冬の夜には、ホット&クールなJazzを
冬になると部屋で過ごす時間が長くなり、それに比例して音楽を聴く時間も長くなってくる。
久々にジャズについての記事を書いてみようかと。
雪の降りしきる夜の街をコートの襟を立てクールに歩きたくなるような(笑)
または、グラスを傾けながら体が自然にリズムを刻みたくなるような、今回はそんな曲たちを選んでみました。
Art Blakey & the Jazz Messengers
「Moanin’」
前奏だけでも聞き覚えがある方も多いと思う、ファンキー・ジャズの名曲。
肩を並べるかのように全ての楽器パートが揃うリフもクール。唸るようなリー・モーガンのトランペットも抜群の存在感。この時まだ20歳とは思えない。
Moanin’とは "呻き声" という意味で、アート・ブレイキーが活躍し始めた時代はまだまだ黒人差別も厳しく、曲がヒットしどんなに有名になろうと、本国アメリカはじめ世界ツアーなどに出ても各国で黒人というだけで不当な扱いを受けていたという。そんな中で唯一、日本だけが彼らを歓迎し黒人差別がなかったことに驚き感激したブレイキーは親日家となり、何度も来日してライブを行った。
ジャズやR&B/ソウルなどブラックミュージックの根底には、黒人差別に対する社会へのどうしようもない絶望や慟哭があり、彼らの魂の叫びから音楽が生まれている。
1960年代後半位までの、大枠でモダンジャズと呼ばれるジャズの中でも、ハード・バップ、ファンキージャズが私は好きだ。
Clifford Brown & Max Roach Quintet
「Daahoud」
トランペットとテナーサックの出だしからドラマチックで軽快なナンバー。
クリフォード・ブラウンのトランペットは華麗なタンギングも聞きごたえがあり、マックス・ローチの疾走感のあるドラミングも素晴らしいグルーヴを生んでいる。
早逝したクリフォードは実質5年しか活動期間がないにもかかわらず、多くの素晴らしい演奏を残したハード・バップの名プレイヤー。
Lee Morgan
「Totem Pole」
緊張感を孕んだような変則的なパーカッション、ラテン調のピアノ、出だしは不協和音のようにも聴こえるモーガンのトランペットとジョー・ヘンダーソンのテナーサックスの息のあったアンサンブルから、煌めくモーガンのソロに移り変わってゆく展開も聞かせる、モーガンのオリジナル曲。
マイルスのトランペットも好きだけど、モーガンもよき。
クリフォード・ブラウンに憧れていたモーガンは、18歳という若さでブルーノートからデビュー、早熟の天才と言われたが、内縁の妻に撃たれ若くして衝撃的な死を迎えてしまった。
Wayne Shorter
「Night Dreamer」
ブレイキーのジャズメッセンジャーズ、マイルスのバンドを歴任したウェイン・ショーターのブルーノートでの初リーダー作。
冴え渡るショーターのテナーサックスが熱い。
出だしから心掴まれるマッコイ・タイナーのピアノ、リー・モーガンのトランペットとのバランスも良い。
Sonny Clark
「Cool Struttin'」
ハイヒールを履いた女性のおみ足が印象的なジャケット写真に、見覚えがある方も多いと思う。
Cool Struttin'とは、勿体ぶって歩く、という意味らしい。
聴きながら、気分はキャットウォーク・モデルのように闊歩したくなるような曲だ。
Donald Byrd
「Ghana」
子供の頃からラテン音楽を聴いて育ったせいか、私はこういうアフロ・キューバン的な曲調に弱い。ドナルド・バードのクールなトランペット、レックス・ハンフリーズのドラムの軽快なラテン・リズムも素晴らしく、スタイリッシュなアレンジも効いている。
Duke Ellington & John Coltrane
「In a Sentimental Mood」
ジョン・コルトレーンからしたら親子ほどの年齢差のあるデューク・エリントンとの共演。
大先輩であるエリントンに敬意を払い、真摯で控えめなコルトレーンの美しいテナーサックスの音色と、それを包み込むようなエリントンのピアノも味わい深い。
あ〜癒される〜。いい夢見れそう。
Hank Mobley
「Recado Bossa Nova」
コテコテのジャズ的ボザノヴァ。こういう曲も大好物。
本国アメリカより日本で大人気だったとも聞きました。
ハンク・モブレーのテナーサックスも勿論いいのだが、中盤から颯爽と現れ吹きまくるリー・モーガンのトランペット・ソロの方にどうしても耳が持って行かれる。どんなバンドに参加してもモーガンのスター性は耳を惹く。自分はモーガン推しだということを自覚した(笑)
ノリノリで熱いドラムとピアノに合わせて、思わず体が揺れてきて踊りたくなる。
Horace Silver
「Lonely Woman」
ラストを飾るのは、ファンキージャズの代表的なピアニストであるホレス・シルヴァー。
父親はアフリカ系ポルトガル人であるカーボベルデ人という影響もあり、他の同時代のジャズメンとは一味違った音を聴かせてくれる。
「Song for My Father」は大好きなアルバム。ファンキー色の強い表題曲はじめ他の楽曲も全てノリがよくカッコいいけれど、流麗なタッチのピアノと美しく洗練されたメロディが際立つこちらのバラードにも聞き惚れる。
ジャケット写真の男性は、ホレスのお父さんだそう。
まだまだ載せたい曲は沢山ありますが、長くなってしまうので、またいつか第三弾の記事も書ければいいなと思います。
前回の、"夜に聴きたいジャズ" 第一弾はこちら