【人生、転職やり直しゲーム 第二章 転職と地獄の研修の巻】

【少し考えさせてください。返事は後ほどします】

俺はオッサンに言われた事を考えて
前職やブラックリストを調べない会社を受ける事にした。
しかし、「年金記録照会回答表」は、
提出を求めるところが多い。
前職が詐欺まがいの会社だったせいで俺の就職活動は難航した。
しかし…
俺を気に入って採用してくれた会社があった。

ハローワークで見つけた不動産会社
「ビッチ・グローバル土地開発」だ。
まず、給料が基本給40万円。
あとは、売れ高による歩合制。
面接に行った会社もでかいビルの一室で、
ホームページもしっかりしているし、
海外展開を視野に入れている、
「あなたの夢、海外取引で一緒に叶えませんか?」
なんてキャッチコピーが魅力的だ。
高倍率だろうとドキドキしながら応募すると、
俺はすぐに採用された。

かつて、詐欺まがいの会社にいたって、
こんな
ブイブイ強気な攻めのビジネスを展開している会社が
雇ってくれた!
人生は、やり直せる!

俺は、「ビッチ・グローバル土地開発」の先輩に仕事を教えてもらった。
リストに乗っている土地所有者に、
まず、パンフレットを送り、
次に電話で営業。
土地を売ってくれと交渉する。
話だけでもさせてくれと、
自宅訪問のアポイントメントを取り付け、
自宅訪問の営業。

「中国は、共産主義の国だから、
土地の使用権を買うことができるが、
住宅用で70年経つと、
また、使用権として金を国に納めなければ
土地は国に返される。
土地が欲しい中国人は、日本の土地を購入して、
子供に相続させたい。
うちは海外展開している会社だから、
信用があり、
今、土地を売ると、
買った時の100倍の値段で売ることができる。
ぜひ、うちに土地の売買を仲介させてほしい」

と、会社の中国人向けホームページや、
中国語のパンフレットを見せる。
その気になったお客さんに、

「中国人に売る前には
測量をきっちりやらないといけないことになっている。
安く測量してくれる測量屋を紹介する。
測量代はかかるが、
土地が売れたら代金は回収できる」
と言って、仲介契約の前に測量が必要なことを説明。
測量屋を紹介。
測量屋はお客さんと誓約書を交わし、
代金35万円をお客さんから受け取る。

俺の仕事はここまで。
その後の手続きは会社におまかせだ。
面白いように契約が取れる。
俺は営業の天才ではないか。
歩合がガバガバ入り、
俺の月収は100万円を超えた。
世の中で「売れない、売れない」言っている
馬鹿営業マンがいるが、
俺は、奴らと違い、有能で、腕がいいから売れるし、
前の会社で作ってしまった借金も
繰り上げ返済出来た。
あとは奨学金の返済だ!

…と、思っていたら
俺は逮捕されてしまった。

俺の会社は
1970~80年代に流行った詐欺、
「原野商法」の二次被害で稼いでいたからだ。

昔、
二束三文の田舎の土地が
「高速道路が開通する。必ず値上がりする」
「新興住宅地として土地開発予定だから後で高く売れる」
と騙されて買わせられた被害者に、

「持て余している、あの土地が、今なら売れる!」と言って、
測量代を騙し取って、
中国人向けのホームページに
土地の情報を載せるだけの詐欺会社だった。

俺が営業をかけたリストは、
かつて、原野商法で儲けた社長が作ったリストだった。

原野商法の騙された人間は
土地を持っているだけで毎年固定資産税がかかるので、
早く手放したいと思っている。
そこを漬け込んで、
同じ手口でまた騙した。

そもそも日本の土地を買う中国人は、
水脈等の資源がある所や観光地等
利益になりそうな土地をよく調べて買うから、
原野商法で売られるような価値のない土地は買わない。

してもいない測量代がそのまま会社の利益になっていたのだ。
俺の歩合も被害者の払ったカネから支払われていた…

社長は5億円稼いだところで逃げたようだ。
俺たち従業員は詐欺に加担したとして、
警察の取り調べを受けている。

BADEND 原野商法の二次被害

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(第2章を始めからやり直す)

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森野林檎
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