宛先不明の手紙

久しぶりだね。元気にしてるかな。少し会えない間にお話したいことがたくさん貯まって、いても立ってもいられずペンを執ったけど、いざ何もない罫線を目の前にすると、いったい何を書くつもりで引き出しの奥底から便箋を探し当てたのか、途端にぼんやりとして掴みどころが無くなってしまって、こうしてつらつらと言い訳じみた文言を連ねています。

本当は今すぐにでも飛んでいってハグでもなんでもして(いつも一方的だけど)、なんでもいい、ただ何かを話せれば、いや話せなくても、おいしいごはんを食べたり何かきれいなものを見たり、そうやって少しの間でも一緒にいられれれば、多分それで満足してしまうんだと思うけど、それがすぐには叶わなそうだから文字にしてみてる。

大学はやっぱり対面の講義の方が楽しくて、オンラインで倍速で動く先生の口をぼーっと見つめ続けるよりはずっといいってことがわかった。動画や資料になっちゃうと先生も余談とかそういう部分はカットしてしまうし、そりゃあカメラに向かってひとりでお話してたら無表情にもなるだろうと思うけど、実際に会ってみたら結構どの先生もにこにこ楽しそうに講義してくれるからこっちも簡単に好きになっちゃうんだな。

それと学食がおいしくてびっくりした。初めて学食を使ったときぼくはオムライスを頼んだんだけど、この列だけものすんごい長くてさ、しかも全然進まないし、三限間に合わないんじゃないかと思って時計とにらめっこしながらヒヤヒヤしてた。やっと厨房が見えるとこまできたらなんとおじさんがひとりで、しかもひとつのフライパンで1個1個タマゴとろとろさせてたんだよ、そりゃ時間かかるわけだと思って思わず笑っちゃった。おじさんが腱鞘炎になってないことを祈る。でも並んだかいあって学食とは思えないくらいおいしかったんだよ、三限はちゃんと遅刻したけどね。

それから最近映画にハマってる。ファンタスティック・ビースト知ってるかなぁ。それの第3弾がこの間公開されて観に行ったんだけど、主人公のニュート役を演じてるエディ・レッドメインっていう俳優さんがかっこいいしかわいいしで惚れ込んじゃってね、彼が出てる映画を見漁ってたんだ。でもなんていうか、薄幸そうな、儚い雰囲気をもともと備えてる俳優さんだからかなぁ、死んじゃったり病気とか恋煩いで苦しんだりする役柄ばっかりで全然幸せにならないんだよねぇ……。つらい。でもリリーのすべてって作品はすごく素敵だったし、簡単に結論の出ないことをじっくり考えることが好きな君なら、きっと気に入るんじゃないかと思うんだ、時間があったら観てみて欲しい。それで何を思ったか何を感じたか、この映画が君の目を通してどういう意味を持ったのか、教えて欲しいって思ってるよ。

それから病気のこと、いろいろ話してくれてありがとうって君は言ったけど、むしろ話させてくれてありがとうだった。まだまだ時間かかりそうだけど、なんとか頑張りたいと思ってる。だから君も一緒に頑張ってって言おうとしたけど、ぼくは君はそのままでいいと思ってるから言わない。でも変わりたいと思う君自身のことは応援してる、尊敬も。

多分まだまだ書き足りないけど、第1通は終わりにする。また書くね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?