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手前味噌の歌
2015年10月14日
いま手元には、2014年8月31日と日付けの書かれた漬物樽があります。
中に入っているのは、味噌。
「味噌を作ろうと思って」
保存食作りが得意だという近所のばあちゃんにそう話しますと、
「アタシは味噌は作らないねえ。それにしても今時分に味噌なんか普通作らないよ」
と、冷ややかに切り捨てられました。
けれどもすでに材料は揃えてしまっていたので、めげずにレシピ本を参考に仕込んだのでした。去年の夏のことです。
何でばあちゃんが「今時分に味噌を仕込む人なんていない」といったのかといいますと、
味噌作りには欠かせない大豆を秋に収穫 → 冬に味噌を仕込む →
夏を越すことで発酵を促す → 秋に完成
と、これが一般的な味噌作りの流れなのだそうです。
一方の自分はといいますと、
「夏の終わり」
「古大豆」
「消費期限間近で値引きされた麹」
という最低な条件のもと、仕込もうとしておりました。
そもそも何で味噌を作ろうと思ったのかというと、ホームセンターの棚に値引きされた麹が積んであったのを手に取り、パッケージ裏の説明を読んでみたらその麹で味噌が作れると書いてあったからで・・・。
とにかくこの材料で作ったものを漬物樽に詰め、棚の奥へとしまっておきました。
季節感を無視して作ったその恐怖の味噌を、今日、ついに開帳します。
じつに1年と2ヶ月。
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蓋を開けてみると、味噌ができていました。
いい香りもしてきます。
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自分で作ったからこその不安でいっぱいの味噌ですが、お湯で溶いて試飲してみると、しっかりと強い味に甘さも少し加わって美味!
市販のとは別モノです。
御味噌汁の最後に残る粒々があまり好きではないので、お店で買うときにはなるべくそういうのではない味噌を選んでいましたが、自作味噌は粒だらけです。しかしこれが不思議と平気でした。
ずっとこし餡派だったのにいつの間にかつぶ餡派に変わったようなものですかね。
「タマネギと味噌はもう作らなくていいや、手間がかかるし買ったほうが安い」と思っていたけれど、毎年味噌を作るという人がたくさんいるのも納得です。
手前味噌っていうけれど、自慢したくなるのもわかる!
また今年も作ろうかな。