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「みんな一緒、みんな同じが嫌いな憂鬱質の子ども」(自分の世界を守りたい気質)
子育ての相談で一番多いのが、「憂鬱質の子どもについて」と「憂鬱質のお母さんからの相談」です。
それは、簡単、便利、効率を目指す現代社会の価値観そのものが、心の世界を大切にしている「憂鬱質的な世界」を否定しているからなのでしょう。
多くの幼稚園や学校が、「みんな一緒」「みんな同じ」を目指しています。そのため、子どもたちは学ぶ内容も、学ぶスピードも、行動も、表現の仕方も、「みんな一緒」「みんな同じ」を求められています。そこで求められているのは「大人の期待」に応えることだけであって、「子どもの心」への配慮はありません。
それでも、「みんな一緒、みんな同じを大切にするやり方」が子どもの成長や教育に合っているという根拠があればともかく、そんな根拠は聞いたことがありません。ただ、そのやり方の方が子育てや教育が簡単で効率的になるからなのでしょう。
実際、日本人が「みんな一緒、みんな同じ」という教育を始めたのは、明治になって「富国強兵」や「欧米に追いつけ追い越せ」という思想が強まってからです。
それまでの「寺子屋」でやっていたのは、そこに来る子どもや、子どもを通わせる親のための教育でした。ですから、みんな一緒、みんな同じという教え方はしていませんでした。
それが、憂鬱質が強い日本人の気質に合った教育方法だったのでしょう。
今、江戸時代の版元の蔦屋重三郎のドラマをやっていますが、あれを見ても、日本人は本質的に「みんな一緒」「みんな同じ」が嫌いな民族だということは分かりますよね。
でもそのやり方では欧米に勝てません。そのため、寺子屋方式よりも効率的な「欧米的な考え方や、制度や、やり方」を取り入れたのでしょう。でもそれは、「一人一人の子どものための教育」ではなく「国を発展させるための教育」でした。
ちなみに、明治になって西洋式の軍隊を作るときに困ったのは、日本人が「みんなで一緒に歩く軍隊的行進」が出来なかったことです。江戸時代までの日本人は、「大勢の人が、みんなで一緒に、同じリズムで、同じ姿勢で、同じ早さで歩く」ということが出来なかったようなのです。
参勤交代の行列でも、あまり人目のないところではバラバラに歩いていたそうです。
それで近代式軍隊を作ろうとするとき高杉晋作が困っていたという話を読んだことがあります。
でもそれ故に、寺子屋に代わって作られた学校では「みんな一緒、みんな同じ」という教育を徹底させたのでしょう。
そして「大和魂」などという意味不明な精神論を使って人々の心を煽りました。心を大切にする日本人には、論理的、合理的な説明よりも、精神論の方が影響を与えやすいのです。
その結果、アジアの国では例外的に、あっという間に欧米に追いつくことが出来ました。その延長上に現代の学校教育もあります。でも、精神論で行動していたため、泥沼にはまっても抜け出せませんでした。
でも、明治から始まった「みんな一緒、みんな同じ」という教育法は、憂鬱質が強く、「心」を大切にしたい日本人の感性には合っていないのです。特に憂鬱質が強い子どもには合っていません。
ちなみに、欧米では「一人一人の個性を大切にする教育」をしているようですが、欧米の人が大切にしているのは「一人一人の心」ではなく「一人一人の才能」です。それが胆汁質が強い人たちの発想です。
ちなみに、日本でも、田植えなどの時にはみんなで一緒に同じことをしましたが、それは「人の手伝いをすることで、自分も手伝って貰える」という慣習があったからです。自分がいい加減なことをしたら、自分の時もいい加減なことをやられてしまうのですから。またその時は、みんなで歌を歌ったりしてリズムを合わせました。
現代人は「みんな一緒」「みんな同じ」が好きなように見えますが、それは上っ面だけの話です。だからみんなストレスを溜めているのです。本当に「みんな一緒」「みんな同じ」が好きならば、ストレスが溜まらないはずですから。
そして、その「みんな一緒」「みんな同じ」が一番苦手なのが憂鬱質の子ども達なんです。憂鬱質の子ども達にとって一番大切なのは「自分の心」だからです。
「みんな一緒」「みんな同じ」が一番好きなのは多血質の子どもです。
粘液質の子どもは「みんな一緒」「みんな同じ」が好きではありませんが、でも、それに従う事は出来ます。
胆汁質の子どもは、憂鬱質の子と同じように「みんな一緒」「みんな同じ」が嫌いですが、でも、自分がリーダーになってみんなを従わせるのは好きです。
今、一斉保育の幼稚園、保育園、そして一般的な小・中・高の学校では「みんな同じ」「みんな一緒」は当たり前のことです。
それに従わなければ問題児扱いされてしまいます。
時には発達障害を疑われます。
幼稚園や学校からも指導されます。
それでも憂鬱質の子は、「みんな一緒」を押しつける幼稚園や学校は苦手です。行けなくなってしまう子もいっぱいいます。
それで、我が子の発達に不安を感じたお母さんが相談に来るのです。
ちなみに、「集団行動を怖がる憂鬱質の子ども」の次に相談が多いのが、「集団行動を無視する胆汁質の子ども」についてです。