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意識の内的現象の実在性に関する一考察(導入部)

私たちの意識には、どうしてもそれ固有のもの性、決して逃れようがなく内側にべったり貼り付いた実在性というものが備わっている。なぜ意識から、実在性というものを抽き出して来ることができるのかと言えば、意識とは現象だからである。意識は揺らぎ、変化することの内に現象を映し込み、己の内に取り込んで、やがて両者の差異は限りなく小さくなる。意識即現象、現象即意識というべきである。この現象は変化するゆえに頼りなく、また信頼のおける実在である。なぜなら実在とは不変かつ可変であり、常に己自身を求めて己の中の欲望の穴から他者を見、彼と接続しようとする点に生物として、また人として不安と喜びの伴う実在的営為があるからである。

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