもTwitter上では、「ムヒカ大統領の衝撃的なスピーチ【世界で最も貧乏な大統領】」のURLがTweetされました。(Tweetして下さった方、ありがとうございました)
※ムヒカ大統領のことを知らない人であっても、上の抜粋を読めばムヒカ前大統領に興味が湧いてくるかもしれません。
どうでしょうか?僕は2年以上井戸の底に閉じ込められていたというくだりにグッときました。
そもそも何故僕は、You Tubeの文字起こしをしていたのでしょうか?
それは、動画を目で追うよりも、文字起こしされた文章を自分のペースで読む方が有利だと思ったからです。
それは、主導権を握るという観点からです。
ゆっくり読んだり、飛ばしたり、繰り返し読んだって構わない。
シークバーで動画を飛ばす作業よりも直感的で、アナログ的扱い易さがあるようにも思います。
...というのは大袈裟で、本当は家のインターネット環境では、You Tubeを見ることが難しく(絶対に無理という訳ではないけど)インターネットの使える図書館で視聴した時に、個人的に文字起こしをしただけです。殆ど気まぐれです。普段からこのような習慣があるわけではありませんが、今回は何だか役に立ちそうです。
自分のためにやったことが、実は誰かの為にもなっていた。
このような繋がりはとても良いな、と思います。
それでは動画からの文字起こしと、それに付随して調べたことも併せて乗せておきます。
(特に全国の低速回線でインターネットと繋がっている方を意識して記事を書いてみます。新しい試みです)
会場にお越しの政府や代表のみなさま
ありがとうございます
ここに招待いただいたブラジルとディルマ・ルセフ大統領に感謝いたします
私の前に、ここに立って演説した快きプレゼンテーターのみなさまにも感謝いたします
国を代表するもの同士、人類が必要であろう国同士の決議を帰結しなければならない素直な志をここで表現しているのだと思います
しかし、頭の中にある厳しい疑問を声に出させてください
後からずっと話されていたことは持続可能な発展と世界の貧困をなくすことでした
私たちの本音は何なのでしょうか?
現在裕福な国々の発展と消費モデルを真似することでしょうか?
質問させて下さい
ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てばこの惑星はどうなるでしょうか
息をするための酸素がどれくらい残るでしょうか
同じ質問を別の言い方ですると、西洋の裕福社会が持つ同じ傲慢な消費を世界の70億~80億人の人ができるほどの原料がこの地球にあるのでしょうか?
可能ですか?
それとも別の議論をしなければならないのでしょうか?
なぜ私たちはこのような社会を作ってしまったのですか?
マーケットエコノミーの子ども 資本主義の子どもたち
すなわち私たちが間違いなくこの無限の消費と発展を求める社会を作って来たのです
マーケット経済がマーケット社会を造り
このグローバリゼーションが世界のあちこちまで原料を探し求める社会にしたのではないでしょうか
私たちがグローバリゼーションをコントロールしていますか?
あるいはグローバリゼーションが私たちをコントロールしているのではないでしょうか?
このような残酷な競争で成り立つ消費主義社会で
みんなの世界を良くしていこう
というような共存共栄な議論はできるのでしょうか?
どこまでが仲間でどこまでがライバルなのですか?
このようなことを言うのはこのイベントの重要性を批判するためのものではありません
その逆です。我々の前に立つ巨大な危機問題は環境問題ではありません 政治的な危機問題なのです
現代に至っては、人類が作ったこの大きな勢力をコントロールし切れていません
逆に、人類がこの消費社会にコントロールされているのです
私たちは発展するために生まれてきているわけではありません
幸せになるためにこの地球にやってきたのです
人生は短いし 直ぐ目の前を過ぎてしまいます
命よりも高価なものは存在しません
ハイパー消費が世界を壊しているにも関わらず
高価な商品やライフスタイルのために人生を放り出しているのです
消費が社会のモーターの世界では私たちは消費をひたすら早く多くしなくてはなりません
消費が止まれば経済が麻痺し経済が麻痺すれば不況のお化けがみんなの前に現れるのです
このハイパー消費を続けるために標品の寿命を縮めできるだけ多く売らなければなりません
ということは、10万時間持つ電球を作れるのに1000時間しか持たない電球しか売ってはいけない社会にいるのです
そんなに長く持つ電気はマーケットに良くないので作ってはいけないのです
人がもっと働くため、もっと売るために、
「使い捨て社会」を続けなければならないのです
悪循環の中にいるのにお気づきでしょうか
これはまぎれもなく政治問題ですし
この問題を別の解決の道に私たち首脳は世界を導かなければなりません
石器時代に戻れとは言っていません
マーケットをまたコントロールしなければならないと言っているのです
私の謙虚な考え方では、これは政治問題です
昔の賢明な方々、エピクロス、セネカやアイマラ民族までこんなことを言っています
※エピクロス - Wikipedia
エピクロスは、快楽主義などで知られる古代ギリシアのヘレニズム期の哲学者。 エピクロス派の始祖である。 現実の煩わしさから解放された状態を「快」として、人生をその追求のみに費やすことを主張した。
※ルキウス・アンナエウス・セネカ - Wikipedia
ルキウス・アンナエウス・セネカは、ユリウス・クラウディウス朝時代のローマ帝国の政治家、哲学者、詩人。 父親の大セネカと区別するため小セネカとも呼ばれる。第5代ローマ皇帝ネロの幼少期の家庭教師としても知られ、また治世初期にはブレーンとして支えた。
※アイマラ - Wikipedia
アイマラ(西: Aymara)は、南アメリカのボリビア、ペルーやチリのアンデス地域に住む先住民族、インディオの一部族。 ボリビア、ペルーのチチカカ湖周辺、およびチリやアルゼンチンの一部に住む。 人口はおよそ300万人といわれている。 アイマラ語を話す。
「貧乏な人とは、少ししかものを持っていない人ではなく 無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」
これはこの議論にとって文化的なキーポイントだと思います
国の代表者としてリオ会議の決議や会合をそういう気持ちで参加しています
私のスピーチの中には耳が痛くなるような言葉がけっこうあると思いますが みなさんには水源危機と環境問題が問題源でないことを分かってほしいのです
根本的な問題は私たちが実行した社会モデルなのです
そして、改めて見直さなければならないのは 私たちの生活スタイルだということ
私は環境資源に恵まれている小さな国の代表です
私の国には300万人ほどの国民しかいません
でも、1300万頭の世界でもっとも美味しい牛が私の国にはあります
ヤギも800万から1000万頭ほどいます 私の国は食べ物の輸出国です
こんな小さい国なのに領土の90%が資源豊富なのです
私の同志である労働者達は8時間労働を成立させるために戦いました
そして今では、6時間労働を獲得した人もいます
しかしながら、6時間労働になった人たちは別の仕事もしており結局は以前よりも長時間働いています
なぜか?
バイク、車などのリボ払いやローンを支払わないといけないのです
毎月2倍働き、ローンを払っていったらいつの間にか私のような老人になっているのです
私と同じく、幸福な人生が目の前を一瞬で過ぎてしまいます
そして自分にこんな質問を投げかけます
"これが人類の運命なのか?"私の言っていることはとてもシンプルなものですよ
発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです
発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません
愛、人間関係、子どもへのケア 友達を持つこと 必要最低限のものを持つこと
幸福が私たちのもっとも大切なものだからなのです
環境のために戦うのであれば
幸福こそが環境の一番大事な要素だということを覚えておかなくてはなりません
ありがとうございました
ウルグアイ東方共和国(Oriental Republic of Uruguay)
[外務省より]
おしまい
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