【安曇野から発信する潤一博士の目】8~イチョウ~生きている化石
イチョウ→イチョウ科イチョウ属、一属一種の裸子植物
中国で多く見られるが、自生地(原生林)は知られていない。
日本では、古代に中国からもたらされ、神社や寺などで大木に育っている。もちろん日本に自生地はない。
地質時代には、日本でもイチョウが広く分布しており、化石が残っている。氷河時代の寒冷気候下で、日本列島から姿を消した(消滅した)。メタセコイヤなどと共に、温暖な気候を好む植物であった。
長野県北安曇郡池田町 長福寺にて(小林史:撮影)
朝日村にて
イチョウの化石は、大阪平野などでは、300万~500万年前の地層から発見されている。
化石は、葉と花粉であり、花粉の化石は花粉分析という方法で、粘土層などから検出される。イチョウと共に発見される化石は、メタセコイヤ、セコイヤ、フウ、オオバタグルミ、イヌスギ、シマモミなど、温暖な気候を好む植物であり、この後訪れる氷河時代には、次第に姿を消していく。これらは、メタセコイヤ植物群と呼ばれている。(次回以降に詳しく紹介)
オオバタグルミ(レプリカ)
宮沢賢治は「イギリス海岸」の中で、オオバタグルミを“長さが二寸ぐらい、幅が一寸ぐらい、非常に細長く、尖った形”と表現している。
消滅と絶滅
絶滅:ある生物の種(シュ)が、地球上から姿を消し、途絶えること。
(例)→恐竜、マンモスゾウ、ナウマンゾウ、オオミツバマツ、オオバタグルミなど。
消滅:日本列島からは姿を消すが、他の地域には生存している。
(例)→メタセコイヤ、イチョウ、フウ。
(地質学者・理学博士 酒井 潤一)
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