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日本フライングディスク協会2020年度定時総会

久しぶりにフライングディスク関連のエントリーを書きます。今回は、6月13日に行われた日本フライングディスク協会(JFDA)の2020年度定時総会についてまとめたいと思います。今年度はビデオ会議システム「Zoom」を用いたオンライン開催となりました。資料は以下のリンクからダウンロードできます。

定時総会とは

そもそも「定時総会」とはどういったものなのでしょうか。法律上は「社員総会」と言い、一般社団法人に関する一切の事項について決議することができる最高機関です。理事会で議決された事項であっても、内容によっては社員総会で議決しなければならないものもあります。JFDAの組織図を見ても、社員総会がJFDAの最高機関であることがわかります。この社員総会は毎年必ず1回以上開催しなければならないことが法律上決まっており、JFDAでは、毎年、前年度の決算の監査が完了する6月頃に行われる社員総会を「定時総会」と呼んでいます。

2020年度定時総会の議題

今年度の定時総会の議題は以下の7点でした。

決議事項
<第1号> 2019年度事業報告・収支決算書(案)について
<第2号> 定款の変更(社員の定義変更/議事録への電子署名)について
<第3号> 中長期基本計画2020-20204(案)について
<第4号> その他
報告事項
<第5号> 2020年度事業計画・収支予算書について
<第6号> 定款細則の変更(年会費改定)
<第7号> その他

決議事項は、全て全会一致にて承認されました。報告事項は、事務局から説明があった後、質疑応答の時間が設けられましたが、異論は上がりませんでした。報告事項とは、理事会にて決議された事項のうち、会員への報告が必要とされる重要な事項のことです。今回の定時総会では、「年会費改定」「競技会エントリー費改定」という、とても重要な事項が報告されました。

重要な報告事項:年会費及び競技会エントリー費の改定

年会費は、2021年度より以下のように改定されます。

<現 行> A会員:5,000円(18歳未満は半額)
      B会員:3,000円
<改定後> A会員:6,000円(18歳未満は半額)
      B会員:0円

競技会エントリー費は、2020年4月1日以降に開催される競技会を対象に以下のように改定されます。

<現 行> 競  技  者:5,000円(全日本大学選手権本戦は2,500円)
      チームスタッフ:0円
<改定後> 競  技  者:6,000円
      チームスタッフ:3,500円

年会費及び競技会エントリー費の改定という大きな決断に至った理由として、中長期基本計画2020-2024に示されている財務上の課題(固定費用の規模に対する固定収入が少ない事業費の規模に対する事業収入が少ない)があります。JFDAの財務状況については、「解説:日本フライングディスク協会の決算」のエントリーでも触れています。

年会費及び競技会エントリー費の金額の決め方

今回のような年会費や競技会エントリー費の値上がりは、会員の負担増加に直結します。それゆえ、「どのようにしてこの金額になったのか」という視点は非常に重要です。

年会費は、基本的に協会経営に必要な固定費用(人件費、地代家賃、水道光熱費、広告宣伝費など)の支払いに充てられます。日本オリンピック委員会(JOC)や世界フライングディスク連盟(WFDF)といった上位団体への加盟費用も含まれます。2020年度までの年会費(A会員:5,000円/B会員:3,000円)は、当然のことながらこれらの固定費用を支払うのに十分な水準の金額に設定されています。しかし、中長期基本計画でも触れられているように、JFDAの財政には、固定費用を支払ったらほとんど手元に資金が残らないという課題があります。つまり、不測の事態への対応が難しくなるなど、経営上の余裕が無いと言えます。今回の年会費改定は、手元に余裕資金を残すことで経営上の余裕を生み出すことが目的の1つとなっています。ちなみに、「経営上の余裕を生み出す=私腹を肥やす」ではありません。余裕資金も会員の財産ですので、協会の事業目的である「フライングディスク競技の普及および振興」に向けて多額の資金を投じる必要が出てきた場合や、社会情勢の変化によって協会経営に影響が出た場合などへの"備え"として、適切に管理されます。

競技会エントリー費は、基本的に競技会運営に必要な費用(人件費、グラウンド借料、旅費交通費、備品購入費など)の支払いに充てられます。2019年度までの競技会エントリー費(競技者:5,000円/チームスタッフ:0円)は、当然のことながらこれらの費用を支払うのに十分であり、かつ収入額が限りなく費用と同額になるような水準の金額に設定されています。これは水道料金や電気料金と同じ考え方です。そして、この金額の目安となるのが、「エントリー者1人当たり費用」という数字です。

エントリー者1名あたり費用 = 競技会開催費用の合計額 ÷ エントリー者の合計人数

つまり、「現行の競技会開催費用がエントリー者1名あたり5,000円を上回るか」が競技会エントリー費改定の目安となります。今回競技会エントリー費改定に至ったのは、近年の競技者1名あたり開催費用が5,000円を上回るようになったためです。この原因として、2度にわたる消費増税会場変更によるグラウンド借料の増加が大きいと言えます。詳細についてはJFDAから正式にアナウンスがあると思いますので、そちらに譲ることとします。

おわりに

タイトルを「2020年度定時総会」としておきながら、年会費と競技会エントリー費の話が大半を占めてしまいました。今回の定時総会で報告された事項は会員の負担増加に直結するものであるため、理事会でも非常に慎重な議論が重ねられました。年会費を値上げすることは協会経営を大きく健全化してくれますが、この手段に甘んじてはいけません。むしろ、生み出された余裕資金を使って事業規模を拡大して新たな収益源を作り出すなど、積極的な事業展開へ舵を切るきっかけにするべきでしょう。また、並行して業務効率化の推進による固定費用や競技会開催費用の削減も実現していかなくてはなりません。

今回の定時総会は、協会の経営環境が大きく変わるきっかけになることでしょう。変化を起こすこと自体ではなく、変化を起こした後にどう取り組むかが重要ですので、引き続き、健全で透明性の高い協会経営に向けて私も尽力したいと思います。

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