「女性活躍」をどう捉えるか
こんにちは。アラサー無職女子のみなみです。
前回の投稿にて、私の前職について書かせていただきました。
建設業界は、「男性社会」というイメージがある方が多いと思うのですが、実際私の勤めていた会社でも、技術職の男女比9:1という感じでした。
「人手不足」や「ダイバーシティ」、「働き方改革」が叫ばれる昨今、私の会社のみならず、業界を挙げて、「女性活躍」を推進していました。
今回は建設会社で働いてきた私が「女性活躍」について今感じていることを、徒然なるままに書いてみたいと思います。
私個人の経験と、思ったことを書くだけなので、結局どうしたいのか、という結論には至っていませんので、ご了承ください。
私もどうしたかったのか、良く分からないまま前職を卒業してしましまいました。
独身の私が「女性活躍」を語るジレンマ
「女性が活躍できる企業」であることをアピールするために、学生向けのリクルート活動や、社外向けイベントの対応などは、「数少ない若手女性技術者」として、頻繁に対応にあたっていました。
上司曰く、とても平たくいうと、学生相手でも、イベント対応でも、男性社員が前に立つより、若い女性社員が出た方がウケが良いから、ということでした。
行く先々で、「若手女性技術者」とか、「土木女子の活躍」とか、持て囃されました。
一方で仕事内容は、ありがたいことに、実業務では男性と同じ内容の仕事を与えていただいていました。
現場の施工管理として、現場で働いていた時期もありました。
男性と同じ仕事を任せていただくことは、ありがたかったのですが、辛い時もありました。
連日残業が続くと、どうしても体力的にきついと感じることがありました。
生理の前後、現場で貧血で倒れそうになることもありました。
上司に相談すると「妊娠をすること以外は、仕事では男性と同じ扱いであるべきだと考えている。」と言われました。
男性と同じ仕事を対等にこなしていくなら、「女性活躍」って何だろう、と思い、女性活躍に関する本を読み漁りました。
そこでは、【結婚、妊娠・出産し、育児をしながら、女性がいきいきと働く企業・社会にしていくには】といった内容のことばかり書かれていました。
なるほど、「女性活躍」という言葉の示す「女性」とは、「結婚、妊娠、出産、育児」をしながら働く女性のことなのか、と感じました。
私は、結婚も妊娠も育児も一度も経験していません。
よって、本当の意味で私に語れる「女性活躍」って無いのでは、と思いました。
私が活躍したって、それは本当の「女性活躍」ではないのでは。
だって、上司の言うところでは、男性社員と同じ扱いの人間です。
一方で社外に向けての私は、「現在活躍中の女性技術者」とレッテルを貼っていただいて、まさに客寄せパンダ的なポジション。
なんか矛盾しているのでは、と感じました。
本来は、結婚や産休、育休、家庭との両立などのライフイベントを経験した上で、会社に復帰した女性技術者が、「女性活躍」を語るべきだし、そのような企業こそ「女性が活躍できる企業」と言えるのだと思います。
私の会社では、入社した女性社員の多くが(私を含む)、ライフイベント以前に退職しており、家庭と技術職の両立を実現して生き残る人がほぼ0でした。
この状況、本当に「女性活躍」なのでしょうか、と思ったのでした。
「女性ならでは」の呪い
女性が活躍することの意義として、よく、「男性中心の業界にも、女性ならではの感性を活かして」みたいな言葉がよく使われます。
ストレートな疑問ですが「女性ならではの感性」って何ですか。笑
例えば、細かい気配りができること、とかよく言われます。
でもそれって人によるんじゃね、と思います。
女性が打ち合わせの場に居たら、コミュニケーションが円滑になる、とかもよく言われます。
それも人によるんじゃね。
すごくピリッとした雰囲気の女性だっているし、まろやかな雰囲気の男性だっています。
「女性ならではの感性」の活かし方について、納得いく具体的な答えがまだ見つかっていません。
それでも子供たちに伝えたかった
施工管理として担当していた現場は、近所に保育園がいくつかあり、子どもたちのお散歩コースになっていました。
列になって歩く子どもたちは、クレーンなどの重機が動く様子や、現場が進んでいく様子をいつも喜んで見てくれていました。
前述の通り散々書きはしましたが、子どもたちには、建設業は男性だけのものではなく、女性が選んだっていい仕事なのだ、と思ってもらいたくて、現場で働く私の姿が、子どもたちの記憶の片隅にでも残れば本望だよなぁ、と思っていました。
小さい頃に優しくしてくれた看護師さんに憧れて、看護の道を選ぶ女の子がいるように、現場で働く女性技術者を見て、建設業を選ぶ女の子が居てもいいよなぁ、なんて大それたことを思っていました。
子どもたちの感性に何か少しでも伝えられることがあったのなら、私が現場で働く意義もあったのかなと思いました。
過酷な業界だから、おすすめするかどうかは別として、性別に囚われず、自由に仕事を選べるっていうことはとても尊いことなのです。
ほんの数十年前までは、建設業に従事したくても、女性を受け入れていない大学、企業が多かったそうです。
先人たちの努力により、建設業界における女性活躍が進んできたということです。
私が目指したかったこと
とある女性芸人さんが、こう言っていました。
「私の夢は『女性芸人』という言葉をなくすことです。
男性の芸人さんのことを『男性芸人』とは言わないのに、『女性芸人』という言葉があるのは、まだ対等じゃないからだと思っている。」
建設業も同じだと思いました。
「女性技術者」とは言うけれど、「男性技術者」とはわざわざ言わないよなぁ。
いつか、「女性技術者」という言葉がなくなるのが理想だなと気づきました。
私はこの道を卒業してしまいましたが、これからの若い世代の人たちが実現してくれることを祈っています。
以上、まとまりなく色々と書いてしまいましたが、これからも、建設業で働くすべての人たちが、豊かな人生を送っていってほしいなと、そこは切に思っております。
今日も街を作ってくれてありがとうございます。
ご安全に!